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10月号座談会「SFとデザイン」(前後編)

キーワード:Speculation、メディア、SF、未来洞察、デザインフィクション、デザイン

太田:今月号の特集は「SFとデザイン」です。取り上げる事例は大まかに分けて二種類を想定しています。一つには、デザイン系のプロジェクトにSF作家や作品が介在したもの。もう一つには、デザインコンシャスなSF作品、つまりデザインという産業や営為に関して相対的に多く意識が払われているように見えるSFの事例です。ただし、量が膨大になったり我田引水になり過ぎるのを防ぐため、ここでは作者等が明示的にSFという言葉を冠しているものを中心に取り上げるようにしました。

瀬下:逆に、単純にSFっぽい意匠を使っているプロダクトとかは今回は外してます。キリがないからね。それから、前編で日本の事例、後編で海外の事例を取り上げようと思ってます(前編に謎の熱量が投下され、後編が短めになったので、今回は長い一記事にまとめています)。というわけで、早速議論に入ってきましょうか。

大阪万博と小松左京

太田:はい、まずメジャーどころかつ古典という意味で、1970年の大阪万博と小松左京の関係について振り返ってみたいと思います。大阪万博には建築のメタボリズム運動が入っていたり、日本のメディアアートの端緒とも言える「実験工房」の面々が作品やパビリオンを手掛けていたりと、いまっぽい未来洞察や領域横断を含むデザイン実践の一大ショウケースのような様相を呈していました。

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