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里親子と地域のつながりについて考える「365日のさとおやこ〜あおぞらマーケット〜」開催レポート【後編】

令和5年11月3日。下北線路街と呼ばれる人気エリア「BONUS TRACK」にて、今年も「365日のさとおやこ〜あおぞらマーケット〜」を開催しました。
「里親制度」を広く認知してもらえるよう、どなたでも楽しめる物品販売やワークショップ、映画の上映などを実施。何気なく足を運んでみたら、「さとおやこ」を身近に感じられるイベントです。
この記事では、出店者の声や世界に一つだけの「宝箱」を作るワークショップの様子をレポートします。

※前編はこちら


◆地域のつながりから生まれたマーケット

屋外広場のマーケットでは、7つの企業や団体が出店しました。出店者のコメントを集める中で、この里親制度啓発イベントに賛同した思いに改めて触れることができました。

◇ユー花園「子どもが平等に行事を楽しめるように」

「ユー花園」は、下北沢と桜新町に店を構える花屋さん。毎年クリスマスや年末、入園などさまざまな季節の行事に合わせて、児童養護施設に花を寄附しています。

下北沢本店スタッフの皆さん(左が臼居恵津子さん)

スタッフの臼居恵津子さんは、「社長はよく、あたりまえに子どもたちが体験するイベントに、ひとり親や里親家庭という理由で体験できない子どもをなくしたいと話しています」とコメント。昨年に引き続き、今年で2回目の出店となりました。


◇astala「売上の一部を図書カードに換えて」

愛らしい招き猫をモチーフにしたもなかや人形焼、ベビーカステラを提供したのは、株式会社アスタラの代表取締役社長・福田政紀さん。 

社長の福田政紀さん

福田さんは豪徳寺に店を構えて以来、食品ロス削減を目的とした商品の売上の一部を図書カードに換えて、世田谷区内に2箇所ある児童養護施設へ寄附を続けています。
 
「子どもたちには、図書カードで好きな本を買って欲しい」と語る背景には、情報格差を埋めたいという福田さんの願いがありました。この寄附を通じて施設とつながり、今回の出店に至りました。


◇株式会社ナカノ「子どもにやさしい知育楽器を」

株式会社ナカノは、天然の革を使った本格的な知育楽器やミニ楽器を製造しています。

関根宏治さん

お話をうかがった関根宏治さんは「今年8月、B級品の和太鼓を児童養護施設に寄附させていただき、それが出店の契機となりました。私自身、里親制度のことはよく知りませんでしたが、このような貴重な機会をいただけてうれしいです」と話していました。


◇玉川福祉作業所「irodoriが一つのきっかけになれば」

二子玉川と等々力にある玉川福祉作業所のオリジナルブランド「irodori」のブースには、知的障害をもつ方が制作した陶芸品やアクセサリーなどが並びました。

玉川福祉作業所スタッフの皆さん(右が眞塩恵さん)

生活支援員の一人である眞塩恵さんは、「irodoriが目的で来てくれた方が里親制度を知るきっかけになればいいなと思うし、通りすがりの方もirodoiや障害者支援に興味を持ってもらえたら」と話していました。


◇世田谷福祉作業所「子どものための支援に共感」

世田谷福祉作業所のオリジナルブランド「しあわ世のもりあわせ」のブースでは、焼き菓子やコーヒーなどの販売が行われました。

世田谷福祉作業所スタッフの皆さん(左が中塚和昭さん)

福祉作業所に勤める中塚和昭さんは、戦災孤児の自立支援からスタートした「社会福祉法人武蔵野会」の活動を知ったことで、子どもの支援に関心を持ったそう。そんな思いが里親制度と重なり、2回目の出店に至ったと話していました。
また、地域のつながりを大事にしたいという思いもあったようです。


◇こども劇場せたがや「アートの活動で地域をつなぐ」

文化芸術活動を通して子どもと地域をつなぐNPO法人「こども劇場せたがや」のブースでは、カズーやバードコールなど手づくり楽器のワークショップが行われました。

子どもたちに楽器の作り方を教える理事長の中島洋子さん

出店のきっかけについて、事務局長の大野紀子さんは「“すべての子どもが幸せに暮らせる地域に”という思いに賛同し、快く出店依頼を受けました」と話していました。


◇バディチーム「子育てに悩む家庭に寄り添いたい」

ブースの一角では、特定非営利活動法人「バディチーム」による里親制度の案内や、「子育てパートナー」(訪問支援者)の募集が呼びかけられました。バディチームのスタッフは、さまざまな事情で子育てに悩む家庭に寄り添う「訪問型支援」を行っています。

バディチームの皆さん(右が濱田壮摩さん)

活動地域は、23区を中心とした東京都内全域。現在(2023年11月)、約80名が子育てパートナーに登録しています。また、世田谷に住む里親家庭の援助者も募集中とのこと。
 
バディチーム理事の濱田壮摩さんは、「里親にならなくても、子どもや家庭を支援する手段はたくさんあることを知って欲しい」と話していました。


◆いくらまりえさんと世界に一つだけのたからばこ作り

子どもが楽しめる場所として、「たからばこ作り」のワークショップも行われました。絵描き/ライブペインターとして多方面で活躍するいくらまりえさんを招き、子どもたちが箱にペイント。カラフルで個性的な宝箱がたくさん生まれました。

左は「春夏秋冬」右は「虹」をイメージしたという、ある姉妹の作品

今回の企画について、いくらさんは「イベントコンセプトが“里親子にとっての記念日”ということを知って、じゃあ大切なモノを入れる宝箱はどうですか?と提案させていただきました」とコメント。

絵描き/ライブペインターのいくらまりえさん

また子どもに「何を入れるの?」と聞いたら「内緒」と返され、「宝物ってそういうものですよね」と笑ういくらさん。この日用意していた60個の箱は、誰かにとっての宝箱になりました。

◆社会的養護や養育に関する本との出合い

イベントでは、社会的養護や養育に関する本が読めるスペースもご用意。里親の関連書籍はもちろん、愛着トラウマや性教育、不登校など幅広いテーマの本を展示しました。

マーケットエリアに設けられた本の展示スペース

ここに展示した本は、同エリアにある「本の読める店 fuzkue」でも読むこともできました(※通常営業中も本の持ち込みは可能)。

本を読んで過ごすことに特化した「本の読める店 fuzkue」


◆まとめと次回のイベント告知

秋晴れの中、今年も大盛況で幕を閉じた「365日のさとおやこ〜あおぞらマーケット〜」。なかでも里親家庭の写真展やお品物の展示などを行っていたギャラリーには、305名の方にご来場いただきました。里親制度を知っている方も、よく知らない方も、里親子を身近に感じていただけたのではないかと思います。

今後も引き続き、里親制度の認知向上および里親登録者数の増加を目指し、さまざまなイベントを開催してまいります。


◇次回イベント告知

1月には「里親子が暮らしやすい街は、きっと、あなたも暮らしやすい街。」イベントの第4回を開催します。
テーマは「里親家庭で暮らした方と考える、わたしにできること」
里親家庭で生活した経験がある方から、里親の存在、生活の中の葛藤等、実際の声を聴き、里親子が暮らす地域で私たちができることを一緒に考えます。

※終了しました。

日時:令和6年1月13日(土) 10:00~12:00
場所:Cafe Kolm
(東京都世田谷区下馬3-38-2)
定員:15名(先着順)
参加費:無料

詳細・イベントの申し込みは以下をご確認ください。

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