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「ヨッシーアイランド」の元ネタはこれかもしれない

 「ウィロー」という映画がある。公開は1988年。ジョージ・ルーカスがなんかしらやってたものの「スター・ウォーズ」と比べればマイナーだ。内容は中世ヨーロッパ的な価値観をベースに、魔法や妖精が存在する世界を舞台にした冒険譚。いわゆるハイファンタジー。今でいう異世界ものだ。

 子供の頃に一度見ただけだが、とても印象的で記憶に残っている場面がある。悪い魔女に魔法をかけられた人間の顔や手足が、豚へと変化していくシーンだ。実写の人間が少しずつ豚に変わっていく様子は怖ろしく、衝撃だった。あと、なんかエロかった。

 それ以外の細かいストーリーはあんまり覚えていない。ふとどんな話だったか気になってあらすじを調べてみたところ、次のようなものだった。

 主人公は人間とは異なる小人族の村に住む男、ウィロー。見習いの魔術師だが手品もうまく出来ない。ウィローは偶然、川から流れてきた人間の子供を拾い、その子を人間の国へ返すために村から旅に出る。旅の途中、荒くれものだが腕の立つ剣士や、イタズラ好きの妖精、赤ん坊の命を狙う謎の女と出会う。やがて赤ん坊が救世主の宿命を持って生まれた子供であると知ったウィローは、出会った仲間たちとともに、世界を脅かす魔女バブモーダと戦うことになる。

 冒頭、バブモーダは「腕に印のある子供が自らを滅ぼす」という予言を恐れ、印を持って生まれた赤ん坊を殺そうとする。だが、赤ん坊は身を挺した助産婦のおかげで逃がされ、ウィローのもとへ辿りつく。

 あらすじを読んで映画の細部の記憶が蘇ってくると同時に、あることに気づいた。このストーリーは何かに似てるんじゃないかと。

 それは不朽の名作アクションゲーム「ヨッシーアイランド」である。

 「ヨッシーアイランド」では、カメ族の魔法使いカメックが、占いで「将来、我々に災いをもたらす双子」が誕生したことを知り、さらおうとする。両親のもとへ双子を運んでいたコウノトリが襲われ、赤ん坊の一人はさらわれてしまうが、もう一人は森の中に落ちる。それを恐竜のような不思議な生き物であるヨッシーたちが拾い、さらわれた赤ん坊と引き合わせるために旅に出るという筋書きである。

 ひょっとしたら「ヨッシーアイランド」の物語の元ネタは「ウィロー」ではないか。英雄になると予言された子供を守る、という物語は他にもあるが、悪い魔法使いが赤ん坊を狙う、人間ではない種族が赤ん坊を拾う、赤ん坊を連れたまま冒険をする、など共通点が多い。

 この作品までのカメックは単に「魔法を使う」個性しかなかった。しかし「ヨッシーアイランド」では女言葉を使う「魔女」風のキャラクターとなっている。このあたり、バブモーダに通じるところがある。

 しかし「ヨッシーアイランド」の開発秘話やトリビアを調べても「ウィロー」の名はどこにも出てこない。単なる偶然の一致かもしれない。

 ところで「ヨッシーアイランド」には「モーフィング」という特徴的な要素がある。ヘリコプターや機関車など乗り物の絵が描かれたパネルにヨッシーがぶつかると、その乗り物にヨッシーが変形する。

 もともと「モーフィング」とは映画用語で、あるものが別のものへ姿を変えていく映像技術のこと。「ターミネーター2」の液体金属のシーンで広く知られるようになったが、初めて導入された作品として映画史に名を刻まれている映画がある。

 それは何を隠そう「ウィロー」なのだ。僕の脳裏に焼き付いていた豚のシーンである。これでも偶然の一致というのかね。