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グノー作オペラ『ファウスト』の粗筋をどう書くかについて、筆者がふと思ったこと

以前書きましたこちら

のラスト部分で、19世紀フランスの作曲家グノーによるオペラ『ファウスト』のラストで、原文では(主人公ファウストと契約した悪魔のメフィストフェレスは天使勢に討伐されるが)ファウストは演出により討伐される場合とされない場合があるような書き方になっている(が、今ではどうやらファウストも討伐される演出が好まれる傾向にあるようだ)という話をしました。

ところで、日本語で読める様々な名作オペラの粗筋について書いた文章を読みますと、ラストでファウスト(と、場合によってはメフィストフェレスも)がどうなるかについては全く触れられていないケースが結構よくあります。
これについては、このグノー版がそもそもゲーテによる「原作」版(但し正確にいえば、ゲーテ版も「原作」ではありませんが)とは異なり、メインヒロインでファウストの恋人になるが悲劇的な死を遂げてしまうマルグリート(フランス語読み。ドイツ語読みではマルガレーテ、英語読みではマーガレット)の魂が救済されるストーリーであるということに力点が置かれているからというのが、大きな理由の1つです。
実際、オペラ原文でもメフィストフェレスはほぼ無抵抗で討伐されたような書き方です(但し、ここでバトルシーンを若干入れる演出も皆無ではないようです)が、ここで天使勢とのバトルシーンを念入りに描写すると冗長になってしまい主題もぼやけてしまうからであると思えば納得です。
メフィストフェレスと天使勢の格闘及びメフィストフェレス討伐の方を観たい方におかれましては、結局有料コンテンツですがこちらの『ウルトラマンR/B』18話

をお勧めします(筆者も何度か触れていますが、R/B版メフィラスはウルトラ戦士に討伐されてしまう点も含めてグノー版メフィストフェレスにそっくりです。ちなみにシンウル版に比べ随分「くだけた」話し方をします)。なお、今回のヘッダーが「M78ふわふわシリーズ(ぬいぐるみ)」のウルトラマンロッソ&ブル(つまりグノー版でいうと天使勢の役回り)なのはこのためでもあります。


<推し活独単語>
粗筋:Zusammenfassung 
結末:Ergebnis 
(参照:三省堂「ベーシッククラウン独和・和独辞典小型版」(2018年版)、アプリ「DE-JA辞書」)

<参考文献>
河原廣之訳・注釈・編集『対訳 ファウスト』おぺら読本出版、2019

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