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ゴングが鳴ればバトルの合図!ドラマ『コタツがない家』は笑って泣けて最高のホームコメディーです!

結局今クールもかなりの本数のドラマを観ている私ですが、こんなに面白いホームドラマは久しぶり!と超お気に入りなのが『コタツがない家』です。このキャスティング以外考えられないと感じるほど、キャストの皆さま見事なハマりっぷりです(笑)。

小池栄子が民放のゴールデン・プライムタイム帯の連ドラで初主演というのには改めて驚きましたが。彼女を素晴らしい俳優だと認識したのはやはり映画『八日目の蝉』でしたね。永作ちゃんとがっぷり四つの演技力にしびれたことを覚えています。いろんなドラマ・映画で培ってきた演技経験が今回のドラマでも活かされているなーとしみじみ感じます。

それにしてもやり手のウェディング・プランナー万里江役は小池栄子にしかできないと思わされる説得力。頼りがいがあって、夫・息子・父の”ダメ男三人組”を私が養ってやる!という心意気が彼女の体全体からあふれ出てくるような感じがします。

うちには自分の非を認めない憎たらしい男しかいないんだから…」というセリフがありましたが、まさにみんなとことん自分勝手。普通なら心が折れそうなところ、きっと万里江のエネルギーはすべてのマイナスをはね飛ばすパワーがあるんですね。

漫画家廃業寸前のダメ夫悠作役・吉岡秀隆。情けない男を演じさせたらこの人の右に出る者はいないというまさに名人芸。不満タラタラ口元をとがらせて文句を言うときのあの表情と、ちょっとマウント取ったときの人を小バカにしたようなおどけた表情。あれは吉岡くんにしか出せない唯一無二の演技です。『北の国から』の純も思えば情けない役どころだったので(笑)、子供の頃から自然と身についていったアレは武器ですね。

熟年離婚されたヘンクツ頑固おやじ達男役・小林薫。小林薫は昔から大好きな俳優さんです。若い頃も色気があって素敵でしたが、年齢を重ねて渋みも増してさらにどんどん素敵になっている方だと感じています。今回の役も吉岡くんとやり合うシーンと、小池栄子と親子で会話するシーンのさじ加減が絶妙で、相変わらず何を演やらせても上手いなーと。

将来に瞑想中の繊細息子順基役・作間龍斗。百戦錬磨のベテラン俳優さんたちに囲まれて食らいついていくのに必死だとは思いますが、今回の役どころとしては頑張っていい味出せていると思います。

このドラマもオリジナル脚本みたいですね。原作があって面白いドラマももちろんありますが、やっぱりオリジナル脚本は新鮮な気持ちで観られるし、内容に没頭できる点がいいですね。

それにしても「チン(ゴング)」が鳴ったあと、絶妙なテンポで続くこきみよい家族の”言葉のバトル・シーン”は本当に最高です!第2話でも2回バトルがありましたが、どちらも甲乙つけがたい言葉の応酬に大爆笑でした。

父・達男はもう5日も万里江の家に滞在していて、出ていく気配がまったくない…。実は投資話でだまされて貯金がなく、働く場所を探しているという有り様。その達男は、もう十年以上もまともに仕事をしていない万里江の夫・悠作の普段の生活のダメっぷりをマメにメモを取っていました。そもそも娘と悠作の結婚には反対だったようですね。

それを万里江に見せたあと、晩御飯の手巻き寿司を前にしながら巻き起こった”婿舅(むこしゅうと)”バトル。非常に長くなりますが、雰囲気が伝わるようにあえてバトルの様子を全部書いてみます。

悠作 「時代は変わりましたよね?お父さん…。昔はどんなに周りに反対されても突っ走るのが恋愛でしたもんね」
達男 「だから俺は最後まで…漫画家なんて反対だったんだ」
悠作 「えっ?」
万里江「お父さん…」
達男 「それを聞く耳持たずに突っ走った結果がこのザマだ。言わんこっちゃない。二十年前に危惧した通りの苦労の絶えない結婚生活になってるじゃないか!」
万里江「そんなことないってば」
悠作 「じゃあ、言わせてもらいますけど。僕だってホントは結婚したくてしたわけじゃないですからね!」

チン(ゴング)!

万里江「二人ともやめてよ」
達男 「じゃあ。なぜ結婚したんだ?なぜ婚姻届にハンを押したんだ!」
悠作 「連日連夜お宅の娘さんが早く結婚したい、早く籍入れろってあまりにしつこかったから根負けしただけですよ」
万里江「あのさ…一度結婚するって了承したんだから、ホントはしたくなかったとか根負けしただけとか今さら言わないでくれないかな?」
悠作 「そんなに僕のことが気にくわないのになんで何日もうちにいらっしゃるんですか?」
達男 「娘が…あまりに不憫だからだよ」
悠作 「でもすぐに出ていくっておっしゃったじゃありませんか!」
達男 「こんなひどい有り様だとは思わなかったからな」
悠作 「僕をずっと監視するの、あれやめてもらっていいですか?」
万里江「ごめん。あのメモ悠作に見せちゃった」
達男 「いいんだよ。こっちは見せるつもりで書いたんだ」
悠作 「ああ…そうだったんですか」
達男 「見れば少しは反省するかと思ったが、一向に変わる気配がなくてがっかりだよ」
悠作 「見えない部分はちゃんと変わってますけどね」
順基 「どこが?」
悠作 「お父さんがうちに来てからストレスで口の中にヘルペスができて日々たくましく成長してますから!」
達男 「それは、おたくが不健康な生活してるからだよ!」
悠作 「今まで同じ生活してなったことありませんから」
万里江「一回落ち着こう!ねっ。ほら座って座って。せっかくの手巻き寿司が台無し」

悠作「僕が万里江の家事を手伝えばいいですか?そしたら安心してお帰りいただけるんですか?」
達男 「手伝うなんて、どうせ口だけに決まってる」
悠作 「やりますよ」
順基 「やらないと思うなぁ…」
万里江「ほら、悠作も食べなって」
悠作 「酢飯がヘルペスにしみるから食えねぇよ!」
万里江「それぐらい我慢して食べなさいって!」
順基 「イクラとウニ、ダブルでいっちゃおうかな」
悠作 「この息苦しい生活から解放されるんであれば料理・洗濯・掃除・ゴミ出しなんでもやりますよ!」
達男 「やったとしても、俺がいなくなったらすぐやめるんだ」
悠作 「やめませんよ」
達男 「万里江が許しても俺は許さんぞ!そんな楽な生き方。許されていいはずがないんだ」

万里江「お父さんもしかして、お金ないの?貯金なくなっちゃったんじゃない?」
順基 「やっぱりそうなの?」
万里江「宮島さんの奥さんからお母さんに連絡があったのよ。お父さんと連絡がつかないからって。遺品の中から見覚えのない株券が出てきたんだって。それがちょっと前に詐欺事件で話題になつた投資会社の名前と一緒だったって。奥さん、お父さんと宮島さんが投資話を熱心にしてるの覚えたらしくて、もしかしたらお父さんも被害にあったんじゃないかって心配して連絡くれたのよ」
達男 「…ああ…言う通りだ」
万里江「どうしてそんな大事なこと話してくれなかったの?ねぇ、お父さん?」
達男 「お前たちに話したところで、金はもどってこねぇ」
万里江「そうだけどさ」
悠作 「フフフ…なんかいろいろ僕に不満を言いつつ、うちに居座ろうとしてましたけど、ホントはただお金がなかっただけなんですか?うちにとどまる選択肢しかなかったのに、どうしてあんな強気な態度に出られたんですか?」
万里江「ちょっとやめてよ」
悠作 「だまされたあとって、普通もう少し謙虚になりません?」
万里江「悠作!」
悠作 「俺だったらもっと自分に自信なくしちゃうけどなぁ!」
達男 「うるさい!お前に言われる筋合いはない!」

『コタツがない家』第2話より

最初は悠作が達男にたたかれていたのに、貯金がないことを知った悠作が形勢逆転!ここぞとばかりに達男に言いまくる姿はもうなんというか…。人間の”いやらしい”部分を見せつけられた思いがしました。

こんなこと言われたら悠作みたいなダメ夫と離婚を考えそうなものですが、万里江は達男に「悠作はああ見えていいところもある」と言いました。なんだかんだまだ愛しているみたいです。

第3話でもまたまたいろんな騒動が巻き起こりそうですが、万里江の人並はずれたバイタリティーで”ダメ男三人組”をしっかり支えていくことでしょう。ドラマの最後にはみんなハッピーになってほしいなー!というのが私の願いです。

『コタツがない家』は笑って泣けて、これこそ”心のデトックス”になる素敵なドラマです。オススメします!

長い文章最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


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