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"教育系" note まとめ

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"教育系" noteのまとめです。
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2024年4月の記事一覧

きみは「追浜」を正しく読めるか? ~『大陸の誕生』の誕生秘話~

弊社のT.W.が、4月のブルーバックスの新刊『大陸の誕生 地球進化の謎を解くマグマ研究最前線』の編集を担当しました。その制作過程のエピソードを披露します。(本記事はブルーバックスのメールマガジンに掲載した文章に加筆したものです。) 初めてのやり方『大陸の誕生』の制作には、当初想定していたよりも時間がかかってしまいました。おおよそ5年がかりです。本書の著者、田村芳彦先生にとって初めての単著でしたので、じっくりと執筆を進めていただきました。 書きたいこと、書くべきことがあらか

《書評》建設的な対話の為に|「独学の思考法」山野弘樹

 私は、暇潰しに独学をしている事が多いので、気になり本書を手に取った。本書は、独学と言っても具体的な学問について云々するのではない。自ら問いを立てて探求するような学びをする際に役立つ、「考え方」に関する書籍である。一部は「考える技術」について、二部は「対話的思考」について述べている。  独学というと本を読む事を想像する方は多いだろう。筆者も実際に学生時代には乱読したそうだ。しかし、そういった学び方(知識をやたらめったら取り込む)ではダメだそうだ。なぜダメか。それは「他人の走

ある哲学者から学んだ「前提を疑う」という生き方

こんにちは。紀藤です。最近、強み論文のまとめに注力していることから、「日常の振り返り」的な内容を記述することが少なくなっておりました。 ただ、日々の出来事を振り返り、感じたことを書き出すというのは、実に多くの学びがあるものです。ということで、今日は最近あったお話の中で、印象的だったことについて書いてみたいと思います。 ある30代の哲学者少し前に、ある哲学者(30代)と、教養あふれる人生の先輩(60代)とお食事にいきました。どちらもそうした呼称に閉じ込めてしまうのには何とも

中学校教科書の文体が気になります

授業で「レポートでは固めの書き言葉を使う」という話をするのですが,ちょっとイメージが掴めないというか想像しづらい感じがあるので「高校の教科書と同じ感じ」と言ってます。ただ,自分が使っていた教科書って中学も普通体(常体/だ・である)じゃなかったっけ?とか思いました。もっとも大学図書館の所蔵には私が使っていたような時代の教科書はなく,真相はまだ分かりません。それでも少しルールのことや戦後すぐの資料が見つかったのでまとめてみます。 まず文科省のルールを確認すると,中学までは義務教

仕事をしながら毎月10冊以上読む方法と、そのために欠かせないツール【#15】※Notionテンプレ付

社会人になると、「本を読めなくなった…」という声をよく耳にします。知り合いにおすすめの本を尋ねても、「あまり読めていない」という返事が多いのが現状です。 自分自身は読書家とは言えませんが、意外と本を読む時間をつくれていることに気づきました。周りの人から「どうやって読書時間を見つけているの?」とよく聞かれるので、この記事では、試行錯誤の末に行き着いた現在の読書スタイルを紹介したいと思います! ・・・ 今読みたい・読むべきと思う本だけに絞る1. 読みたい本をリストアップする

2024年4月新刊のご案内

2024年4月の新刊は2冊! 中学校で習った理科の学びなおしにオススメの一冊と、 地理の研究者によるフィールドワーク紀行です。 <4月17日発売予定> 『「中学の理科」が一冊でまるごとわかる』さわにい中学生の頃は理科の面白さがよくわからなかったけど、大人になったいま、気軽に楽しく学びなおしてみたい、そんな方に最適な一冊。 中学校で習う理科は、「科学」の入り口として重要なものです。生物、化学、地学、物理はそれぞれが現代社会でも重要な役割を担う「科学」です。 その基礎が体系

芝公園で「言葉探し」/こども哲学実践

こんにちは。まえゆかです。 今日は2か月に1回開催しているこども哲学教室。 普段は区民センターの会議室を利用して実施していますが、春の陽気に合わせて外でイベント的にワークショップをやってきました。 備忘録的に実践内容をご紹介。 5年生クラス:「~~だけど~~なもの探し」参加者は6名。 3年生の12月から参加しているメンバーが5人と、ママ向けのおとな哲学の参加者のお子さんが初参加! 初めてですが、既存メンバーの1人とクラスが同じで顔見知りだったので特にアイスブレイクもな

10分でわかるネオ哲学史『一度読んだら絶対に忘れない哲学の教科書』読書案内+参考文献の補足

この記事では、ネオ高等遊民『一度読んだら絶対に忘れない哲学の教科書』SBクリエイティブの参考文献を紹介します。 と同時に、それぞれの哲学者の解説で、どんな内容が書かれているのかを、ごく簡単に紹介していますから、ざっくり内容を把握するにも適しています。 ページ数の都合により、出版物には参考文献をすべて載せることができませんでした。(本書は全256ページですが、これがキリのいい数字みたいです。たしか8ページか16ページ単位での増減となる、と聞きました。) そのため、一次文献

冒険ワークショップをやろうかと思っている

冒険研究所書店を2021年5月に初めて、そろそろ丸3年になる。 これまでの経験や知見を社会にも広げていくために、冒険ワークショップのようなことを考えてみようかと思っている。 冒険のステップとしては、まず ①主体的に計画 を行い、次に ②計画の潜在的な危険性を予測 して ③自分の能力が計画に対して対応可能か を判断し、ようやく ④準備 を行い ⑤計画を実行 する。そして最後に、その結果を ⑥何かしらの形にまとめて報告する その一連の流れを、私やゲスト講師の話を元に考えて「

【地理教育にこのアプリ!】デジタル地球儀を作ってみた!

新しい教育アプリを開発しましたので、ご紹介します! 題して… デジタル地球儀!!! 作った経緯教育に関するアプリを作りたいと思い、小さい頃の思い出、記憶を振り返っていました。 小学生の時に祖父母に地球儀を買ってもらったことがあります。 日本の位置や国の大きさを他の国々と比べたりして、自然と学んでいました。 楽しみながら学べる教育アプリを作りたい! よし、デジタル地球儀を作ってみよう!と思い立ち、開発しました。 使った素材DECK.GL…WebGLを用いた地

読みおえたときには化学の基礎知識が身につき、化学があらゆる物事にひそんでいることがわかるようになる本

SNSで話題沸騰の新刊『さぁ、化学に目覚めよう 世界の見え方が変わる特別講義』(ケイト・ビバードーフ:著、梶山あゆみ:訳)。テキサス大学で文系の学生に向けた授業を担当し、自他ともに認める化学オタクの著者(表紙写真で火を噴いている人物)が、高校から大学の教養レベルで学ぶ化学の基本原理と、日常にあふれる化学反応をわかりやすくユーモアたっぷりに語る一冊です。本書から、著者の熱い想いほとばしる「はじめに」を公開します。 はじめにはじめにひとつ白状しておきたい。 私は化学オタクだ。

【ニッポンの世界史】#35 進む「世界史離れ」:文化圏学習・ナチカル・共通一次

 これからいよいよ「ニッポンの世界史」にとってきわめて重要な1980年代に足を踏み入れます。  この10年を通して、世界史にいかなる意味がつけ加わり「世界史必修化」に至るのか。  ”公式” 世界史と ”非公式”世界史の輻輳を追うことで、経緯を浮かび上がらせていきます。 「文化圏」学習の徹底:1978年度指導要領改訂  そのためにまずは "公式" 世界史の動向から確認していきましょう。  1970年度の学習指導要領改訂で導入された「文化圏学習」は、古代文化につづく時代を、

【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】外の世界とつながる外国語学習~内部告発者への尋問テープをもとにした映画『リアリティ』(北村紗衣)

 ローリング・ストーンズの新アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』の先行シングル「アングリー」のビデオを見た方はおられるでしょうか。ロサンゼルスの道路を走る赤い車にやたらゴージャスな髪の長い女性が乗っていて、ストーンズのロゴみたいに舌を出したり、エアギターを披露したりする内容です。道の脇には大きな看板が何枚もあり、車が通るといろいろな時代のストーンズが看板から飛び出すよう動き出して演奏をしてくれます。  今回の記事で紹介するのは、この女性を演じたシドニー・スウィーニー主演の新

SDGsとは一体、何だったのか?【世界史でよむSDGs】はじめに

いまや日本のSDGsは、空虚な「記号」である  2015年に採択されたSDGs(国連持続可能な開発目標)は、スタートしてから早9年目を迎えようとしている。  SDGsの実施年限は2030年だから、まだあと6年ちょっと、残されていることになる。  にもかかわらず「SDGsとは一体、何だったのか?」などと問うのは、ちょっと時期尚早ではないかと思われるかもしれない。  最初に筆者の立場を明確にしておけば、日本におけるSDGsはすくなくとも本来の趣旨に沿った受容には失敗している