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ユマニチュードとは? 新しい認知症ケア。 4つの柱と5つのステップ

ユマニチュードは認知症のケア技法です。フランス人の専門家であるイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコティ氏が考案したケア・コミュニケーション技法です。

この技法を40年かけ400以上のケアの技術体系を編み出しました。

フランス語で「人間らしさ」を意味するユマニチュードは「人間らしさを取り戻す」という意味も含まれています。

2人は以下のような哲学がありました。

人は他の誰かから尊重されることで初めて「人間らしさ」を獲得できる


ユマニチュードには「見る」「話す」「触れる」「立つ」4つの要素があり、ケア・コミュニケーション技法を一連の手順で完成させる「5つのステップ」で構成されています。


ケアの4つの柱


「見る」


「見る」こと同じ目の高さで見ることで「平等な存在であること」、近くから見ることで「親しい関係であること」、正面から見ることで「相手に対して正直であること」をメッセージとして相手に伝えます。しかしながら、ベッドで寝ている人に立って話しかけるときは見下ろす位置になってしまうので「私のほうがあなたより強い」というメッセージが届いてしまうので注意してください。


「話す」


低めの声は「安定した関係」になり、大きすぎない声は「穏やかな状況」になります。前向きな言葉を選ぶことで「心地よい状態」を実現することが可能です。相手から返事がない時には沈黙になってしまいがちですが、無言の状況は「あなたは存在していない」と伝える否定的なメッセージになるので注意しましょう。ユマニチュードでは自分が実施しているケアをポジティブな言葉で実況する「オートフィードバック」という方法を用います。


「触れる」


「広い面積で触れる」、「つかまない」、「ゆっくりと手を動かす」ことなどによって優しさを伝えます。触れる場所は最初から敏感な場所を触ってしまうと驚いてしまうので、できるだけ鈍感な場所(背中、肩、ふくらはぎなど)から触れ始め、その後に敏感な場所(手、顔など)を触るようにしましょう。


「立つ」


立つことによって体のさまざまな生理機能がしっかりと働くようにできています。立つことで血液循環を改善できたりもします。ケアが必要なご高齢者には、立って歩く機会を1日20分程度つくることが必要です。これはトイレやシャワーを立って行う時にできるだけ立つ時間を増やすことでも実現可能です。


ケアの5つのステップ


ステップ1
「出会いの準備」

部屋に入る時は、3回ノックして3秒待つ、また3回ノックして3秒待つ、反応がなければ、1回ノックして室内に入る。反応がなければ1回ノックしてから「失礼します」と声をかけて部屋に入る。ノックすることによって、中にいる人に「誰かが自分に会いに来たこと」を知らせて受け入れるかどうか選択してもらうことができる。


ステップ2
「ケアの準備」


これから行うケアの話をすぐにはせず、「あなたに会いに来た、一緒に楽しい時間を過ごしたい」というメッセージを相手に伝える。正面から近づき、目と目を合わせ、瞳を捉えてから3秒以内に話しはじめる。ポジティブな言葉だけを使って話し、「見る・話す・触れる」の技法を用いる。3分以内にこれから行うケアについての合意をとります。3秒以内に合意がとれなければ、いったん諦める。


ステップ3
「知覚の連結」


ケアにおいて「見る・話す・触れる」のうち、少なくとも2つ以上を同時に使いながら、あなたを大切に思っているというメッセージを継続的に届ける。


ステップ4
「感情の固定」


ケアが終わった後に、心地よかったことや、「あなたと一緒に過ごすことができて嬉しかった」などポジティブな言葉をかけ、終了後、すぐに立ち去らないで、ケアを素敵な経験として感情記憶に残す。認知機能が低下している人の場合には、やや大げさに表現すると効果的。


ステップ5
「再会の約束」

認知症の人は、「また会いましょう」と言っても覚えていないかもしれないが、自分に優しくしてくれた人が、また会いにきてくれるという喜びや期待の感情は記憶にとどまり、次のケアの時に笑顔で迎えてくれる。


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