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アプローチの中心が「人」であることは変わらない。【受講生課題記事】

※こちらはco-ba school「ライティング基礎ワークショップ」の受講生が、課題として作成したインタビュー記事です。

「文章を作ることも、ブランドデザインも、思考のプロセスは同じ。」そう語るのは、ブランドデザインを追求する麦田ひかる氏。デザインを生業とする彼に、なぜ、文章として言語化する能力の向上が必要なのかを聞いた。

ーブランドデザインとは、具体的にどんなものなのか教えて頂けますか。

例えば、ここに無地のコーヒーカップが2つあるとして、どちらを選びますか?
全く同じものであるならどちらでも良いと思うんです。

でも、ひっくり返してみたら片方だけ、気に入って利用しているコーヒーショップのロゴが入っていたらどうでしょう。ロゴが入っている方を選びたくなりませんか。すごく端的に言うと、これがブランドデザインです。

そのブランドを見て、コーヒーの美味しさだけでなくコーヒーショップで過ごした時間だったり、人との会話だったり、コーヒー以外の要素を関連して思い出すんです。

これは人と物はもちろん、人と企業を関連づけさせる考え方として非常に重要なポイントです。

ブランドデザインとは、プロダクトの価値そのものだけではなく利用する人の思考と感情に訴えかけて、関連したストーリーを与えることと考えています。

ー人の心に訴えるデザインのことを、ブランドデザインというんですね。

私はデザインには2種類あると思っています。
1つは、美しさや芸術性をビジュアルでデザインするもの。

2つ目は、仕組みをデザインすること。
ビジュアルのデザインだけでなく、ユーザがどんな体験をするかという仕組みを作ることもデザインなんです。その2つを融合させたものを「ブランドデザイン」として世の中に提供していきたいんです。

ーブランドデザインを仕事にしようと思った原体験はなんですか?

もともとデザインに特化した教育を受けたりはしていませんでした。しかし、1冊の本と出会って衝撃を受けました。深澤直人氏の「デザインの輪郭」という本です。

それまでデザインは美しさやビジュアルに訴えかけるものがデザインだと思っていたんですが、そうではなく本質的に輪郭を与えてあげることがデザインだと書かれていました。

印象的だったのが「外圧と内圧を調整するのがデザインの仕事である。」というフレーズがあって、それは非常に強く印象に残っていて、今でも読み返しながら考えることが多いです。

—外圧と内圧ですか?

例えばデザインにとって、外圧というのはものを使う人や見る人。体験する側、つまり「受け取る側」のことを指します。内圧は企業だったり、作る人だったり「提供する側」の人のことを指しています。

そういった意味で、外圧と内圧を調整して、そこで一番均衡の取れた部分で輪郭を型取ってあげることが重要。その視点に感銘を受けたことが、デザインの仕事を始めるうえでの原体験だったと思います。

ーデザインは、非言語的なコミュニケーションだと思うんですが、今回sentenceを受講して、言語化のコミュニケーションに必要性を感じたのはなぜですか?

きっかけは「良い文章」を書きたいというのはもちろんあるんですが根底には「思考を体系化したい」という願望がありました。ブランドデザインも文章を作ることも、形にするまでのプロセスが非常に似ていると思うんです。

例えば、文章を作っていくうえで、課題を抽出したり、論理的にパーツを並べたりするということが必要な工程だと思うんですが、デザインも同じ過程たどって進行します。文章もデザインと同じように外圧と内圧を型取る必要がある。

そういった力を鍛えたいと思いましたし、課題を抽出する力を鍛えながら、アウトプットの言葉も綺麗にしたいと思って受講しました。

—デザインも文章も完成までのプロセスが似ているから学ぶ必要があると感じたんですね。

アウトプットの形は全く違いますが、時代がこうなっているとか、自分はこう考えているなど、抽象的な要素を摘み取りながら、キーワードとして拾っていって、具体的にしていく部分は非常によく似ています。

—デザインと文章が似ているとは、考えたこともありませんでした。

デザインも文章も、提供する側とされる側のマッチングが非常に重要です。しかしこれはデザインや文章だけの話ではなくて、対人関係でも言えることだと思います。コミュニケーションのすべては、相手と自分の接点に輪郭を作ってあげることだと思っています。

(インタビュー・文/土田雅也)

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