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法務委:裁判所定員法改正案 質疑(井出庸生2019/03/22)

裁判所職員定員法の一部を改正する法律案【衆議院法務委員会】※要旨

多文化共生/イチロー選手のコメント

○井出庸生委員 まず、昨日遅く、イチロー選手の引退会見をテレビで見ていたが、実は最後のコメントが野球から離れたコメントだった。「孤独を感じながらプレーした部分があったのか」というような問いだったが、それに対してイチローさんは、「それとは少し違うかもしれない。アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になった。アメリカでは僕は外国人だから、外国人になったことで、人の心をおもんぱかったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分があらわれたんですよね。この体験というのは、本を読んだり情報をとることはできたとしても、体験しないと自分の中から生まれない。孤独を感じて苦しんだことは多々ありましたが、その体験は未来の自分にとって大きな支えになるだろう」と、このようなコメントをされている。
 要は、ご自身がアメリカに行かれて、外国人として生活された部分について、会見の最後にそのことを触れられた。このことは、もう間もなく新たな在留資格制度が始まり、外国人の受け入れを拡大する、その共生施策において一つの示唆を与えてくれているのではないかと思うが、大臣にコメントをいただきたい。
○山下貴司法務大臣 イチロー選手の我が国及びアメリカにおける長年の活躍に心から敬意を表したい。東大野球部(主将)として活躍された井出委員ほどではないが、それがどれほど大きなことかということは私も思うところで、アメリカでイチロー選手から勇気をもらったことも事実だ。
 イチロー選手のコメントについても、私自身もアメリカで生活して、イチロー選手ほどではないが、外国人になったことで人の心を思ったり、私も私の子どもも差別的な取り扱いを受けたこともあり、そうしたことで、人の痛みをおもんぱかったり、痛みを想像したりというのは、私も感ずるところがある。
 その一方、非常に親切にしてくれた外国の方もおり、それがどれほどありがたいかということも感じているので、そういった思いの中で、外国人との多文化共生社会をしっかりとやらせていただきたい。その思いで、受け入れ、共生のための総合的対応策をしっかりと進めていきたい。
○井出庸生委員 4月からそういう思いを持ってやっていただきたいと思う。
 私は野球部時代は補欠であり、そこは勘違いというか、褒めていただいたのかと受けとめておきたいが。

性犯罪・保護法益の明文化

○井出庸生委員 もう一つ勘違いということできょう聞いておきたいのが、累次にわたって聞いている性犯罪のことだ。
 大臣と法務省はちょっと勘違いされているのかなと思うのは、私は強制性交等罪の暴行・脅迫要件をなくせとは言っていない。大臣おっしゃるように、客観的な、明らかな行為類型だと。それはそのとおりだなと思うが、暴行・脅迫だけが(保護法益である)性的自由や性的自己決定権を侵害する客観的行為の全てなのかというと、おそらくそうではないのではないというのが、近年の特に被害当事者の方のおっしゃっている主張であると思う。
 私が再三申し上げているのは、例えば、その性的自由という保護法益を、その趣旨を刑法の条文に明記し性犯罪の犯罪性をしっかりと法律で定義することで、被害者も、加害者も、国民全体も、「性犯罪とはこういうことがいかんということなんだ」ということを認識してもらう、そういう検討も今後の法制度に資するのではないかということをるる申し上げてきている。きょうは少し誤解も解きつつマイルドにお聞きするが、答弁をご期待申し上げてお願いしたい。
○山下貴司法務大臣 事態をしっかり把握した上で性犯罪被害を少なくすべきだという点において、私も全く同感だ。その意味において、これも井出委員と全く同じだが、やはり外縁の明確化が必要なのだろうと思う。その上で、現在、暴行・脅迫要件、それも抗拒著しく困難なとなっているわけだが、さらに被害の実態調査をしっかりやった上でやらなければならないと考えている。
 他方で、保護法益については性的自由または性的自己決定権と解されているということは承知しているが、これを規定ぶりにどう反映させるかということを考えた場合に、やはり刑法典であるので、他の構成要件等の規定ぶりとの並びということも考えなければならない。そうなると、刑法の各規定においては例えば窃盗罪も含め一般に保護法益を明示しておらず、他の規定ぶり等の関係で問題が生じるということと、保護法益そのものが記載されてないからといって犯罪の成立要件、外縁が不明確になることにはならないのではないかという指摘もあり、なお慎重に国会の議論も見据えながら、また実態調査も踏まえながら検討してまいりたい。
○井出庸生委員 性犯罪というのは殺人などと違い内面の部分の議論もあるがゆえに、保護法益をきちっと検討するということも一つの論点ではないか。刑法典という、犯罪の行為を書くものだということは何となくわかるが、そこは元「ミスター議員立法」にその刑法典の壁を乗り越えて、国会での立法に資する検討と実態把握をやっていただきたい。

裁判所の人員・施設の体制整備

○井出庸生委員 次に、定員法について最高裁に伺いたいが、裁判の合議制を進めようと、10%の目標で達成率が半分ぐらい。それから時短、審理を迅速にしようと、今20カ月ぐらいを目標12カ月と。そんな議論があると思う。
 これはいつか言わなければいけないと思っていたが、それは両方とも大事だが、両方一遍に追求すると、裁判官が忙しくてパンクしてしまうのではないか。合議でいっぱいかかわらなければいけない、さらに時短にしろと。そこの目標設定が果たしてそれでふさわしいのかということを聞いておきたいのが一点。
 もう一点は、東京家裁の事件もあったが、人員のみならず施設面。私の地元の長野県佐久市も裁判所の支部、家裁があるが、事件数は多いが調査官・人がいない。それから建物がエレベーターがなくてしょぼい。これはうちの問題だけではなく、人がいない、エレベーターがないということは全国的にもあるようだ。
 家裁の事件もあり、もちろん施設の整備や調査官の配置等の問題意識を持ってきていただいているとは思うが、今回定員法で人員の問題、それから施設面もしっかりと考えていただきたいと思うが、答弁をいただきたい。
○村田斉志最高裁判所事務総局総務局長 まず合議率と迅速の関係だが、合議率については、今回増員をお願いする理由の一つがやはり事件の複雑・困難化で、かつ先例の乏しい事件がふえているところからすると、これは合議で3人の知恵を合わせることが必要になってくると考えており、その充実に努めたい。
 他方、迅速化の観点からすると、迅速化に関する法律で定められている2年という期間を超えている事件の数がまだ一定数あり、こういったものを極力少なくしていかなければいけない。これも課題だと考えている。
 この二つを調和させながら体制の整備を図り調和させていきたいと考えている。
 その上で、人のみならず、もちろん物的体制の整備も必要になるので、施設面においては、最大限バックアップができるように、現場のニーズとして何が必要かということを踏まえながら物的な体制の整備も進めていきたいと考えている。
○井出庸生委員 きょう少し答弁が心もとないと、ツイッターに出ていたのが先ほどちらっと見えたので、毎年の法案だがしっかりとまた答弁と中身を含めてお願いしたいと思う。

(以上)

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