近畿地方の石造物②:観音院宝篋印塔

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名称:観音院宝篋印塔

伝承など:なし

所在地:奈良県高市郡高取町上子島 観音院


日本三大山城の一つの数えられる高取城、その城跡に至る道中に、高取藩主植村家の菩提寺である宗泉寺がある。

その宗泉寺の境内からさらに奥に進む細い山道を入っていくと、雑草の中に一基の見事な石塔が建っている。

今回紹介する観音院の宝篋印塔がそれであり、鎌倉時代中期・弘長二年の銘文があり、在銘宝篋印塔としては日本で三番目(四番目とも)に古い。

安定感がある優美な塔で、二メートルを超える堂々たる迫力もあり、初期の宝篋印塔特有の気品のある佇まいである。

しかしながら、その貴重な在銘塔であるにもかかわらず、宝篋印塔は適切な保存がなされているとは言い難い。

現在この石塔がある観音院は無住の荒れ寺であり、アクセスも極めて悪く、かつこの石塔も驚くべきことに何の文化財指定も受けていない状況である。

この宝篋印塔の文化財的価値に鑑みれば、早急に別所に移して適切な保全が求められる。

国にせよ奈良県にせよ高取町にせよ、何らかの処置を取って欲しいものである。


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