畠山智行/@Hatake

【Marketplace Ministry with Social Innovatio…

畠山智行/@Hatake

【Marketplace Ministry with Social Innovation in Tohoku region】東北の中心から愛を叫ぶ豪雪地帯エンジョイ勢。2018年仙台市から秋田県湯沢市院内に移住。地域社会とか生き方とか働き方のデザイン。クリスチャン。弓道好き。

最近の記事

【日記】移住して一年が経ちました

お陰様で、明日をもって移住して丁度1年になる。 全国でも有数の豪雪地帯である湯沢に移住したのは11月。今思えば「移住したら即冬」という状況はハードモード以外の何物でもない。 慣れない人間関係や厳しい自然環境によるストレスが心身を蝕んでいくのは想像に易い。実際、僕も乾燥肌による皮膚炎にやられ、冬が明ける頃には、帯状疱疹に罹り倒れかけたが、ここをクリアすれば初めての田舎暮らしで苦労することはあまりなかったように思う。 次の冬はもう少し楽に乗り切れるだろう。 田舎で重宝され

    • 【書評】サードドア: 精神的資産のふやし方(Alex Banayan著 太田黒泰之〔訳〕 )

      面白過ぎた。一晩で読んでしまった。 笑いあり、涙あり、深い教訓ありと、こんなにグイグイ惹き込まれる文章は久しぶりだ。著者Alex Banayan氏はさぞ魅力的なチャレンジャーなのだろう。肩の力を抜いて、小説を読むようにリラックスして楽しみたい一冊だ。 『サードドア:精神的資産のふやし方』 良い意味で期待を裏切ってくれるだろう。 世界最年少ベンチャーキャピタリストが書いた「精神的資産のふやし方」という副題や、セレブへのインタビューという要素から、巷に溢れる安っぽい成功本のよ

      • 【書評・解説・実践】『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』(佐宗邦威 著)

        VUCAの時代をどう生きるか企業活動や教育、または個人の人生設計において、過去の成功・失敗に基づく未来予測と意思決定が絶対正義だった時代は過去のものとなった。変化のスピードが速く、世の中の見通しがつきづらくなったことは多かれ少なかれ誰もが体感していることだと思う。 VUCAという言葉がある。 Volatility(変動) Uncertainty(不確実) Complexity(複雑) Ambiguity(曖昧)の頭文字を取った、現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況を

        • そろそろ自分を信じていい頃だ

          この世で最も赦し難く、受け入れ難く、愛し難いのが「自分自身」という存在だ。僕らは大な小なり、困難な自己受容という問題を抱えながら生きている。とりわけ、日本という国に限定してみるとその問題は深刻であると言える。内閣府の調査(特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~)でも、その傾向は明らかだ。 「自分自身を愛している、I love myself.」を自信を持って、嘘偽りなく言える人がどれ程いるであろうか。 思えば、僕も自分自身を憎みながら生きてきた。 何度、

        【日記】移住して一年が経ちました

          満たされぬ者の幸福

          「本物の幸福を味わえる可能性のある人生とは、何者かになるプロセスである。」ギリシア危機の際に財務大臣を務めた経済学者、ヤニス・バルファキス氏の著書『Talking to my daughter about the economy(邦題:父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。)』で最も印象に残ったフレーズだ。 本書は経済学について書かれた本なのだけども、文学的なエッセンスが随所に散りばめられており、小説のように楽しく読ませてもらった。また、「経

          満たされぬ者の幸福

          家路への憧憬と孤独

          移住して初めての夏が終わろうとしている。 いや、もう終わったというべきか。 暦の上ではもう秋だ。雪国の秋はまた独特で、そう遠くない先に訪れる冬を想起させるせいか、都会で暮らしていた時と比べて三割増しくらいの寂寥感を感じる。 慣れない土地での独り暮らしは、どうにも切ないものだ。 今日書き残すのは、誰の役にも立たない(であろう)、「孤独」に関する極私的な随感だ。 自分のことを何かと気にかけてくれたり、一緒に遊んでくれたりする仲間がたくさんいる中でこのようなことを言うのは贅

          家路への憧憬と孤独

          尾崎豊に謝りたい

          さだまさしの『縁切り寺』と『雨やどり』をコピーする中学生の尾崎豊の音源を聞いて感じたこと。テキスト自体は三年前に書いたものなのだが、日の目を見ないまま埋もれさせるのは何となく勿体ないと思うのと、新時代を迎えるにあたっての教訓があるように思うことから、若干の修正を加えてサルベージしようと思う。 この音源を聞いていると、素のままの尾崎少年は「反抗のカリスマ」や「十代の教祖」というパブリックイメージとは縁遠いところにいる、ただひたすらに優しい少年だったのではないかということを思わ

          尾崎豊に謝りたい

          【苦しみと悲しみから見える真理のこと】

          正直に告白すると、家族とは絶縁・離別・死別しているので、自分は天涯孤独の身です。 自分にとっては、「家族のために頑張る」というモチベーションで働く人は宇宙人ですし、休日のショッピングモールを一人で歩くのは拷問と呼ぶに相応しい行為です。 仲間や友達はたくさんいますが(しかも皆本当に良い人で)、「家族」と呼べる人、心の本当の本当の深い部分のところをさらけ出せる人がいないという、言いようのない孤独と深い悲しみ故に、心の中で毎日半狂乱してます。 それを人前では絶対に出さないとい

          【苦しみと悲しみから見える真理のこと】

          今、ありがとうを言いたい人

          苦楽を共にした仲間が旅立ってしまった。 葬儀から二日が経った今も、正直実感が湧かない。 彼女にもう会えないという現実と、何とも言えない虚無感のようなものが、日を追うごとに心を侵食していく。 彼女は仙台市が主催する社会起業家育成プログラムで一緒に頑張った仲間だ。このプログラムの12人の採択者は、この社会を少しでもよいものにしていきたいという想いで、厳しいプログラムに本気で取り組んできた。 プログラムは厳しかったけど、楽しくもあった。 起業家として、人間として、成長してい

          今、ありがとうを言いたい人

          90歳に学ぶ未来のライフスタイルのこと

          今、90歳ヒアリングが熱い。 90歳ヒアリングとは、戦前の暮らしを知る90歳前後のお爺ちゃんお婆ちゃんに当時の生活の様子を聞いて、長い年月の中で培われてきた、自然と共に限られた資源で心豊かに暮らす方法(ライフスタイル)をデザインするというものだ。 この手法を用いたまちづくり・事業デザインは東京都市大学環境学部の古川柳蔵教授らによって開発され、兵庫県豊岡市や岩手県北上市等で用いられている。 僕らは、多様なプレイヤーと連携しながら、秋田県湯沢市でこの90歳ヒアリングの手法を

          90歳に学ぶ未来のライフスタイルのこと

          【書評】『遅刻してくれて、ありがとう(下) 常識が通じない時代の生き方』 トーマス・フリードマン(著) 伏見威蕃(訳)

          素晴らしい読書体験であった。 世界を動かしている大きな力の正体は何なのか? その大きな力に僕らはどのような影響を受けているのか? そして、僕らはこれから何を大切にして生きれば良いのか? スマホを置いて、一度立ち止まって考える時に来ている。自分が知る限り、本書はそのための最も優れた指南書である。 常識が通じない世界 僕らはテクノロジー、グローバリゼーション、気候変動がかつてないスピードで進む超加速の時代に生きている。 テクノロジーの留まることのない進歩は、産業や暮らし

          【書評】『遅刻してくれて、ありがとう(下) 常識が通じない時代の生き方』 トーマス・フリードマン(著) 伏見威蕃(訳)

          正面からか、斜めからか

          教育とは「共育」、共に育つことなのだと思う。 教えているつもりが逆に教えられる、子ども達と接しているとそんなことは日常茶飯事だ。 僕は職業としての教師ではないけれど、教育というものに対してそれなりの重荷を持っている。「良い学びの場に恵まれた自分には、良い学びの場を他者に提供する責任がある」みたいな価値観を持っていて、機会を捉えて教育関係のボランティア活動に参加させてもらっている。 親と先生以外の大人 先日、縁あって地元の県立高校でキャリアセミナーの講師をさせてもらった。

          正面からか、斜めからか

          【書評】『これからの働き方を哲学する』 小川仁志(著)

          哲学は、常識や思い込みを疑うことを得意とする。 改革や脱構造は既存の枠組みを取り払うことから始まるから、「働き方改革」や「脱社畜」といったムーブメントと、哲学という学問は非常に相性がいい。 似たようなタイトルで『働くことの哲学』や『働き方の哲学』という本も出ていて、そちらも是非おススメしたいところであるが、今日は、先月出版されたばかりの『これからの働き方を哲学する』 小川仁志(著)にフォーカスを当ててみたい。 分かりやすい話・文章に定評のある小川氏であるが、本書も例に漏

          【書評】『これからの働き方を哲学する』 小川仁志(著)

          【書評】『遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方』 トーマス・フリードマン(著) 伏見威蕃(訳)

          今年最初に買った本がなかなかに面白い。 読み進めていくにつれて、世界を動かしている大きな力の正体が明らかになり、僕らの生活や仕事、価値観にどのように影響を与えているのかが見えてくる。 実に学びの多い一冊だ。 本書は、ベストセラーとなった『フラット化する世界 (The World Is Flat: A Brief History of the Twenty-first Century)』の著者の最新作『Thank you for Being Late: An Optimi

          【書評】『遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方』 トーマス・フリードマン(著) 伏見威蕃(訳)

          【書評】『うしろめたさの人類学』 松村圭一郎(著)

          移住先の湯沢にはスターバックスがない。 仙台に住んでいた頃は、近所のスターバックスに朝早くから通ったものだったが、今となってはそんな習慣も少し懐かしく思える。 仙台と周辺のスターバックスには、本屋と隣接している所が何店舗がある。昨晩、所用で仙台を訪れて隙間時間潰しに立ち寄ったのがそのタイプの店舗であったが、「隣接している本屋の本を一冊に限り、席に持ってきて自由に読んでいい」というサービスがあるということを知った。僕は妙に嬉しくなり(バリスタさんの接客も大変良かったので)、

          【書評】『うしろめたさの人類学』 松村圭一郎(著)

          「院内」という僕が選んだ美しいローカルの話

          自分のルーツを巡る旅というものはなかなかに面白い。 僕の場合は、そのルーツを巡る旅が人生を大きく変えてしまった。そして、今後も大きく変え続けていくだろうと思う。今日はその話をしたい。 僕のnoteにはこれから「院内(いんない)」という言葉が頻繁に出てくるので、解説を加えておきたい。念のため断っておくが、僕は医療関係者ではない。 院内というのは、秋田県の最南端、湯沢市にある土地の名前で、かつて「東洋一の大銀山」として年間産出量日本一を何度も記録した院内銀山によって栄えた古の

          「院内」という僕が選んだ美しいローカルの話