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アンドロイド転生873

2118年9月8日 午後
ロンドン:カフェ

「好きになった…」
ミアの言葉に友人2人は笑った。
「あ。やっぱり?そうだと思った」
「見てて直ぐに分かったよ」

2人は日本人留学生でリョウとは一度会った事がある。昨年大学を卒業して、そのままイギリスで就職をした。ミアとは親友だ。彼女らのお陰でミアの日本語が更に上達したと言えよう。

「え!分かったの?何で?」
友人達は顔を見合わせて悪戯っぽく笑う。
「だってぇ〜。好き好きオーラ爆裂だもん」
「ねぇ〜。ミアって分かりやすいもん」

ミアは溜息をついて悲しそうな顔をする。
「オリバーがうちに来て…リョウを殴ったの」
「え!そんなヤツだったの?」
「どうなった?まさか死んだ?」

「死ぬわけない!…でも一晩入院したの。1週間点滴に通って今はだいぶ回復した」
「相当やられたんだ…」
「あらら」

「でね…。私…リョウに好きって言ったの。だけど…分かってるって言って…そのまま放置」
「僕も好きだよ〜ってならなかったの?」
「うん…」

友人Aが笑った。
「あのタイプはめちゃくちゃ鈍感だよ。『好き』って意味がlikeだと思ったんじゃない?」
「そうそうLoveってハッキリ言わないと!」

ミアは不安そうになる。
「でもLoveって言っても分かってくれなかったらどうしよう…」
「まさかぁ!いくつよ?」

「35歳」
「そんなにおっさんなら分かるよ」
彼女らは23歳だ。リョウは遥かに大人に見えるのだ。だがミアは笑った。

「おっさんじゃないよ。全然。なんて言うのかな?世の中に慣れていない感じ。pureなの」
「そのpureが好きになったところね」
「そう!」

友人Bが腕を組んで顔を顰めた。
「リョウは毎日…誰かの家に通っているんだよね?実はその人の事が好きなのかもよ?100日間通ったらプロポーズを受けるとか…?」

ミアも顔を顰めた。
「前に聞いたの。好きな人なの?って。違うって言ってたけど…」
「プロポーズが成功するまでは内緒なのかも」

友人Aは身を乗り出した。
「ミア。ヤバいよ。プロポーズが成功したら結婚しちゃう。失敗したら日本に帰っちゃう。その前に確かめなよ。リョウの気持ちを」

友人Bも力強く頷いた。
「そうそう!時間がないよ。聞け!ミア!」
友人達の煽りにミアは焦った。
「う、うん。分かった…!」

その後は今度は友人ABの恋の話になる。ミアは反対に相談に乗る。23歳の女性達にとって『恋バナ』は話題の多くを占めている。そう。彼女らにとって恋愛は重要な案件なのだ。

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