ローソンセレクトの命がけの行動にぼくは敬意を表したい。
安住紳一郎さんと齋藤孝さんの「話すチカラ」という本を読みました。
アナウンサーとして第一線級で活躍する安住さんの話術の裏側が披露されていて、非常に面白い本でした。その中でも、特に印象に残った話がこちら。
話をするときに、視点の切り替えを意識すると、人の心に響く表現ができるようになります。
たとえば、「飛行機で羽田から鹿児島に飛んだ」ではなく「羽田空港の13番搭乗口から飛行機で〜」と言えば、イメージがより具体的になります。「会社で毎日仕事をして」と言うよりも「デスクでウィンドウズ10を今日も使いながら〜」のほうがリアリティがあります。「好きなことは何ですか?」と質問されたとしたら「ロックコンサートに行くことです」のように答えるのもいいですが、さらに焦点を絞って「布袋寅泰さんのギターの指先、特に人差し指の爪先に痺れます」みたいに言うと、こぼれるほどの熱さが出ます。
デジカメで絞りの穴の大きさを広くしたり狭めたりするみたいに、「ワイド(広い)・ナロー(狭い)」「抽象・具体」といった使い分けが大切なのです。
これ、めっちゃマーケティングに使える大事な話ですね!
「あのブランドばかり、なぜ選んでしまうのか」という、消費者への訴求の仕方を28通りに分けて紹介している本があるのですが、その中の一つが、「心の映像を呼び覚ます」という技です。
まさにこの「焦点を絞る」ことで、それを見た人の頭の中により具体的な映像が浮かび上がり、商品を欲しくなるわけです。
例えば、「オレンジのヨーグルト」と「朝摘みオレンジのヨーグルト」だったら、なんとなく後者の方が魅力的に感じますし、「伊豆高原の朝摘みオレンジのヨーグルト」の方が、なんとなく美味しそうに感じます。
「伊豆高原の朝摘み」とつくことで、高原にあるオレンジの木や、新鮮なオレンジの鮮明な映像が浮かび上がり、それが心を動かすということですね。
この焦点を絞った訴求がうまいなあ、と思うのがセブンプレミアム。「チーズのうま味がクセになる堅揚げポテトチップス」「北海道ミルクの味わいミルクスティック」とか、やたら商品名が長いんですが、その長い名前がシズル感を出して訴求してきます。
さて、最近、巷では、ローソンのPBである、ローソンセレクトがデザインを一新したことが話題を呼んでいます。
シンプルでオシャレなデザインになっていますが、「シンプルなデザインで品質のよさを喚起させる」というのも、またマーケティング的には一つの技ではあります。
かつてはローソンもセブンプレミアムの「長い名前でシズル感を出して訴求戦略」と同様の戦略をとっていました。
この「イベリコ豚とホクホクのじゃがいもを使用した肉じゃが」が、現在では下記のようになりました。(下の方にいちおう、「イベリコ豚とホクホクのじゃがいもが絶妙」とは書いてありますが…)
巷では賛否両論のようですが、個人的には、「女性でも手に取りやすいシンプルでオシャレなデザインで品質のよさ訴求戦略」という、「別の戦略をとってNo.1を追撃するぞ」と決めたローソンの勇気を応援したいと思います。
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