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文次の手紙#08

政次さま

前略ご免下さい。 昨日の会報で今日帰還者が凱旋されると聞き、連隊本部の川﨑さんを訪ねました。2,3日前、写真と一緒に手紙を出していましたが、この手紙の方が早くなるかと思ってことづけました。

就いて下士志願の事ですが、到着してすぐ身上調書等もあり志願の希望を言いました。手続きの都合上、家からの承諾書がいるそうです。前の手紙に書いていましたが、もう一度書き方を示していますから、至急航空郵便にて自分宛にお送りください。
班長殿の話では、今までの補充兵は長男なれば志願はできないそうでしたが、多分現役なれば出来ると思います。いずれにしろ手続きだけはとっていますから、そのつもりでいてください。

今また、戦地での第1期の検閲前にて毎日暑さの中で鍛われています。今月16、17日にあるそうです。いまだみんな二等兵で検閲が終われば進級するものと思って居ますが、その期日はいつごろやらさっぱり分かりません。とにかく人から絶対負けてはいません。一生懸命やっていますゆえ、その点ご安心ください。自分たち初年兵教育係(小銃班)の班長殿は早川哲生といって田島村の人ですから都合のよいところもあります。軽機班の班長も森田という赤間町の人です。

手紙も検閲され非常に軍機に関しやかましいのでいつも詳しいことは書かれません。第一便の手紙を出して一月余りにもなりますが、家からはまだ一通も届いていません。果物はバナナ等たくさんあり不自由はしませんが、甘い物が少なくて困っています。都合の良いとき送ってください。

文次より

昭和15年4月22日到着

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