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【日記】移住して一年が経ちました

お陰様で、明日をもって移住して丁度1年になる。

全国でも有数の豪雪地帯である湯沢に移住したのは11月。今思えば「移住したら即冬」という状況はハードモード以外の何物でもない。

慣れない人間関係や厳しい自然環境によるストレスが心身を蝕んでいくのは想像に易い。実際、僕も乾燥肌による皮膚炎にやられ、冬が明ける頃には、帯状疱疹に罹り倒れかけたが、ここをクリアすれば初めての田舎暮らしで苦労することはあまりなかったように思う。

次の冬はもう少し楽に乗り切れるだろう。

田舎で重宝されること

僕の結論を大雑把に言えば、田舎暮らしはとても楽しい。
豊かな自然とか(湯沢に関して言えば温泉!)、人が親切とか、食べ物が美味しいとか、割と多くの人が田舎の利点として挙げる項目以外に、僕にとっては単純に「活躍の場がある」ということがもの凄く大きい。例えお世辞であっても、「あなたが移住してきてくれて地域が変わった」と言われるのは素直に嬉しいものだ。

ITに明るかったり、営業・企画ができたり、コーディネートができたりと言ったスキルセットは都会ではそんなに珍しいものではないのだが、田舎では重宝されることが多い。僕の場合、大組織のガバナンスや政治活動を経験していたのも大きかったかもしれない。加えて、起業とそれに関わる失敗経験が育んだ強メンタルは地域に飲まれずにサバイブするのに大分役立っている。

お陰様で、地域の産学官民連携のプロジェクトを主導したり、地域団体の立ち上げなど、面白い取り組みに沢山関わらせてもらっている。組織に縛られず、フットワーク軽く動けるのは僕の性に合っていると思う。単純に、仕事の内容という観点では、今までで一番充実していたと言って差し支えないだろう。もっとも、謎の軽快なムーブに異論を挟む人もいるが、一応、常識は弁えた上で戦略的にレールを外れているのでご容赦いただきたい。

田舎における「仕事」を掘り下げる

「田舎には仕事がない」。

これはよく聞くワードだし、僕が「働き方改革」というミッションの下、現在進行形で公に取り組んでいる課題でもある。確かに雇用は少ないし、生み出す必要性も強く感じているが、仕事を「自己表現と価値創造」と仮に定義すればどうだろう。田舎、ローカルには無限の可能性が眠っているのではなかろうか。

10年ちょっと前、僕が会社に入社した頃は、都会の仕事は都会でしかできなかったが、情報通信技術の進展は僕らの働き方の概念を根本的に覆した。ワークプレイスが四次元化したことにより、田舎で暮らしながら都会と同じように仕事することも容易になった。田舎で自分のやりたいことをしながら、都会の仕事でお金を稼ぐ、このようなモデルが徐々に生まれつつある。僕もそんなタイプの働き方をこれから本格的に実施していこうと思ってる。

また、田舎は人が少ないので、少し変わった動きをすると良くも悪くもすぐ目立ってしまう。しかし、それが地域のニーズとマッチすれば、きちんと評価もしてもらえるし、その動きが何らかの価値を生み出しているという手応えがある。やる気と実力次第、向き不向きがある、と言ってしまえばそれまでかもしれないけど、少なくとも僕は、田舎に活躍のフィールドを創ることは大企業や都会でそれをやろうとするより、容易であると感じている。

「働き方改革」「関係人口」「ワーケーション」と言ったキーワードを元に、全国に先駆けて先進事例を作っていく取り組みはとても面白い。二年目以降、目に見えるプロジェクト・事業として形にしていきたい。

都市とローカルの健全な関係に向けて

安易なポジショントークを展開するつもりはないが都会で獲得したスキルを武器に田舎で活躍するというスタイルは、これから一般的になってくるかもしれない。いきなり移住することは難しくても、都会でこれまでの仕事をしながら、自分の好きなローカルに活動の拠点を持つというライフスタイル(多拠点生活)へのハードルは随分と下がったように思う。政府の政策もそれを後押ししているし、そう言ったライフスタイルを推奨する企業も僅かではあるが出てきている。

ICTの進展に伴い、日本のローカルを取り巻く環境・風向きは少し変わったと思う。ローカルから何かを仕掛けようとしている人にとっては制度の面でも追い風だ。

日本のローカルには宝が眠っていると思う。
移住して一番強く思うのは、そのことだ。

これまでの中央集権的なメディアが支配的だった時代には見え辛かった価値が、ソーシャルメディアを初めとする分散型のメディアが支配的になるにつれて可視化されるようになった。面白い人や面白い文化と繫がりやすくなったことについて、僕は好意的に受け止めている。

一方で、危機感もある。依然として、日本の都市部と過疎地域の間には如何ともし難い分断がある。経済の規模も、教育機会も、インフラ基盤の面でも、田舎にはどうしても不利な要素が多いことは否定できない。もし、僕らの世代がこの分断を繋ぎ止めることをしなければ、この分断はいずれ修復不能な絶望となり、この国を覆うだろう。

都市とローカルの健全な関係に向けて、僕は仲間と新たな一歩を踏み出す。旧約聖書から一言引用して締めたい。「一人なら打ち負かされても、二人なら立ち向かえる。三つ撚りの糸は簡単には切れない。」(伝道者の書 4:12)

仲間の力無しには何も成し遂げることはできない。
この確信は移住してさらに強くなった。

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