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そこまで保証できないよ

昨年の12月、息子が「もう一つバイトをはじめるので、身元保証人になってくれ」と、採用元となる職場からもらってきた紙を置いていった。

私も気軽に返事をして、翌朝記入をし始めたところでちゃんと読んでいなかったことを思い出し、その『誓約書兼身元保証書』と表されている文面に目を通した。

そこには

『身元保証人として、労働者本人が就業規則及び諸規程を遵守して勤務することを保証します
 労働者本人がこれに違反し、故意または過失によって勤務先に損害を与えた場合は、300万円を上限として(保証人の)私が、労働者本人と連帯して損害を賠償する責任を負います』

概ねこのようなことが書かれていた。
こわっ。というのが率直な感想であった。
私は保証人になどなれぬ。
と思い、しかし息子にも色々資金(遊び)計画があるだろうと、現在のバイト先でシフトに入っていて留守だった息子にLINEメッセージを送った。
「保証人にはなりません」と。
(だから必要ならば別のバイトを探してください、という裏の思いも込めた)

他人がどんな態度で勤務するかを保証できるのか?  私にはできない。「保証します」なんてとても言えない。人の行動など保証出来ない。

それで何かあったら300万円賠償することになるかも?  こわい。

もしも、その勤務先が「息子くん、キミ就業規則守らなかったね」と濡れ衣でも着せてきたらどうすんの?  だいたいバイトの若者って就業規則を全てしっかり読むの?  しかもウチの息子が。きっと読まないだろう。

そういう、一言では説明し切れないような様々な要因が積みに積まれて、私の本能は「なにかおかしくない?  絶対にイヤだ」と言っていた。

息子にはその理由は簡潔に伝え送った。

「なんだよ、めんどい」
とか言われると思っていたら意外にも
「オケ」の一言が返ってきた。

母の私がダメなら父(ウチの夫)に頼むだろうと思った為、夫には、もう一つバイトを始めようとしている息子のことと誓約書の内容を説明した。
日本語を読めない夫が、息子に言われるまま詳細を理解せずに保証人になるのはいかんと思ったのだ。
誓約書の内容を聞いた夫は、「そんな内容あるの?  ワァオ。マフィアか?」と驚いていて、「(私と)同じ考えだよ。教えてくれてありがとう」と言っていた。

息子からはその後、
「あんなの形式上のことなんだから、そんなこと言ってたら職なんかみつからないから」
と言われた。やはり言ってきた。
「ダディに頼むからいいよ」とも。

雇う側にとってはリスク管理の一環なのかなとも思う。若いアルバイトが職場でのおふざけをSNSに投稿して問題になったことは一度や二度のことではない。そういうことがあると企業側の受ける打撃や損失は計り知れないものがあるだろうし。
だから働く前に、「何かしたらこんな風に責任をとってもらいますよ」と、わかり易く金額などで具体的に理解してもらう必要があるのかもしれない。などと想像もしてみた。

しかし、いくら若いとしても、アルバイトだとしても、社会に出て働いてお金をもらおうとしている人物が、そこまで細かく教えられないと、してはいけないことが解らないものなのか?  という〝???〟も頭の中を飛び交う。

私が今の世間を知らずなのか?

息子の持ち帰った身元保証書にドン引いた話でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。



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