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【光る君へ】千年たっても何年たっても

ドラマを見た個人の感想です。

今回、14回目の放送タイトルは『星落ちてなお』でした。

ついに藤原の氏家の頂点、藤原兼家かねいえが亡くなりました。長い間政治の中枢で権力を欲しいままにしてきた兼家ですが、いよいよ息子たちの世代に移っていきます。
道長の世まではまだもうしばらく、といったところです。

前回、13回目の放送で、もう先の長くない父・兼家と息子・道長のこんなやり取りがありました。

兼「民におもねるようなことだけはするなよ」

道「おもね…てはおりませぬ…
民を虫けらのように切り捨てる道隆みちたかの兄上のようなまつりごとは おかしい…と申したのです」

兼「お前が守るべきは民ではない」
     (キッパリ)

道「では 父上の目指される 真の政とは 何でございますか」

兼「まつりごと
(しばらくの間)
それは家だ  家の存続だ
人は皆 いずれは死にくされて土に還る
されど 家だけは残る
栄光も誉も死ぬが 家は生き続けるのだ
家の為に成すこと

それがわしの政である
その考えを引き継げる者こそ、わしの後継だと思え!」

道「はっ」

父の考えを知り、道長はどう思ったのかなぁ。

兼家は「父上の目指される 真の政とは 何でございますか」の問いに、「それは家だ」と迷いなく答えていました。「守るべきは民ではない」とも。
それ言う?!  と思いましたが、
そのくらいブレのない明確な信念と共に生きてきたのだなと伝わってくる場面でした。だからこそ、強い意思で確固たる地位も手に入れたのでしょう。
しかしあなた、家って……
権力トップの人物の目指すところが結局自家の繁栄……そして政治はその手段……
兼家ってそんな感じだろうなとは思っていましたが、本人の言葉であんなにはっきり言い切られるとモヤモヤしました。
自分の見ているというか、見えているというか、自分の存在する世界、階級層にしか興味がないのだろうと思います。はなからそこしか見ない。
これでは民は豊かになりようがなーい。
なんそれ(zazzy風に)です。ほんとに。

『光る君へ』を見ていると、人間は千年前も今もさほど違わないのかもしれないとつくづく思います。

このドラマは、平安中期の、主に高位貴族の華やかで雅な世界を中心に描かれています。
そして最高峰で政治を動かす男性たちの中には、兼家のように地位と権力、冨を欲し、私利私欲の為に生きている人が少なくはないでしょう。
(そうでない真面目な人もいる)
現代の政治家とホント被って被って。市井の人には見えない高いところで何をやっているのかと思えば、自身の懐を肥やしているとか。今も昔も。
千年も同じようなことをやっているとか、多分それよりもっと前からでしょうけれど、人間て進歩しないんだな、なんて思いながら見ています。

と言っても、全ての貴族が裕福なわけではなく、困窮している家もあります。
まひろ・紫式部も、なかなか父が官職につけず、貧乏(と以前本人が言っていた)生活。
たとえ実力があっても、官職を得るのも権力者とのコネとか、力のある人物のさじ加減ひとつ、みたいなところもありもどかしい。

兼家のあとを継ぎ摂政になった長男の道隆は、自身の息子でまだ17才の伊周これちか蔵人頭くろうどのとうに任命し、その一足飛びの人事は、良くない意味で周りの貴族達を驚かせました。
ちょっとちょっと、政治を私物化しすぎ。

やはり権力者は力を持てば持つほど、広く見て考え、公平さや誠実さも更に必要となりますねぇ。
それが結果として人望や信頼を得たりして、自身の立場を堅固なものにもしていくでしょうし。
高いところにいくと、周りが、下が、見えなくなってしまうのでしょうかね。
富士登山も頂上が近づくほど別世界。下方は遠くなり全く見えません。まして、例えばもともと7合目辺りに生まれ、そこから歩き出したとしたら、裾野がどうなっているのかなんて知るよしもがなです。

〝実るほど頭を垂れる稲穂かな〟
案外これは難しいのかもしれません。

話をドラマに戻します。
若い道長は、道長なりに様々な経験をしてきたことで「なんとか世の中を良くしたい。(政治に近いところにいる)自分にできる方法で世を変えていきたい」と思っています。
しかし、民のことを蔑ろにするような兄・道隆の考えをおかしいと思いながら、今の道長にはそれに抗うほどの力はありません。残念。
思い描く理想と実際目にする現実とのギャップに戸惑いや理不尽さを感じながら「まつりごととは一体何の為なのだ」のような壁にぶつかっているように思います。
それで、先程の父・兼家との会話なのでした。
父には「家だ」と言い切られるし、今後、道長の心情はどのようになっていくのでしょう。

栄華を極める人、道長。
「より良い世の中」の理想を実現しながら家も繁栄させていくのか。それとも、兼家の方針に重きをおいて生きるように変わっていくのか。
「より良い世の中という理想を叶えるには、自分自身が絶対的な権力の座につく必要がある」と目覚めるのか。
ドラマはどう展開していくのかな。

そう言っているうちに、もう直ぐ次の日曜日。
近頃、日にちの経つのが早くて毎週驚いています。もう日曜日!?  って。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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