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教場   長岡弘樹

そういえば、さいたま市に住んでいた頃、よく買い物に行ったステラタウンの近くに警察学校があった。そこは外から見られないように生垣が高く設けられており、外の世界とは遮断された特別な雰囲気の施設だった。あの生垣の内側には本書のような世界があるのだろうか?


 とは言え、本書に出てくるような清廉潔白を装って実は裏で結構悪いことしてます。みたいな輩はほとんどいないと思うけど・・・


 長編ミステリーを期待していたが、実際は各省ごとに警察学校の学生たちが代わる代わる主役となる短編型で構成され、それが連なって長編となっている。例えるなら1話ずつで話が完結している「ドラえもん」が6話分の時系列でつながって長編になったような構成で、ドラマチックな話の展開を期待する類のものではない。


 大勢の警察官や自衛隊を一斉に教育するためには権威主義でトップから下へ強権的に厳しく指導することが効率的と聞いたことがある。


 つまり被教育者たちはその狭い空間や短い期間の中では人権を奪われ組織に忠誠をつくさなければならない。そうでなければ権威主義体制は維持できないのである。


 これから警察官を目指す人は必読?


★★★☆☆

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