ピークハントならぬハニーハントな登山とは
「もう私は、二度と山には行かない。」
ひさしぶりの登山がよっぽどツラかったのか、下山して妻にこう言われた記憶があります。
あれから約5年ほど経過し、今はまた夫婦仲良く登山を楽しむようになりました。
妻曰く「私の登山はピークハントではなく、ハニーハントが目的」なんだとか。
単純で直感的な妻ですが、いつも多くの学ぶべき点があると常々私は感じています。
今日は10月10日スポーツの日ということで、妻の登山に対するスタンスの変化について、私なりに思いを巡らしてみたいと思います。
ちなみに「ピークハント」とは登山用語で「山頂のみを目指す山の登り方」のことです。
妻の言うハニーハントとは
妻の言っている「ハニーハント」とは、つまり山で食べる「オヤツ」を指します。
山の頂上や麓に美味しいスイーツショップがあると、俄然やる気が出るそうです。
美味しいスイーツがあれば、なんなら頂上を目指さなくても良いと言うのです。
甘味処なら山より都心の方が多い気もしますが、やはり良い景色を眺めながら食べるスイーツが最高なんだとか。
スイーツにそれほど興味のない僕も、山で食べるオニギリやカップ麺は、街で食べるのとは格別な美味しさだと実感します。
そのため最近の夫婦での山行では、美味しいスイーツメニューがある山小屋などがメインで組まれます。
いずれにせよ、在宅ワークで家に篭りがちな妻に運動の習慣が出来て良かったです。
登山する人はドM?
会社員だった頃、よく飲み会などで「なんで山なんて登るんですか?」といった趣旨の質問をされました。
こういう質問に「山頂に立った時の達成感」なんて答えると、まるで定型文かのように「えー!ドMじゃないですか(笑)」と返ってました。
似たような質問で、「どうしてマラソン大会なんて出るんですか?」という質問もありました。
これも「ゴールの達成感」などと答えると、やっぱり「えー!じゃあマゾなんですね(笑)」と返ってきます。
こういった質問をする人は、あくまで話を盛り上げキッカケを作ろうとしてくれているだけで、まったく悪気なんてありません。
しかし、この「登山=ドM」や「ランニング=マゾ」という発想は、いったい何処からくるのでしょうか?
スポーツの目的は自由でいい
これらの発想の起源は、おそらく学校行事の「マラソン大会」や「林間学校」ではないかと僕は睨んでます。
学校で開催されるマラソン大会は、トレーニングをしていない生徒が、いきなり5kmや10kmといった長距離を走らされます。
林間学校も、ただ学校行事だからという理由だけで、いきなり登山させられます。
マラソンも登山も、少しずつ自分のペースで距離や強度を上げていってこそ楽しみがわかるスポーツです。
ろくにトレーニングもしていないのに、いきなり強度の高い運動をさせられれば辛いだけで、誰でもそれらが嫌いになるのが当たり前です。
前述の女性が「登山=ドM」や「ランニング=マゾ」と言っていたのも頷けます。
マラソン大会にいたっては、そのうえ順位までつけられるのだから、足の速い子以外にはちょっとした地獄ですよね。
もちろん、多少無理をしてでも自分の限界を超えることは素晴らしいことですが、それを誰かに強制されるのは辛いし、運動する目的はそれだけではないはずです。
多様な生き方が推奨される時代です。
私の妻の登山の目的が「ピークハント」から「ハニーハント」に変わったように、これからのスポーツの目的も、もっと自由でいい気がします。
例えば、銭湯に入るのとが目的でランニングなんていかがでしょうか?
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