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”環境”系 noteまとめ

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"環境"に関連するnoteのまとめです。
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【SDGsとは一体、何だったのか?】第2回「持続可能な開発」概念のルーツはどこにある?

*** 【連載第2回】「持続可能な開発」概念のルーツはどこにある? 1SDGsから何を連想する?  みなさんは「SDGs」と聞いて、どんなことを思い浮かべるだろうか?  ある人はSDGsとは「エコ」のことだと考えるかもしれない。レジ袋削減や気候変動対策が、生活と大きな関わりがあることも大きいだろう。  またある人は差別をはじめとする社会問題の解決や「多様性」のことを、またある人は、まちづくりや地域おこしのことがSDGsなのだとイメージするかもしれない。世界の貧しい人を

人新世という言葉を否決したからといってその現実が消えることはない。

先ほど、日経新聞に掲載されていた、「地質時代「人新世」案、学会否決 社会で浸透も議論に幕」という記事を読んだ。 ということなのだが、それはつまり、地質学者の世界において否決された、ということである。じつをいうと、人新世をめぐっては、たとえば地球システム科学者によっても提起されていて、2018年には、「ホットハウスアース」仮説を提唱する論文が出された。日本語訳も出ているが、その冒頭にはこう書かれている。 つまり、温暖化の観点から、今が人新世に入りつつあるということを主張する

SDGsとは一体、何だったのか?【世界史でよむSDGs】はじめに

いまや日本のSDGsは、空虚な「記号」である  2015年に採択されたSDGs(国連持続可能な開発目標)は、スタートしてから早9年目を迎えようとしている。  SDGsの実施年限は2030年だから、まだあと6年ちょっと、残されていることになる。  にもかかわらず「SDGsとは一体、何だったのか?」などと問うのは、ちょっと時期尚早ではないかと思われるかもしれない。  最初に筆者の立場を明確にしておけば、日本におけるSDGsはすくなくとも本来の趣旨に沿った受容には失敗している

3/23(土) | 『センス・オブ・ワンダー』(筑摩書房)刊行記念ライブ

《オンライントークイベント》 『センス・オブ・ワンダー』刊行記念ライブ【出演】 森田真生 【日時】 3/23(土)19:00-21:00(開場 18:45 予定) 【参加費】 3500円(税込) (申し込み方法はページ下部に記載) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -  翻訳することは、生まれ変わっていくこと。初めて一冊の本を翻訳するという経験をして、僕はいま、そのように感じています。自

小池陽慈著『現代評論キーワード講義』&『評論文読書案内』の使い方 【歴史総合編】

結論。小池先生の著作は、高校の地歴公民科の授業で使いやすい! ということで、わたしなりの紹介として、発売されたばかりの『現代評論キーワード講義』(三省堂、2023)に加え、『世界のいまを知り未来をつくる評論文読書案内』(晶文社、2022)を合わせて、使い所を整理してみました。ジグソー学習などのワークシート等で引用したりする際にも、便利であるとおもいます。 読むキーワード辞典というジャンルでいえば、今村仁司の『現代思想を読む辞典』がパッと浮かびます。受験生向けという点では、

【いまどきの世界史教科書?】表記が変わった用語

前回にひきつづき、新科目・世界史探究の教科書(山川出版社『詳説世界史探究』)において表記の変更された用語を紹介します。 (旧)は最新版の『詳説世界史B』の索引項目で、(新)はそれがどう変化したかを示しています。 変更の理由は学説の変化によるものもありますが、その文字ほんらいの音や現地語の発音に忠実なものとするための措置も少なくありません。 マホメットと呼ばれていたイスラーム教の開祖が、1990年代以降は原音に近い「ムハンマド」に変更されたように、ヨーロッパ以外のアジア、ア

【いまどきの世界史教科書?】増えた用語 消えた用語

3月も残りわずかとなりましたが、新年度の授業準備をあれこれとしています。 あたらしい教科書が届くと、前の版との違いをなんとなく確認するのが習わし。とくに今回は新しく設定された「世界史探究」という科目があるため、わけがちがいます。気合を入れて異同をチェックしてみると、これが結構変わっている。 たとえば、 といった具合です。 今回は索引をベースにし、山川出版社の『詳説世界史B』の最新の版と『詳説世界史探究』を比べ、消えた用語と増えた用語を確認しました。 デジタルで全文検

歴史のことば No.19 「今日の気候変動は別の意味で歴史の産物でもあるのだ。」

人新世という言葉が、だいぶ知られるようになった。 自然科学の用語なのだから定義がしっかりしているのかといえば、そういうわけではない。学術的には、かなり込み入った論争を含むやっかいな言葉でもある。 だが、「人間が地球におおきな影響を与える時代」という意味として、おおかた流通しているようだ。 すべての流行語がその道をたどるように、言葉の送り手と受け手のあいだで、必ずしも意味の一致をみないものの、それとなく流通している。そんな「言語ゲーム的状況」にあるのが、現状の「人新世」の使わ

緑先輩、タヌキをとことん語る/佐伯 緑

タヌキは日本を代表する動物といえると思う。奥山から大都会や小さな島々まで、沖縄県を除く全国に広く生息しており、里山や都市近郊ではヒトと非常に近い距離で生きている。日本人の心にも彼らは住みつき、昔話などにこれほど出演する動物はそうはいない。あるときは妖怪、あるときは大明神、化けても化かしても愛されるキャラクターである。しかし、その生態や進化については、曖昧模糊なところがある。アナグマやアライグマとの混同も多発している。このあたりで現在わかっている情報と知識を整理し、一般向けに提

歴史の扉④ 石けんの世界史

 コロナ禍により、以前にも増して奨励されるようになった手洗い。  今回は、それに欠かせない「石けん」の世界史をふりかえってみることにしましょう。 石鹸の製法の発展  石鹸にあたるものは、天然の素材によって、古来世界各地でつくられていました。地中海沿岸では、中世の頃、海藻の灰とオリーブ油を原料とした石鹸が製造されていましたが、17世紀にフランスの科学者ルブランが、化学的に炭酸ソーダ(アルカリ剤)を合成する方法を開発すると、石鹸の大量生産への道が開けます。  1861年にはベル

プラネタリー・グッドは「誰一人、他人事ではない」ということ。

「ソーシャル・グッド」が社会変革の軸(キーワード)になってきたこの10年。あらゆる社会課題への取り組みが生まれ、ソーシャル○○、フェア○○、シェア○○などに代表されるような、新しい働き方、新しい支援、新しい分配手段などの選択肢が本当に増えた。世界の「優しさ」や「個人の自由や尊厳」は増えた時代だったと思う。 とはいえ、正直、社会課題の多くは解決していないし、ジェンダーやダイバーシティなどへの取り組みはまだまだ始まったばかり(正確には、長く取り組んでいるが時間がかかっている)。

SDGsツーリズムのススメ:観光客が来れば来るほど持続可能になる地域をつくるには

(Photo by Fabrizio Chiagano on Unsplash) 昨今、SDGsという言葉はメディアで頻繁に目にするようになったが、私たちが本当に大切にしたい持続可能性とは何なのだろうか。私自身が京都に居を移し、取り組み始めた「SDGsツーリズム」の実装に向けた取り組みを紹介したい。 SDGs教育SDGsという言葉は、数年前、吉本興業の芸人さんたちが「エスディージーズ」と連呼することでお茶の間に紹介された。世界が一丸となって取り組む、大事な目標なのだと。そ

生き物の名前を知ると、モノクロな世界に色が付く。

生き物の名前を知ると、モノクロな世界に色が付く浜松科学館自然観察園の身近な生き物や、生き物同士のかかわりをご紹介している本アカウント。開始して半年が経ち、フォロワーさんも100名を越えました。本当に有難いことです。筆者としましても、とても励みになります。お礼申し上げます m(_ _)m さて、先日「身近で気になる野鳥ランキング Best50」がnote編集部の今日の注目記事に選ばれました。多くの方々の目に触れることとなり、とても嬉しく思っています。 野鳥然り、生き物の名前

他人の空似? ハヤブサとトビの話

ハヤブサ登場!ある日の夕方、自然観察園の空を見上げると… 「ハヤブサだ!」 アクトタワーをバックに、科学館の上空をスマートなシルエットが旋回していました。20年くらい浜松市に住んでいますが、市街地でハヤブサを見たのはこれが初めての経験。大興奮です! ハヤブサのように鋭い爪と嘴をもち、他の動物を襲って(もしくは腐肉を)捕食する鳥類を猛禽類(もうきんるい)と呼びます。猛禽類の例として、ワシやタカ、ハヤブサ、フクロウなどがいます。 日本で一番身近な猛禽類はトビ。 トビは俗称