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太平洋戦争開戦82年

「近頃少々変わったこともありますが、詳しいことは書かれません。また以後、手紙も禁じられるかもしれませんが、元気で働いていますゆえ、母上によろしくお伝えください。さようなら。」

「久しく音信がないので案じておったところ12月8日、ちょうど日英米宣戦の日、書面がつきました。

世界草分けの大戦は火蓋を切られ、日ならずして大戦果を上げ、皇軍の意気昇天の勢い、毎日ラジオのニュース、新聞を見るのも聞くのも痛快の至りだ。」

昭和16年12月8日、日本海軍はハワイの真珠湾を奇襲攻撃し、太平洋戦争が開戦しました。

同じ頃、息子は南支(中国南部)を出発し、フィリピンなどさらに南へと派遣されます。

この手紙のやり取りは、昭和16年12月8日開戦の日の前後でやり取りされた内容です。

前段の息子からの手紙は内容から推察するに11月に書かれています。

少々変わったこともありますが、詳しいことは書けません

このくだりで、真珠湾攻撃の作戦を知らされていたかは分かりませんが、少なくとも戦局が大きな変化を迎えることは戦線の兵士も知らされていたのではと推察されます。

私自身、戦時下の手紙を紹介していく上で忘れてはならないと心に留めていることが、ひとつあります。

それは、「始まりがなければ、終わりもない」ということです。

12月8日の日本の宣戦布告がなければ、失わずに済んだ命がどれほどあったでしょう。

それは日本人に限ったことではありません。

敵対していた国の兵隊さんたち、戦地となってしまった土地に暮らしていた市井の人々…

それぞれにそれぞれの愛する家族があったはずです。

そう言った側面から、どうしても8月15日の終戦に偏りがちな戦争報道ですが、12月8日も戦争と平和について考える日としての意識を持たなければと思うのです。

一昨年は真珠湾攻撃から80年ということで、この時期にも戦争報道も見受けられましたし、私たちの活動についても過去の新聞記事などがヒットしたのだと思いますが、報道関係のお問い合わせをいくつかいただきました。

今年は…

「つばめの記」を知ってくださったみなさん、これからというみなさん、ぜひ12月も戦争と平和について思いを致していただければと思います。

お断り
父親の書いた手紙には戦争を賛美する表現が含まれていますが、当時の日本のプロパガンダをご理解いただいた上でご了承いただけますと幸いです。

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このように、戦時下に交わされた父子の往復書簡を、遺族としての立場から企画展や朗読で伝える活動をしています。

直近では、来年1月に福岡県小郡市にて開催の勉強会に講演でお呼ばれしております。
手紙の朗読でのお伝えがメインとなります。

主催者の方の運営費として参加費が必要ですが、どなたでも参加していただけます。

詳しくは、主催者「地球子屋」様のFacebookイベントページでご確認ください。

写真は、昭和16年12月8日に書かれた、父親の日記のページです。

息子から手紙が届いたことと、太平洋戦争開戦について、日章旗の絵を添え書かれていました。

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