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一重はセクシー。

長年、一重を自分の短所だと思っていた。
でも、それを今では愛すべき自分の「セクシーポイント」ととらえるようになった。そう思わせてくれたのは私の留学時代のアメリカ人のルームメイトだ。

私は物心ついた時から、「上向きまつ毛のぱっちりオメメ」至上主義に息苦しさを感じていた。小学生の頃に読んでいたマンガ。中学生から読み始めた雑誌。ヒロインはみんなぱっちり、上向きまつ毛のオメメだ。雑誌では二重用のメイクが載せられて、「奥二重」や「一重」は隅に押しやられている。偶然見た特集ではいわゆる「二重」じゃない人のお悩み解決方法みたいな文脈で、
「普段のメイクだと、取り扱いが結構難しいですよね?わかります。でも、可愛くなりたければやってみて!」、
という印象を受けてなんとなく切なくなったことがあった。

一重の両親から生まれた子供(私)はもちろん一重だった。中学2年生のころにアイプチが流行。いかに校則に違反しない範囲で目を大きくするか頑張り出す女の子たちが現れ始めた。私もその流れに乗ってアイプチを手に取ってメイクをしてみたことがあったけれど、作られた二重の顔の自分は鏡では見ていられないほどだった。なんとなくコンプレックスを抱きながら大学デビューを果たし、本格的に毎日メイクをしなければならなくなった。中学高校時代で一重を美しく魅せるテクを研鑽してなかった私は、コンプレックスがさらに強くなった。

特に改善がみられないまま留学で渡米。ルームメイトと「美の基準」についてディスカッションをしていた時に自分の一重の目にコンプレックスがあることを話した。するとルームメイトが驚いたようにこう話してくれた。

「一重だからこそセクシーなのに。」

今までにない捉え方に衝撃が走った。そしてその場で彼女の持つメイク道具でお化粧ごっこが始まった。

自分が手にしたことも無い、沢山の色がぎっしり詰まったアイシャドウのパレットや、使ったことも無かったリキッドアイライナーにココロが躍った。
彼女が仕上げてくれた顔を鏡で見たとき、今までの知ってる自分の顔と明らかに異なる印象の自分がいた。

化粧、というとマイナスを補正するための変身術のように捉えていた。しかし、実際は手持ちの素材を引き出す最大の武器であり、美しさに磨きをかける味方である。

自分の欠点だと思っていた一重は実はセクシーなチャームポイントだった。その日から自分の一重が少し誇らしくなったし、一重を引き立たせる道具やパレット選びが楽しくなった。

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