これからの社会に間違いなく必要になる言葉は"尊重"

フィルターバブルやエコーチェンバー的に人々の考え方や好きなものが顕著に分かれる時代に必要な言葉は"尊重"だと思うという話。

マスに流される人々が減っていくのと同時にエコーチェンバー的な集団が増えていくと、人々は常に陣取りゲームに参加しているために、自分の好きなものや信じているものを相手にも好きになってもらいたいという欲求が強くなる人が必然的に増えていく
その欲求が過激になる人たちは、相手の好きを否定してまで自分の好きなことを押し付けようとするのだが、そんな過激な人になる可能性は誰にでも潜んでいる。

周りを見渡せば同じような考え方の人間がすぐ近くにいたマスコンテンツで成立していた時代では、ハッキリとは見られなかったことである。

このことに気がついている人は果たしてどのくらいいるだろうか。ふとした瞬間にしか見えないものだけど、世の中はだいぶ変わってきている。

自分は変に観察する癖があるために、以上のようなことは日常的に感じている。家族との話は合わないし、好きなものを押し付けられたり、好きな事を否定されたりする。それは直接的だったり、そうではない所で違和感のように感じることもある。
ネット以前までさかのぼっても似たようなことはあるのだが、最近はやっぱりエコーチェンバーで増幅されている感じがある。

人々が分かれることについてもう少し詳しく見てみると、ネットだけで分かれ方が生じているわけではない。いまもマスメディアで生きている人たちというのは沢山いるし、そういう人たちとネットネイティブ、さらにはエコーチェンバーによりどんどんと壁が生成され積み上がってきている。
それ自体が悪いという人たちもいるが、良い部分もあるし止められるはずがないので、そこを議論しても意味はないと思う。

自分の好きなものを否定されるとどうなるか?ということのサンプルとしては某掲示板のまとめサイトが役に立つ。

「バイク乗りの旦那をバイクから降ろした結果w」
 http://hamusoku.com/archives/10193990.html

バイク乗りの旦那にバイクを辞めてもらったところ、無気力状態になってしまったというスレだ。さらにスレ内では、旦那の大切な電車の模型を妻が売ったら無気力状態になってしまったという有名なコピペも貼られている。

これらが本当かどうかは別として実際にありえることである。人の好きなものを否定することは、人を無気力状態にする。

なぜなら、自分ではない人間を望んでいることと一緒だからだ。相手の望む姿に自分の中身を合わせるということは、自分を捨てることと同じ。
人は"尊重"されないとき、"モノ"と同じ扱いをされていると感じる。道具として相手を気持ちよくさせるために利用されていることを、言葉にすることが出来ないために身体や行動に現れるのだ。無気力状態になるし、鬱病になってしまう人もいる。人にいいように扱われるロボットのような気持ちになる人もいるだろう。もちろん逆上する人もいる。
自分の場合は、好きなものを否定されるとき、「死ね」という言葉よりもさらに効果的に「死ね」と言われているように感じる。実際に自分の中の何かが死ぬのを感じたことがあるからだ。

無理強いすることや、無理やり教育すること、親切の押し売りなんかも同じことである。人に親切することによって、誰が得をしているのか、気持ちよくなっているかをよく見ておかなければならない。自分を気持ちよくするために人をモノ扱いしていないか、自分自身にも注意を向けて生活をしたい。


以上は否定される側のことだけど、好きな人に自分の好きなものを共有したいと思うのは"人の性"であるということを忘れてはいけない。

そういう人たちさえも責めることもせずに、解決するために必要になるのが「尊重」という言葉なのだ。

相手を尊重し、相手に多くを望んでしまうことの諦めをどこでつけるかということのバランスの感覚を、多くの人が身につけていく必要がある。

それは作品にして伝えるしか方法は無いんじゃないかと思っている。教育ではそれを教えてはいけない。教育された人と、されてない人との間で軋轢を生んでしまうからだ。

以上のようなことをテーマにした作品が沢山生まれたら良いなと願っている。「多様性」というところではすでに沢山あるのだが、若干違う。

多様性を考えたときに出てくることと、以上のことは近い。もっと身近で目に見えないところでも必要になってくるということなのかもしれない。そう、このことはなかなか目で見えないことなのだ。

相手に何かを望むときには、始めに「尊重」をする。相手が嫌がったら尊重をして、無理強いをしない。この若干チープな考え方が、これからの社会により一層必要となってくる。

これらをまとめると「同一化リテラシー」を育まなければいけないということになるんだけど、それはまた今度、書くかどうかは分からない。




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