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羽生くんと星野源の感性は「闇」でつながっていた!?~『おげんさんのサブスク堂』~

8月2回に渡って放送された『おげんさんのサブスク堂』。話の内容が想像以上に濃密で深くて、羽生くんと星野源の感性が非常に似ていることに驚かされました。出逢うべくして出逢った二人という感じです。

ゲストの羽生くんと星野源の直接の出逢いは、昨年の『紅白歌合戦』だったそうです。羽生くんが審査員で、本番終わった星野源と偶然エレベーター・ホールで会ってお互いに「本物だ!」と指差して言い合ったという(笑)。

その時あまり話ができなかったので、今回ゲストとして声をかけてみたそうです。羽生くんはもともと星野源の大ファンだったので、快く引き受けてくれたみたいですね。

最初に羽生くんが星野源にハマッた楽曲は「地獄でなぜ悪い」。実は私が最初に星野源を聴いたのもこの楽曲でした。歌詞を読むとひと言″暗い″です。

くも膜下出血で倒れて手術をした後だからこそ書けた歌詞だと思いますが、星野源はそれ以来常にどこかで"自分の死"を意識しているんだろうと感じています。″生死をさまよう″という体験が星野源に与えた影響は計り知れないと…。

ちなみに星野源の歌詞って"地獄"という言葉が結構使われているんですよね。私の大好きな「不思議」はラブソングにも関わらず、その中にもなぜか"地獄"は出てきます。

羽生くん自身も≪悩み・葛藤・孤独≫を抱えているタイプの人間のようで、「闇」を抱えた歌詞を星野源がポップに歌い上げているのが好きになったきっかけみたいです。そこから星野源の"人となり"を調べたりして、他の楽曲も聴くようになっていったとか。

「化物」という楽曲も、星野源の中から出てくる「化物」をすごく感じるとかで、「おげんさんから見て、星野さんの持っていらっしゃる『闇』はどれくらい深いんですか?」というド直球な質問が非常に面白かったです。

「生まれてきて、意識した瞬間にはもうそこにあって…。幼稚園とか学校とかで輪に入れなくて。色んな人と話していても、自分がこれが普通だと思って話しても、みんなが普通だと思っていることが違って。そこで"孤独感"を抱えて育っていった…。ずっとそれが途絶えない感じ。値としては言えないけれど、ずっと傍にあるものかな…」

星野源の心の中の「闇」はかなり深そうです。

松重さんがすかさず「ゆづくんの『闇』に対するその感受性はどこから来るの?」と聞くと、

「僕自身も"孤独感"みたいなものをすごく感じていて。やってて誰にも分からないだろうな…って思いながらも、色々こだわってきたり…。それが点数につながらないこともあったし、なんで自分やっているんだろうって。そういうところでだんだん一人に"こもる"ようになっていきましたね。そこら辺から、色んな楽曲に手を差しのべてもらったりとかして。もとから自分意外と、こういうところを持っていたのかなって。源さんの楽曲にも救われていたので。それでバランスが取れるようになって、溢れ出す感情がやっと少しずつ言葉になってきて、それを伝えられるようになって…みたいな」

星野源がこの言葉を受けて、「それを持ちながら、笑顔でいるとか、解放できる瞬間があったり。それができるから人生は面白いなって思う」

その後の松重さんの言葉が"言い得て妙"というか、さすが人生の大先輩といった感じでした。

「そういうのが"表現者"としての魅力だよね。深みというか。『闇』も見てる。『現実』もある。が『希望』もある。そういう"三位一体"が魅力になっていて、二人はそこが通じ合っていて美しいな。そして"変態性の方向性"が似てる」

これは名言でした(笑)。

現役の頃の羽生くんは、一人にのしかかる重圧と常に闘ってきたそうです。誰かが自分のために色んなサポートしてくれるけれど、それが完全に無に帰す瞬間が辛くて辛くて仕方がなかったそうです。

期待を裏切りたくないから、それで動かされてる。周りの人をがっかりさせるのが辛い。逃げてしまうことの方が恐い…。

羽生くんの現役当時の心の葛藤が手に取るように伝わってきました。いかんせん"孤高の絶対王者"でしたからね。

競技時代はいい成績さえ残せれば報われていたようですが、プロになった現在は演出・照明・運営、そこに頼りきることができるようになったそうです。多分すべてを一人で抱え込んでいた現役時代よりは、少し肩の荷を下ろしたようで楽になれた感じなんでしょう。

羽生くんは自分の「人生の一曲」として星野源の「Continues」を選びました。

初プロデュースするアイシスショーをどうしたらいいか悩んでいた時、星野源が「Continues」という曲をリリースし、ツアーをしていたと。それがコンセプト・ツアーで「自分が作り出すものは必ず何かに影響を受けていて、それがまたさらに次の影響につながっていく。自分が"大河の一滴"でありながら、でも自分はまた変異させて次につながっていく」こんな内容だったようです。羽生くんはこれにヒントを得て、自分が源さんからもらったものを受け継いで、つないでいけばいいんだ…という気持ちになれて、無事に初プロデュースは成功したそうです。

羽生くんが最後に「この先こうなりたいな!とか挑戦してみたいな!ってこととかある?」という質問に対して「今は先が見えなくて不安だらけ。でも可能性は無限大と思って開き直りながら努力して、人生を終える時に"いいもの"残したなって胸張って言えるように毎日過ごしたい」と言いました。

この言葉を受けての星野源の言葉も、実に名言でした。こんなことサラッと言ってのける星野源って改めて素敵だなーと感じました。

「未来が見えないのは一番いい状態なんだって。こうなりたいとか、ああなろうとか、そういうのがしっかりあるうちは、誰かがやってることがビジョンにあるから。誰も行ってない島に一人で降り立っている。その先が真っ暗。それはとっても面白くて、はたから見ると"未来がある"。でも自分は"未来を感じられない"。それは"表現者"として一番面白いこと。その時はとても不安だけど、十年後思い返すとあの時面白かったなーって振り返られる」

星野源のこの言葉に私自身勇気をもらえた気がしました。羽生くんも「ありがとうございます」と。

これからの楽しみとしては、羽生くんは自分が演じるオリジナル曲がほしいそうで、星野源に曲作りをおねだりしていました。

「オファーするとしたらどんな曲がいい?」と聞かれると、返ってきたその答えがまた何とも言えず羽生くんワールドでした。

「源さんと僕の中の"共通点"と、見せたいんだけど別に見せるつもりもないので、壁を張ってる感じ…」

他人には分からなくても「闇」つながりの二人にはきっとこれだけで分かり合えるものがあるんでしょう(笑)。さらには松重さんも「俳優辞めようかと思ってるから」という深い「闇」があるようで、三人の「暗闇」対談?はここでお開きになりました。

こんなに終始笑顔の羽生くんを見たことがなかったので貴重だったし、大ファンの星野源との時間を心から楽しんでいる姿は、こっちまで幸せな気持ちにさせてもらえました。

30分番組とは思えない充実の内容で、もっともっと観たいと感じました。書ききれなかった音楽ネタも非常に興味深かったし、これはレギュラーで毎月放送してもいい番組なんじゃないかとNHKさんに投書でもしたい気分です(笑)。

長い文章最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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