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日本代表戦のベトナムサポーターによる「声出し応援」のその先

こんにちは。
桜が咲き誇っています。今週末は桜吹雪が見られそうですね。

さて、今日はサッカーの話です。

「こいつまたサッカーの話してるよ」と言わないでください。
僕が一番そう思っています。

1週間ほど前になりますが、日本代表が最終予選第9節のオーストラリア戦で勝利し、2022カタールW杯の出場を決めました。
そして先日、第10節のベトナム戦を引き分け、最終予選を2位で終えることとなりました。

ベトナム相手に引き分けたことの是非や分析、今後の戦術の方針や選手選考など思うところは山程ありますが、本日の記事はそこには触れません。
他の観点が気になってしまいました。

きっと見ていた方は誰しもが思ったことでしょう。

「ベトナムサポーター、声出し過ぎじゃない???」

ここです。
今回は、このことについて書いていきます。

書きますが、ベトナムサポーターを悪く書く記事ではありません。
あくまでも、起きてしまったこの出来事を契機としてどうにか前に進めないかという内容です。


試合の背景

今回の試合は、観客の入場制限が撤廃されており実に4万人4千人の入場がありました。


その中でも、対戦相手であるベトナムを応援するために駆けつけたサポーターの人数は非常に多かったです。
後で知ったことですが、在留外国人に占めるベトナム人の割合は非常に大きいそうで、約45万人が日本国内に滞在しているそうです。


満員に近い観客が入り、アウェイの観客もかなりの動員がありました。
ベトナムサポーターからすれば、日本に滞在し少なからず心細い思いで日々を過ごしている中、愛する祖国の代表選手がやって来た。
それも、消化試合と言えどW杯を懸けた最終予選の真剣勝負の場で、前半に先制点を奪い取り、同点に追いつかれても懸命に走り守り抜く選手の姿に感情が昂ぶることは止められません。

結果的に、試合を通して大きな声を上げてしまうことになります。


試合開催側の対応

彼らが声を出して、応援を止められないのも理解できなくはありません。
誰もが声を出している状況では、集団心理で歯止めが効かなかったのでしょう。

とても褒められる行為ではなく、試合のチケットを購入した時点で理解したものと見做されているルールですから、それを違反しているという理由で全員を退場させても良いくらいです。

試合開催側は、試合中のスタジアムアナウンスで再三「歓声は禁止されております」と注意歓喜を行いました。自分がテレビで見ていた中では日本語アナウンスしか聞き取れませんでしたが、英語アナウンスも行ったという情報もあります。

それでも、ベトナムサポーターの声援が止むことはありませんでした。


吉田麻也の提言

サッカー日本代表キャプテンである吉田麻也は、試合後のインタビューで次のように語ったようです。

「まず日本人はちゃんとルール守るなあと思いました」と観戦ルールを遵守し、拍手等で応援する日本サポーターに敬意を示した上で、

「ただずっと思っているけど、ヨーロッパとかアメリカ、南米、オーストラリア、アフリカネーションズカップでもそうなっているし、しっかり3回ワクチン接種して、陰性証明を出しての入場なら、規制を緩和するのも次のステップなんじゃないかなと思っている」

このように述べました。

海外の第一線で活躍する日本人の公の場での発言として、はっきりと声援の規制緩和へ意見してくれたことは、長く我慢を強いられているJリーグサポーターとして非常にありがたく思います。


ベトナムサポーターの声出し応援騒動を活かそう

先日、このような記事を書きました。

いまだ声出し応援が禁止されているJリーグ(国内スポーツ)において、観客上限が撤廃され100%になることを受け、声出し応援解禁までのプロセスを想像したものでした。

この記事の中で、

次に、「声出し応援可」として事前周知をした上でチケットを売り出し、その環境下において万全の調査体制のもと試合を開催する。
その後、観客の追跡調査を行い、どの程度の感染者が発生したか、クラスターが発生していないか等を確認する。

こういった段階があるのではないか想像を述べたものです。
今回のベトナムサポーターによる声出し応援が発生してしまった以上、それをもう活用するしかないだろうと考えています。

つまり、声出し応援をしたベトナムサポーターの観戦エリアを中心として、その周囲や観戦していた人たちにクラスターが発生したか、していないかを追跡して検証する必要があります。

もし発生していないのであれば、声出し応援をしても飛沫感染や接触感染に大きな悪影響を与えていないことになります。

そうすれば、「スタジアムで声出し応援をしてもクラスターは発生しない」という実例となります。
残念ながら逆のパターンとなってしまったら目も当てられませんが、こうした状況が発生した以上、目を背ける訳にもいきません。事後検証が大事です。

では、その追跡をどうするか。
実際に現地の様子を見ておりませんが、事前のチケット販売ページによると感染症対策として次のような追跡体制を整えているようです。

感染拡大防止のための個人情報取得について
公益財団法人日本サッカー協会が主催する大会において、来場者に新型コロナウイルス感染者が発生した場合に、同ウイルスの感染拡大を防止するため、必要と認められた方へご連絡することを目的に来場者の情報を取得いたします。取得した個人情報は、公益財団法人日本サッカー協会および都道府県サッカー協会が厳正に管理し、上記以外の目的には利用いたしません。また、取得した個人情報をご本人の同意を得ずに第三者に提供いたしません。ただし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、公的機関(保健所等)から提供を求められた場合または法令で認められる場合に限り、情報を提供する場合がございます。未成年の方は来場前に保護者の了承を得ていただきますようお願いいたします。なお、取得個人情報は、一定期間経過後、適切に破棄いたします。
<取得方法>
QRコードもしくは会場にて手書き
<入力必須項目> ※血縁関係があり同居する家族の場合のみ、代表者のみのご入力でかまいません
①氏名 ②電話番号 ③メールアドレス ④チケットのカテゴリー ⑤座席番号

来場の案内にある以上、来場者全員がこうした情報を提供している前提で話を進めます。

何を述べたいかと言うと、追跡調査が可能、ということです。

保健所が追跡するのか、その情報が日本サッカー協会にまで到達するのか、クラスターとして認定されるのか、そもそも陽性と診断された観客が素直に「サッカーを見に行ってました」と答えるか懸念点は無数にあります。

ひとまずその懸念点は置いておいて、この追跡が万全に機能すると考えた時、この事例は良い判断材料になるのではないでしょうか。

更に、客観的なデータ収集をしているという情報がありました。
産総研と日本サッカー協会による調査です。
プロセスとしてはこちらの方が重要かもしれません。


産総研による調査で初の事例

Jリーグや天皇杯などで実施されてきた産総研によるマスク着用率などのデータ収集ですが、今回のベトナム戦でも実施されていたようです。

このたび、産総研は、JFAが主催するFIFA ワールドカップカタール 2022 アジア最終予選において、入場者間の平均距離、観戦時の観客のマスクの着用の有無や応援方法、スタジアム内の歓声などを評価する調査およびCO2濃度計測器を活用したスタジアム内の密の程度の評価を実施します。

これまで何回か実施されてきた調査ですが、観客の入場上限がない状況での実施は2021年の天皇杯準決勝・決勝以来ではないでしょうか。

また、100%入場可能なスタジアムにおいて観客があそこまで大々的に声を上げて応援した事例は初です。
声出し応援がどこまで飛沫に影響があるのか、明確なデータとして分析されるのも初めてとなります。

図らずも貴重なデータ収集の機会となりました。
段階を飛ばしての機会となってしまいましたが、客観的データとしてどんな評価とされるのか大変興味深いです。


まとめ

Jリーグの野々村チェアマンは、次のように述べています。

「次のフェーズにどう進むか。どんなエビデンスがあれば(元の応援スタイルに)戻るのかデータを蓄積していく準備はしたい」

この発言の趣旨は、先ほど取り上げた産総研によるデータ収集などのエビデンスを指していると思われます。
また、他スポーツの国内試合や、ひょっとすると海外サッカーの事例も含まれているかもしれません。

今回は日本代表のホーム試合で発生してしまった事例ですが、それをただのハプニングで済ますことなく、Jリーグと日本サッカー協会が連携して次に繋げてくれることを期待しています。

サポーターとしては、そろそろ歓声に包まれたスタジアムで試合を見たいです。


たまにサポートをいただけるのですが、あまりにも申し訳ないのでお題のリクエストなどを併せていただけるとありがたいです。もちろんなくても大丈夫です!読んで頂きありがとうございます。