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復興特:復興基本方針 質疑(玄葉光一郎2019/03/14)

東日本大震災復興の総合的対策に関する件【衆議院東日本大震災復興特別委員会】※要旨

放射線副読本の活用状況

○玄葉光一郎委員 短い時間だが、復興庁の後継組織について議論したい。
 関連して、風評被害の問題が大変根強い。この根強い風評被害の背景は、放射線に対する正しい知識が残念ながら普及していないということだと思う。正しく恐れるということが大事だが、この点について、放射線教育の副読本、あるいはそれを改訂して、小学校1年生から高校3年生まで全学校に配布していると承知しているが、これらの活用状況について伺いたい。
○矢野和彦文部科学省大臣官房審議官(初等中等教育局担当) 文部科学省では昨年10月に放射線副読本を改訂し、全ての全国の小中学校に1450万部配布し活用を促している。
 今回の改訂に当たっては、放射線に関する科学的な知識を理解した上で原発事故の状況や復興に向けた取り組みを学ぶこと、いじめを防止する内容を抜本的に改訂することをポイントとしている。
 この放射線副読本の活用については、今後、放射線教育をさらに拡充していくためには、学校における活用状況を把握していくことも必要と考えており、授業での活用状況、活用した教科名、活用に当たって工夫した点、改善すべき点などについて、学校現場の調査に関する事務負担の軽減に配慮しつつもフォローアップをしっかり行ってまいりたい。
○玄葉光一郎委員 フォローアップをやっていない。これはすごく問題で、要はお金をかけて配布しても活用されていない。たぶん、ほとんどされていないと思う。全国で。残念なことだが。これはすごく大事なことで、安倍総理もインタビューで、これをフォローアップアップさせると言っているが、されていない。これをやらせるのはまさに大臣の仕事だ。渡辺大臣が文科大臣に「やってくれ」と。それがまさに勧告権だ。あるいは、総理大臣の指揮監督を促す。復興庁は、これをやれる組織になっている。まだ活用されていないが。これは大臣、きちっとやっていただきたい。
○渡辺博道復興大臣 先ほどの文科省の話では、10月に改訂をしたと。その後のフォローアップがまだ現実的には活用状況を把握していく状況だと。必要性があるという考え方であって、現実的にはまだ進められていないと思っている。
 こういった放射線の副読本については、配布だけでは絶対にだめだ。特に広く授業での活用の促進を図ることが大変重要だと思っているし、その活用状況についてしっかりとフォローアップをしていかなければならないと思っているので、文科大臣とも連携しながらしっかりと対応していきたい。
○玄葉光一郎委員 このことが本当に大事で、この間、配って終わりになってしまっている。使っている状況にならないと放射線教育は進まないので、絶対にやっていただきたい。

復興庁後継組織のあり方

○玄葉光一郎委員 後継組織をこれから考えていくときに、まさに縦割りを排して政治のリーダーシップがとれる組織とは一体どういう組織なのか。
 2012年につくったとき、私は関係閣僚かつ与党政調会長で、かかわってつくった。当時の自民党の政調会長とも相談をしながら、今の復興庁ができたが、首相の直属機関にした。これから後継組織を考えるときに、これまで同様に首相の直属機関、消費者庁のような内閣府の外局、あるいは沖縄振興局のような内閣府の内局、三つの考え方がある。さらには、例えばスペシャリストや専門家が育っていないので、内閣府の防災組織と一緒にしようという議論もある。それらについて大臣はどう考えるか。
○渡辺博道復興大臣 玄葉委員は復興庁設立当初からのかかわりがあるわけだが、さまざまな議論の中でこのような形になったと思っている。
 今回の見直しの中で大事なことは、政治の責任とリーダーシップのもとで、そして復興庁のような司令塔機能を果たす後継組織を置くことをまず明確にしたことだ。後継組織の具体的なあり方については幾つかの議論があり、今後検討していく。現在は、被災自治体の要望や、関係省庁、さらには政府部内で検討を進めている状況だ。
○玄葉光一郎委員 ぜひ渡辺大臣がどういうふうにお考えになるかもお聞かせいただきたいし、おっしゃるように、こういう国会の中での意見とか、それぞれの政党の意見、個々人の関係者の意見をよく吸収してもらいたいと思う。
 大臣も、これまで同様に復興担当大臣として置く考え方、復興と防災だけを担当するという考え方、復興・防災さらにはプラスアルファーでそれ以外も担当する考え方がある。私は、三つ目の選択はあり得ないなと思っている。これまで同様に復興担当、あるいは復興と防災までにとどめないと、とても対応できないのではないか。
 確かに津波と地震のエリアは総仕上げだと思うが、福島はこれまで同様、あるいはこれまで以上にフルスペックでやらざるを得ない状況だ。復興も担当し、防災も担当し、それ以上も担当するというのはあり得ないと考えているが、どうお考えか。
○渡辺博道復興大臣 まさにこれからが本当の議論の場であり、今言った幾つかの種類、こういったことも含めて今後の検討課題とさせていただきたい。
○玄葉光一郎委員 復興担当大臣をお務めになられ、現場によく出向かれた実感も含め、やはり一定程度お考えを述べていくことも大事だと思う。今、報道がさまざまなされている中で、福島県内では結構心配の声も広がっている。これまで同様の復興担当大臣ではなくなるのか、あるいは内閣府の外局なのか、福島県はこれまで以上に政治が前面に立たざるを得ない状況なのに福島の復興がなおざりになるのではないかという懸念が実はある。絶対にそういうことにはしないという担保が次の組織には必要だと考えているので、もう少し突っ込んだご意見をおっしゃっていただきたい。
○渡辺博道復興大臣 確かにご懸念、福島県民の皆さん方でお持ちの方もいらっしゃる。こういったことも全て認識している。そういった状況を頭の中にしっかりと入れて、今後の組織についてはしっかりと私自身も発信させていただきたいと思うが、今はさまざまな状況について関係機関・関係省庁と連携して協議をする段階だ。3月8日に基本方針が決まったわけであり、今後の課題として、そういった意識を持って進めていきたい。
○玄葉光一郎委員 さまざまな分野を担当する大臣の中に復興大臣を入れることもあり得るという考えか。
○渡辺博道復興大臣 今の段階では、あくまでも現在ある復興庁のような組織という大前提でお話しさせていただいている。
○玄葉光一郎委員 そうすると、これまで同様の組織を前提として、基本的には専任の大臣として復興担当大臣が置かれるべきだという考えでよろしいか。
○渡辺博道復興大臣 先ほども申し上げたが、現在の復興庁と同じような司令塔機能を持つ組織を置くことになっているので、この前提で進めていきたい。
○玄葉光一郎委員 ある意味、復興庁は他省庁の上にある面もある。風評対策で教科書をきちっと配りなさいということを復興大臣は言える。それも一つの担保だ。そういうふうに具体的にリーダーシップがとれる組織とは何なのかということをよく考えていただいて、当然、現復興担当大臣は次の後継組織のあり方にも責任を持つわけだから、今申し上げたことも含めて絶対に福島のことがこれからさらに本格化する復興の状況の中でなおざりにならないような組織を提案してもらいたい。

(以上)

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