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元カノが大好きだったバンドが解散した

元カノが大好きだったバンドが解散した時、本当に少しだけ、「嬉しい」と思ってしまった。
いや、嘘だ。
その感情の半分ぐらいは占めていた。
もう半分は、「ロックバンド」というものを愛し尊敬している感情から生まれる、「哀しい」という気持ち。
それは嘘ではない。
一緒にライブに行った。良い曲で、良いライブをすると感じた。今でも曲を聴けば、その元カノとの記憶が呼び起こされる。だから聴かないけど。

一目惚れだった。
たまたま行ったカフェで、いらっしゃいませの笑顔にやられて、僕はそのカフェに通うようになった。
たくさんお話をして、文通をした。
何度もアプローチして、ようやくご飯に行けた。
ふわふわ酔って帰れない君を、連れて帰った。
だけどその健やかな寝顔を見て、何もできなかった。
湖のある大きな公園で写真を撮り合った。
写真をまとめてショート動画にして、そう、そのバンドの曲を付けて、まさに、写真の歌だった。
それからは一緒に過ごした。
天にも昇る気持ちだった。
そして君も僕のことを好いてくれた。(そう信じてる)
プレゼントももらった。
「この本を見た時、君のことを思い出したの」
そう言って本をプレゼントしてくれる君は本当にセンスが良い人だと思った。

君は今どう思っているだろう。
きっと悲しんでいるだろう。少しだけ泣いているかもしれない。
その、バンドを愛する気持ちには共感するよ。
だけど、なんだろう、めちゃくちゃ泣いてほしい。
どうせ次の日からまた生きていくんだ。
君は死なない。
知ってる。
乗り換えるのも得意だからね。
そんなふうに思う自分のことには嫌気がさす。
でもそう思ってしまった。
もしかしたら、これでやっと、僕の心にも区切りがつくかもしれない。
ダサいよな。
一緒にいて、好きなものを共有して、天国のような時間があって、その事実は変わらない。僕の中に残り続ける。悔しいけど。
そこには音楽があったし、間違いなく、そのバンドの曲があった。早く更新したいよ。
でも、あの駅、あの公園、あの雨、あの景色、あの匂い。
あの記憶だけは、削除できないんだろうな。
ずっと、ずっと、君にも残っていて欲しいけど、このバンドの解散とともに、一緒に全て消えてもいいかもしれない。そうだな。いっそ消えてくれよ。
だけど、やっぱり音楽は偉大だから、感謝もあるから、負けないで向き合って生きていくから。
あのカメラをぶち壊せる日まで。

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