神奈川県内の石造物①:別願寺宝塔(伝・足利持氏供養塔)

名称:別願寺宝塔

伝承など:足利持氏供養塔

所在地:神奈川県鎌倉市大町 別願寺


JR鎌倉駅から徒歩十五分ほどの別願寺の墓地内にある宝塔。

別願寺は鎌倉三十三観音霊場第十三番札所であり、鎌倉時代後期の創建で江戸時代までは寺勢を誇ったがその後衰退し、現在は小さな本堂と墓地があるのみである。

宝塔は墓地の入口付近に建ち、二メートルを超す大型塔で、境内でも一際目を引く存在感を持っている。

相輪は欠損して後補であるが、塔身の四方に鳥居形の浮き彫りが施された優美な塔であり、典型的な鎌倉時代後期の様式を持つ。

この宝塔は、古くから室町時代の四代目鎌倉公方の足利持氏の供養塔と言う伝承があるが、持氏の没年は宝塔の造立年代よりもはるか後年の室町時代中頃であるため、伝承と石造の年代は合致しない。

おそらく、別願寺が鎌倉公方家の祈願所であったため、後世そうした伝承が生じたのであろう。

持氏とは無関係であるが、宝塔自体は非常に貴重なもので、鎌倉を代表する石造物である。


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