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馬と鹿なら合わせたい

クラスで一番顔立ちの整った美和子さん。
スタイルも良く、頭もイイし、いわゆるマドンナなのだが、どうにもこうにも不思議というか変わっているというか、絡みづらいというか、今世の中にあるそういう言語では括れない「存在」だ。
でも、だからと言って距離を置いたりはしない。美和子さんといるとなんか楽しいし安らぐし、女のアタシから見ても美人だし、一緒にいて損はない。

「美和子さんさ、哲郎が……」
「ごめんなさい」
クラスの男子から仲介役を頼まれるが、美和子さんはそういう男女関係に興味がないようで、すぐに謝る。なんの謝罪かはさっぱり分からないけれど。

アタシと美和子さんは同じ大学に進むことになっていた。
ともに推薦合格なので周りにやや気まずいが、それを共有できるのも居心地のよさなのだろうか。
12月の受験シーズンも佳境は佳境。二人はこっそり旅行に行くことにしていた。行先は新潟。美和子さんが気になっている場所だという。
「ごめんね、なっちゃん。付き合わせて」
「いいよ。アタシは別に行きたいところなかったし、ちょっと寒いのかなぁってくらい」
美和子さんがジッとこちらを見る。
「寒いかどうかは行ってみないと分からないよ」
「……え、うん」
会話が噛み合わないのは日常茶飯事。

問題は上越新幹線に乗り込んでからだった――。

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