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他人は変えられるのか?

メンタルシリーズ第3弾です。
過去のブログはこちら。

他人と過去は変えられないのか?

精神科医 エリック・バーンや心理学者のアルフレッド・アドラーの名言として「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」というのがありますが、これについては総論合意・各論反対という立場です。

他人のすべてを変えられないとしてしまうと、最終的には教育の是非を問われることになります。
教育に意義があるという前提に立つと、他人の何かは変えられるはずです。

過去については、あんまり信用していません。
友人の記憶の中で、私が参加していない飲み会に私が居たことになっている話をたまに聞きます。
飲み会参加レベルでも、この程度の記憶の改ざんが簡単に起こります。
歴史について考えても、歴史というのは「勝者の記憶」なので、敗者の記憶は切り捨てられていることが多くあります。
起こった事実を誰目線で見るのかによって解釈が変わります。
まぁ、「過去」については長くなるので省略します。

今回は「他人を変えられるか?」という点について考えてみたいと思います。

他人の「なに」が変えられないのか?

北海道を中心に活動するヒップホップグループのTHA BLUE HERBのBOSS THE MCは、アルバム「SELL OUR SOUL」の「I'M PRIVATE ARMY」で以下のリリックを紡いでいます。

寂しさが住むのは
自分の中じゃなく人と人の間

I'M PRIVATE ARMY

人間は社会的な生き物なので、個人が単独で存在して生活しているのではなく、常に他人との関係性の中、つまり社会の中で生活しています。
そのため、他人からの裏切りや価値観の違いを突き付けられると、寂しさ、苦しさ、怒り、悲しみといった負の感情を抱くことになります。

他人と分かり合えない状況が会社の上司、同僚、部下で発生すると少しずつ精神を削られていくことになります。
この状況を回避・改善していくことができないと、仕事でメンタルを病むことになります。
他人が変えられない、と断定してしまうと、悪い状況になったら逃げる、という手しかなくなってしまいます。

他人との衝突と葛藤を改善できるかどうかは、相手との認識齟齬が人格(パーソナリティ)によるものか、一時的なストレス等によるものかを見極めるのが第1歩です。

私が「他人は変えられない」と思っているのは、このパーソナリティの部分になります。

パーソナリティとは何か?

パーソナリティとは、その人の「考え方や行動のパターンの全体」を指します。
パーソナリティを他人が変えることは本当に難しいことです。
短期間で変える方法があるとすれば、部族や軍隊などで行う通過儀礼のように、過酷な訓練でグループに所属するために価値観の塗り替えを行うような方法か、洗脳のように一回精神を崩壊させて思想や主義を強制的に変える方法でしょう。
あたりまえですが、この方法を現代の企業でやると何かしらの罪に問われる可能性があるので、絶対にやっちゃダメです。(たまに近しいことをやっている会社もありますが。。。)

気分障害とパーソナリティ障害

ストレスなどが溜まると、視野が狭くなって感情が少なくなり、必要以上のことをやることが億劫になります。
その結果、他人にも興味がなくなります。
これらは精神医学では気分障害とされ、代表的なところではうつ病や適応障害となります。
相手が気分障害で衝突や葛藤が起こっているなら、そのストレス原因が取り除かれれば解消することが多いでしょう。

問題は、パーソナリティ障害です。
精神医学では、パーソナリティ障害には10種類あるとされています。

細かい説明はリンク先を見て頂きたいのですが、簡単にいうと人格的によって知らず知らずのうちに他人を攻撃してしまう人が一定数いるということです。
大変残念ですが、これまで出会ってきた人を思い出しても体感と一致します。(ただ、個人的にはパーソナリティ障害のすべてが悪いとも思っていません)

私は過去にパーソナリティ障害の人に対応するために信頼のおける精神科医に相談したことがあります。

その時に、以下のことを言われました。

気分障害は投薬や認知行動療法で改善するが、パーソナリティ障害を改善させられるかは、まだわからない。自分に治すつもりがないと確実に無理で、治すつもりがあったとしても10年以上の治療が必要となるケースが多い。専門家でもないあなたが対応するのは無謀なことなので、刺激しないように徐々に離れていくのが得策です。

その時、私はまだ若く、自分にも何かが出来ることがあるのではないか、と思っていたので、脳天に石をぶつけられたような衝撃を受けました。
いま思えば当たり前なのですが、自分では何ともならないことが存在して、その場から逃げることが最善策だということも人生においては多くあります。

ただ、だからといって「ダメならすぐ逃げる」が正しい対処だとも思っていません。
多くの人とは前提をすり合わせることで認識を合意することができますし、知識や知恵はスキルトランスファーできます。
考え方を変えてもらうようなことも、その瞬間に変わることはなくても、長期的なコミュニケーションで少しずつ改善することができると信じています。
それを信じることができないと、けっきょく自分の中に寂しさだけが残ることになります。

まずは、「他人は変えられない」というのがどのようなことなのかを自分の中で明確にする必要があります。
そのうえで、無理だから逃げる。無理じゃなさそうだから頑張る。という方針を日々チューニングしていくことが大事なのかな、と思います。


メンタルとまったく関係ないですが、システム運用の本を出しています。
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