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いつだって「初めてできた」がうれしい





初めてスコーンを焼いた。






たった

それだけのこと、

かもしれないけど



わたしの心は

静かに踊った。









田んぼに囲まれた
田舎で育ったわたしは
幼い頃、

近くに友達の家なんてなくて


大体、

本を読むか
2時間サスペンスを見るか
田んぼ周りを走る、

そんな日々を
過ごしていたように思う。




ただ
長期休暇がやってくると

むくむくっと
お菓子作りがしたくなって

昼間空いた台所を陣取って
いろんなものを作っていた。




きっちり計量することが
ときめきポイントで

順番にボウルの中で
生地が混ざって

色が変わっていくのを見ながら


生地の質感が変わっていくのを
泡立て器やゴムベラを通じて
手で感じることが

なんだか好きだった。






中でも
いちばん好きだったのは

生地を焼いている時間。





オーブンの中で
その姿を変えていく様を見るのが

なんだか
心地よくて




あぁ、もしかしたら

植物や作物を育てる感覚に近いのかな



両方とも
苦手分野のわたしには

その感覚が分からないけど

思い浮かんだから
きっとそう遠くもないんだろう。





お菓子作りは
普段の料理よりも

準備や時間や手間がかかる
イメージだけど

植物や作物を
育てて実っていく時間よりも

ずっとずっと短い。




今回も
たった18分の間に

膨らんで
様変わりしていく
スコーンたちの姿を見つめながら


とても
穏やかで愛おしい気持ちになった。





スコーンの見た目は


滑らかで綺麗、な感じとは程遠く

段々になっていて凸凹してる。


なのに
その断面が
とても魅力的で


ずっとずっと
焼き上がりを見ていられた。





クッキーのような
美しさはないのに


その佇まいには

不思議と品が感じられる。








"スコーン?
初めてたべる。


なにこれ、めっちゃうまい。"









穏やかな愛おしさのもとで
作られたものが

誰かの今日をそっと彩ったなら




わたしの想いが
そのまま目に見える形で


そこに存在しなくても



一生伝わることがなくても





胸の奥が

じんわりとあったかくなるのを感じた。








初めてのことって


それが
どんなに些細なことでも

挑戦できたらうれしくて 



とっても味わい深い。





いつまで経っても


昨日できなかったことが
今日またひとつ新たにできた、

というのが


わたしにとって

ちっちゃいようで大きな



喜び、みたいだ







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"自分と真っ直ぐ向き合うこと" でより満たされた日々を送れるようなヒントになったらとこれまでの研究を言語化して公開を始めました ♔ 繊細で不器用で生きるのが難しい、そんなふうな私でもひたむきに今を生きてる…そんなことを表現できたらなと思ってますꪔ̤̫