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アンドロイド転生870

2118年9月6日 午後
東京都港区:シラトリ家の邸宅
(シオンのホストファミリー)

げっ!な、何ですか。またもやスゴイのが現れた。マイカは目の前の少年達から目が離せなかった。義理の弟になったシオンと同じ村の出身者だ。彼らはルイとカナタと名乗った。

ルイはオレンジの髪に銀目。カナタの瞳はまるでエーゲ海の色だ。そんなカラフルな少年達は肌の色も真っ白で容姿が美しかった。え?新民者(平家の子孫)って皆んなのそうなの?

マイカの母親は目を輝かせていた。
「まぁ!まぁ!よくいらっしゃいました!」
声のトーンが1オクターブも上がっている。彼女は綺麗な物なら人でも何でも好きなのだ。

パーティ好きのシラトリ家の集まりに少年達を招いたのだが、また客達が喜ぶだろう。シオンのお披露目の時も大いに盛り上がったのだ。タウンの人間は新民者に対して好意的だ。

マイカの父親は満面の笑みだ。賑やかな場面が大好きな人間なのだ。彼らの登場で今日も注目を浴びるに違いない。やがてパーティが始まると少年達の姿に人々は目を見張って喜んだ。

宴が盛り上がって1時間後。ルイとカナタは辟易していた。学校の生徒だけではなく大人達も自分らに注目するのかと。マイカは笑った。
「疲れたでしょ?外に空気でも吸いに行こ」

3人の少年とマイカは会場を抜け出して南麻布の街を歩いた。とは言え現代の街並みはどこの地域でも景色は同じだ。白いドーム型が連なっている。近未来都市として日本は変貌したのだ。

それでも多少の違いがあって、街の一角にあるベーカリー店やレストランやショップなどがその地域の特色を出している。カナタは立ち止まってウィンドウに展示されている服を見つめた。

マイカも一緒に眺めた。
「カナタ君に似合いそうだね。中に入ろうよ」
お洒落に興味津々のカナタは喜んで店内に入って行った。次々と試着する。

「シオンはこれを着てみて!ルイ君はこれ!」
大学生のマイカは少年達を仕切った。ルイ達は姉が出来たような気持ちになり大喜びだ。買い物を終えて店を出ると人と出会した。

「お。マイカ」
「あ。トウマ」
シオンはトウマを見て胸が高鳴った。やっと会えた。前回のパーティ以来だ。約40日振りだ。

同性愛者のシオンはトウマに恋をしていた。家は近所なのにも関わらず、出会う機会がなかった。ずっと想いを募らせていた。
「トウマさん…こんにちは」

「よぉ。シオン」
シオンは驚いた。会って3回目なのに名前を呼んでくれた…!胸がトクトクと震える。僕も呼んでみたい。トウマと…。

トウマの視線がルイ達に走った。
「ぼ、僕の村の弟分です。ルイとカナタです」
トウマは2人に向かって軽く頭を下げた。ルイとカナタも挨拶をする。

マイカの瞳が輝いた。
「ね?やっぱりシオンの家族だと思わない?イケてるでしょ?学校でも人気なんだって」
「絵になるってやつだな」

トウマはあっと思い出したような顔をして、遠慮がちに笑った。
「あのさ…シオンさ?うちの大学でモデルになってくんないかな?」

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