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”国際系” note まとめ

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This magazine curates notes relating to stuffs between globalness and localness.
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2020年12月の記事一覧

【22/3/6追記】世界史を学ぶのは「背景」と「平等な目線」を知るためである

 「世界史を学んで何の為になるんだ」という言葉はよく耳にします。日常的に使用する四則演算や国語や英語のように生活に根差しているという感覚は薄いでしょうし、白衣を着て多くの物を発明する科学のように直接社会に貢献している認識もあまり持たれない傾向にあります。さらには同じ歴史でも、「自分が住んでいる国である日本史を習うのはまだしも何故世界史・・・?」と思う方もいるでしょう。  事実、世界史で習う知識は(現代史はまだしも)日常生活ではまず活用されません。「ペルシア戦争後にアテネが作っ

インバウンド観光 再出発のガイドライン 全60000字、公開します!

 2020年東京五輪開催が一転、新型コロナウイルスにより4月以降の訪日外国人観光客数は前年比マイナス99%、と一気に消失しました。  全世界の旅行需要も落ち込み、日本のインバウンド観光戦略も見直しが必須になりました。しかし、2011年の東日本大震災という難局を経て7年後には3000万人を超える訪日客を集めた日本。その急成長の問題点と成功要因を振り返り、危機後の消費者変化と自国の優位性を理解すれば、やるべきことが見えてきます。インバウンド観光に関わる産官学の多彩な面々がFac

New York Timesがアメリカ大統領選挙で「封印」した地図表現

11月3日に行われたアメリカの大統領選挙では、メディア各社が様々な地図によるビジュアル表現を公開しました。 地図によるデータ表現は、数あるデータ可視化(データビジュアライゼーション)の中でも最も種類が多く、かつ実用の機会が多いと言ってよいでしょう。古くは1854年にイギリスの医師ジョン・スノウがコレラの発症例を地図に表現して、原因が細菌に汚染された水であることを突き止めたように、地図表現は地域的な傾向や地理的要因を見る上で極めて有益な表現です。 アメリカでは、世界の中でも

20代の最後にロンドンに飛び立ったときのこと

今から6年前、残り数ヶ月で30歳になろうとしていた29の私は、20代の最後をこのまま平凡に終わらせたくないという衝動に駆られて、一人でロンドンに飛び立った。といっても、大それたことではない。ただの一人旅である。 20代は色々迷走していた。大学を卒業してからすぐに洋服関係の仕事をしたけれど、物足りなくて1年でやめた。それからずっと都内でマーケティングやウェブ関係の仕事をしていたが、社会(というか会社)に迎合しすぎた結果、自分を見失い身体も壊して29歳の時に思い立って東京を去り

欧州でみたプロジェクターのある風景

まだコロナウイルスの影響が拡大する前、欧州に旅行に行きました。 そこで密かに感じたことがあります。 それは日本よりも街中でプロジェクターを見かけるな、ということ。 正確にはプロジェクターが映し出す映像を見かけるわけですが、まず目を引きます。 なにせなんでもない壁や物体が光を放っているように見えるわけです。 例えばこちらの写真。 ロンドンの大英図書館に入るとまず目にする受付です。 石壁に「Tours of the Library」の文字、そして中央には現在時刻を示す時計

【イスラエル・ジャズ】2020年ベスト5

「イスラエルのジャズが熱い」 と、去年バンドメンバーに教えてもらい、色々聴いてみると思いのほかハマってしまった。 その魅力はなんといっても、テクニカルで小難しく、それでいてハーモニーが美しく聴きやすくて、中東と西洋の要素が交互に出てくる所である。 去年父親がイスラエルに仕事で行き、それはそれは面白いところだったらしい。 「ダビデの墓と最後の晩餐の場所が同じところにあるねんで。ありえんくない?」 とのことだ。 エルサレムは太秦映画村のように見どころがギュッと近場に詰まってい

リバイバルされるイタリア前衛/地下音楽、入門の手引き

00年代に興隆を極めたMP3ブログ文化や海外のフォーラム等々、インターネット世界の奥底や先鋭的なクラブ・シーンなどから火がつき始め、2010年代に入ると加速度的にリバイバルされることとなっていったニューエイジ・ミュージックや実験/前衛音楽、和モノ、シティ・ポップ、南アフリカなどの辺境レアグルーヴ、ライブラリー・ミュージックといった世界各地の未知の音楽たち。Four Tetなんかも〈Mutant Sounds〉などに代表されるようなマニアックな海外のMP3ブログの更新をくまなく

心の欧米とタコとデビルフィッシュ

最近ね、タコを買ったんですよね。イギリス人はあまり食べないのでどうしても高くなるから、イギリスでタコを買うっていうのはちょっと「えいや!」って感じなんですけれど、良い魚屋さんと出会ったおかげで割と入手しやすくなりまして。タコ焼きも、スペイン料理のプルポ・ア・ラ・ガジェガも好きなだけ作れる!という幸福な状態に今あります。 それで大体食べたいものは作り尽くして、日本語で料理法を色々探していたら、いやあ、出てくること出てくること「欧米ではタコはデビルフィッシュと呼ばれるくらい嫌わ