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縦割り110番:都道府県による教育・保育、納税、運転免許の縦割りは要らない

縦割り行政の抜本的な唯一の解決方法は、都道府県の名を残した基礎自治体の解体・行政サービスの全国統一化だと訴えたい。広さも人口もマチマチな47都道府県の枠組みをなくし、基本的な行政サービス(教育・保育、納税、運転免許やマイナンバーなど)を統一すれば、縦割り行政によるたらい回しやムダな手続きの多くは消滅するはずだ。

●新型コロナ禍で地域格差が明らかに

新型コロナウイルス感染症対策から、県-保健所単位の現行の医療体制には大いに問題があると判明した。高速道路・バイパスの利用を前提とした、医療の広域化が早急に求められる。各地の保健所は、県を介さず、厚生労働省直轄のほうがいいだろう。

従来の道州制案と異なる点は、47都道府県・区市町村は住所表記用に残し、実際の管理体制のみ州(圏/エリア)に移行すること。選挙制度の改定も必要となるが、衆議院は現行の小選挙区、参議院は勤務先住所(選択制)、州議員は自宅住所で投票し、州知事は、その州で有効投票数が最も多かった人が自動的に就任する仕組みとすれば、現状から選挙基盤は大きく変わらないだろう。都民だけ得する・損する仕組みをなるべく撤廃し、フラットにすることこそ、地域格差をなくす最もてっとり早いアプローチだ。現状は東京・都心3区在住者(特に都営住宅・UR居住者)が最も手厚い行政サービスを受けられる。

●転居すると登録からやり直し、実質負担にも差

12歳未満や中学生までなど、対象年齢までの小児医療費助成制度を導入する自治体在住の場合、子どもの医療費の窓口負担はない。無料となる対象年齢、所得制限の有無は自治体間競争の一つとなっており、充実していない市町村を選ぶと損する。しかし、無償化といっても、対象エリア外の医療機関を受診した場合は窓口負担が発生し、後で還付手続きを行う必要がある。エリアは広くて県、通常は居住する市のみだ。クリニックの選択肢が狭くなるなら、制度自体、要らない。少子化支援策として、全国どこでも子どもは医療費無料・申請不要の自動還付とするべきだろう。

「プレミアム付き商品券」も、市内在住・在勤者に限定するケースが圧倒的に多い。大規模店には他市在住者の来店も多い。行ける範囲なら多少遠くとも好きな店に通う層にとって、市民限定割引は損した気分になる。プレミアム率10%を超える場合、市民優先予約は認めても、限定販売は禁止するべきだ。

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高校無償化も、居住する県内に所在する公立・私立高校に通うケースだけが対象だと最近知った。東京都に接する千葉・埼玉・神奈川は、路線によっては同じ県内の僻地より、新宿や多摩地区の方が通いやすい。しかし、学費負担を減らすには、通学に不便な、交通費が余計にかかる県内の高校を選ぶしかないという。全く不条理であり、もし今後も規定が変わらないなら、無償化対象外の都内の高校を選ぶ。

最も納得できないのは運転免許証と自動車のナンバーだ。車庫証明と自動車登録を切り離し、初回登録は希望するナンバーに合わせた陸運局で行い、継続車検は全国どこでも可とし、陸運局が変わる転居のたびに登録し直すムダを廃止するべきだ。運転免許証、自動車税(種別割)、車庫証明は全てマイナンバーで管理すればいい。運転免許証も、マイナンバーで管理すれば、全国どこの試験場で更新可能になるはずだ。運転免許証のデジタル化とあわせて管轄を変更し、全国一元化を望む。

同じくらい納得できないのは、自治体によって異なる上下水道料金、国民健康保険税・介護保険料だ。自治体によってだいぶ差があり、水道料金は別荘地などは非常に高額という。過疎地のインフラコストは本人が負担すべきという意見もあるが、水道代は全国同一価格とし、別途、維持費用の負担を求めたほうがシンプルだ。A市はクレジットカード払い・スマートフォン決済サービスの請求書払い可、B市は口座振替のみなど支払い方法も異なり、実質負担の差はますます広がっている。そもそも転居のたびの手続きはムダである。

●求める理想は“全国どこでも同じ”

転居時の手続きは原則「住所変更」だけで済み、新しい生活スタイル「二拠点・多拠点生活」でも不利益を被らない仕組みを考えると、都道府県・区市町村の縦割り管理は不要だ。基礎自治体は要らない。全て国の直轄が望ましいが、それでは広すぎるので、保健所や教育・保育施設などは、今より広いエリア(州)単位で統括する。もちろん、外出自粛はエリア単位となり、経済活動への影響は現状より軽微になる。

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とはいえ、エリアの線引は難しい。首都圏/中京圏/関西圏/九州・沖縄/東北・北海道の5つ、北関東/南関東/東北/北陸/名古屋(中京)/大阪(関西)/中国/四国/九州・沖縄の9つ、東京特区/都心湾岸/多摩神奈川/太平洋沿岸/日本海沿岸・中部/畿内瀬戸内/九州沖縄・離島の7つあたりが妥当か。首都圏・南関東・多摩神奈川には箱根伊豆も含め、エリア内の観光を活性化する。逆に秩父は9区分では北関東、7区分では日本海沿岸・中部に回し、長野・軽井沢・金沢などに並ぶ、独立した観光地化を目指す。

国内経済の活性化のため、今すぐ都道府県単位の縦割り行政をやめるべき。二拠点・多拠点居住を推奨する税制改革や、住民票の扱いと連動した基礎自治体の解体は、地方創生、少子化(出生数の減少)抑止につながると信じている。

noteでは、街・人・お金に関する情報を中心に発信します。いま、社会は変革の時代を迎えています。東京・神奈川中心に、県境を組み直す時期でしょう。