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裁判のはじまり:東映セクハラ・未払い賃金裁判 第一回期日【意見陳述全文】

こんにちは。かつて東映株式会社に勤務していた元APです。

私は、東映での勤務中に経験したセクハラ、過重労働、そして未払い残業について、会社に対し是正措置を求めてきました。

この訴えは団体交渉で解決できず、ついに法廷での審議に至りました。

2024年3月15日、第一回目の裁判が行われました。傍聴席は満員で、入場を断られた人もいたそうです。

この場を借りて、裁判の第一回目で私が陳述した内容を全て公開します。
これは、過去数年間にわたって私が深く考え、感じたことのすべてです。

このnoteを見ている皆様には、この問題を広く知っていただき、情報の拡散にご協力いただきたいと願っています。Japanese Film Projectや弁護士ドットコムなど、いくつかのメディアがこの件を取り上げてくれましたが、残念ながら大手メディアや週刊誌には取り上げられず、記事化の直前で断念されたケースもありました。

 

個人がメディアの力を借りずに大企業に立ち向かうことは容易ではありませんが、私はこれからも発信を続けようと思います。

 

この問題が忘れ去られないよう、そして私たちの闘いを見守ってくださる方が一人でも増えることを願っています。皆様のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

 


意見陳述全文

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私は、映像制作に携わって、素晴らしい作品を作りたくて、被告に入社しました。そして、その夢をかなえるため、一所懸命に働きました。その中で、セクハラやパワハラの被害に遭い、長時間労働を強いられました。

被告社内には、そして映像業界には、セクハラはあって当たり前だという考え方があると感じています。セクハラに遭っても黙ってやり過ごせる人、ハラスメントをする人をうまいこと操れる人が、良しとされていました。私自身、セクハラに遭っても我慢をしなければならないと思い込み、我慢し続けました。

でも、冷静に考えるとそれはおかしいです。

我慢できない私が悪いのかと悩みながらも、勇気を出して被告のホットラインに相談しても、まともに扱われず、担当者からは「君だけじゃないから気にしなくてもいい」などと言われました。ハラスメントをする人が現場にいるのも問題ですが、会社がそれを黙認しているのもおかしいです。

 

職場での過重労働やハラスメントは人生を壊します。

被告が制作している映像作品で、どんなにいいことを言っていても、全部が嘘のように感じてしまいます。素晴らしい作品を作っているのだから、会社として持続可能性のある制作体制をとってほしいです。

振り返ると、制作現場は多様性を大切にしない労働環境だと思います。何時に終わるかわからない撮影環境、いつ電話がかかってくるか分からずに電話の音に怯え、ひとりで抱えきれないほどの仕事量を長期間こなさないといけない。団体交渉で、「あなたはプロデューサーとしての適性がなかった」と言われました。プロデューサーとしての適正とは、長時間労働できるということなのでしょうか。この働き方で、私は、精神的に疲弊し人生に深い影を落としました。

労働者には、一人一人の人生があって、プライベートがあります。被告にまともに相手にされなかったことを通して、「社員のことを人としてではなく使い捨ての駒だと思っているのだな」と感じています。

「映像業界だから」、「良い作品を作るためには長く働くことが大切だから」、「職人の世界だから」というのは、免罪符にできないはずです。法に則った労働環境を整備してほしい。女性でも、体力がない人でも、作品を作ることができるような環境にしていってほしいです。

 

被告の対応は全てが後手後手でした。

私は長時間労働とハラスメント、そして被告が何ら対応しなかったことで、体調を崩して休職せざるを得なくなりました。そして、長時間労働とハラスメントの対応を求めて、労働組合に加入しました。

団体交渉を行ったことにより、ようやくセクハラについての第三者調査が入り、複数のセクハラ行為が認定されました。また、組合と私から労基署に通報したことにより、被告は是正勧告を受けました。被告は、私以外の社員には、自己申告の時間で未払残業代も支払いました。

しかし、私に対しては、ハラスメントの謝罪も賠償も再発防止の約束もせず、また未払残業代の支払についても私だけ算出方法を変えています。

これは私が会社を告発したことに対する嫌がらせだと思います。本当は復職をしたいと思っていましたが、会社は私が戻ることを良しとしないと思い、結局、休職期間満了で退職に至りました。こんなことを続けていたら会社に文句がいえない社員ばかりになってしまいます。

被告は、ハラスメントがあったことを認め、過重労働も認めているのに、なぜ話し合いができないのでしょうか。なぜ、団体交渉でも解決できず、裁判までしなければならなかったのでしょうか。

本件は、被告がまともに取り扱ってくれていたら、こんなに長引かなかったはずです。セクハラがあったと相談してから、実際の調査にとりかかるまでに2年がかかりました。ハラスメントが認定されてからも1年以上が経過しています。長期化し、責任の所在がうやむやにされてしまうことがこわいです。

 

私が裁判を提起したのは、後輩たちに同じ思いをさせないためです。

しかし、今も被告で働いている人の話を聞いていると、再発防止は取られていません。私の件が異例だったわけではなく、誰もが過重労働やハラスメントに傷ついています。泣き寝入りしている人はたくさんいます。被告は、傷病休職率や退職率を把握しているはずです。見て見ぬふりをしないでほしいです。

被告は、映像業界のトップランナーです。それがこんな対応だということに驚いています。被告がこのような対応では、エンタメ業界全体が変わらないと思います。被告には、会社のことだけではなく、日本のエンタメ業界を牽引する存在として、どうすべきかを考えてほしいです。

裁判所には、私のこの思いを受け止めていただき、適正な審理をお願いいたします。

以上

 

【署名のお願い】

もしもこの記事を読んでいる方の中で何かを感じ、この問題に対して行動を起こしたいと思われたなら、以下のリンクから署名をお願いします。

 

私の経験が、ただの個人的な闘いにとどまらず、業界全体の改善へとつながる一歩となることを願っています。一人ひとりの小さな声が、一致団結すれば、業界が無視できないほどの力を持つと信じております。ご協力お願いいたします。

※この署名サイトは実名主義をとっていません。同業種の方、自分が署名活動・賛同していることが明かされることに不安を感じている方も自由に利用できます。


 

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