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全身タトゥーの眼光鋭い男性が歩むカミーノの話

昨日泊まったアルベルゲに
腕やら脚どころか首までタトゥーが入った男性がいた。
しかもゴツくてデカくて髭面で眼光鋭くてちょっと(いや、けっこう)怖くて…
なんばで向こうから歩いてきたら絶対目ぇあわさんようにしとこって思うやつ(失礼)

お昼食べ行ってシャワー浴びて洗濯して
リビングみたいなところでカミーノ仲間としゃべってたらその怖い人が隣に座ってきた。
ちょっとだけ早まる鼓動…


イチジクが橋渡し


テーブルの端のカゴに近所の方が下さったらしいイチジクが積んであった。
日本で見るやつよりだいぶ小ぶりなやつ。

ドイツと台湾のカミーノ仲間と「ちょっと頂く?」ってなって手を伸ばした。
しかしながらわたしの手は思ったより長くなくて届かず…タトゥーの怖い人(失礼)に「Could you?」って言ってとってもらった。

「Thank you! where are you from?」と聞くと

「…Hablo solo espanol!」(俺話すのスペイン語だけやで)

「Pues,vamos a hablar en espanol!」
(ほなスペイン語で話そうやおっちゃん)

え?皮ごと食べていいんだっけ?
ま、いっか。と美味しく頂いた。

と、イチジクをきっかけにしゃべり始めたその人はアルフレッド。

みんな英語でしゃべるから…


どうみてもスペイン語を話しそうにない平たい顔族のわたしがちょっと話せるってわかって、少し笑顔を見せてくれたのが嬉しかった。

はるか昔のことだけど、勉強しといてよかったーって思う瞬間がてんこ盛りのカミーノ。
地元の人らと話すとどんどん新しい言い回しとか単語教えてくれるから、日々上達していく(ような気がする)わたしのスペイン語。

「俺スペイン語しかしゃべれないんだけどどこのアルベルゲもみんな英語で話すからカミーノ始めてからあんまり人と会話してなくてさ」

アルフレッド曰く

「超わかる。なんかわたし今どこにいるんだっけ?レベルで英語しか飛び交ってない日が多すぎる。共通言語なのはわかるけど、ここスペインだからみんなもっとスペイン語使えばいいのにね」

藤子

共通言語としての英語は便利だしとてもいいと思うけど、英語ネイティブがスペイン人に英語でまくしたててるのはちょっと図々しいなってイラっとしている今日この頃。

え?パタゴニアってスペインだっけ?


どこからきたのー?って聞くと「パタゴニア」って。

わたしの中ではあのアウターなどで有名なメーカーが思い浮かびつつ

「え?…スペインにパタゴニアなんて地名あったっけ?」

「いやいや俺アルゼンチン人」

「あ!なるほど!」

なんて言ってGoogleマップみながら「この辺この辺」って。

しょっちゅうパタゴニアの辺の山登って鍛えてることもあり、日々わたしの倍くらいの距離を移動してた。

聞くと、サンティアゴ巡礼でみんなが向かっているサンティアゴデコンポステーラにアルフレッドのルーツがあるんだって。

40歳で初めてその地を訪れた記念に入れたタトゥーを見せてくれた。

すご!写真とっていい?
って聞いたら「もち!」つって
撮影しやすいように足あげてくれた

スペイン内戦と移民の話


アルフレッドのお母様の幼少期に内戦が起こり、サンティアゴでは暮らせなくなって家族でアルゼンチンに移住したらしい。

一説によるとその時期には2,000,000人のスペイン人がアルゼンチンに渡ったとのこと。
わたし英語もスペイン語も数字が全然わかんないのでスマホの電卓機能を使って数字を確認した。

今はもうサンティアゴデコンポステーラの家は残ってないけど、ちかくに親戚がいるかもしれないからこれから連絡取ってみるって言ってた。


色んな理由でカミーノを歩いてる人に出会うけど、アルフレッドがカミーノを歩く理由聞けて嬉しかったし、人一倍特別なカミーノを歩んでるんだなと思った。

みんなそれぞれの理由で歩くカミーノ

大きな怪我なくサンティアゴデコンポステーラに辿り着いたアルフレッドが無事に親戚の方々に会えますように。

道中では英語が飛び交いすぎてるけど
サンティアゴではたくさんの人とスペイン語で昔の話とか今の話、これからの話いっぱいしてパタゴニアに戻ってほしいなぁと思う9月の午後。

#わたしの旅行記


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