#71 『ALWAYS三丁目の夕日』で注目すべきはこの人!

高度経済成長期のノスタルジーを描いた大ヒット映画『ALWAYS三丁目の夕日』。建築中の東京タワーや当時の東京駅、三種の神器とよばれたテレビ・冷蔵庫などが見られることから、教材として授業で見せる機会もあるのではないだろうか。

この映画の中でぜひとも注目してほしい登場人物が、堤真一でも堀北真希でも薬師丸ひろ子でもなく、おかやまはじめさん演じる職安の人だ。「誰?」となるかもしれないが、必ず見ているはず。映画の冒頭に六ちゃん(堀北真希)が東京へやってくるシーンに登場する「青森職安」と書かれた旗をかかげて学生たちを先導する職業安定所の職員さんである。
冒頭のシーンは、現代の価値観からすると修学旅行を楽しむ生徒と引率する教師のように見えるが、実は中学を卒業した生徒を東京の企業に就職させる「集団就職」を描いたシーンなのである。

次に注目したいのが、ピエール瀧さんが演じる氷屋さんである。三種の神器の1つである電気冷蔵庫が普及する前は、氷の冷気によって食べ物や飲み物を冷やす冷蔵庫が使われていた。

映画の中の鈴木家でも使われており、「こんにちは。氷屋です。」と言って冷蔵庫用の氷を売りにくるシーンが描かれている。しかし、映画中盤、鈴木家に電気冷蔵庫がやってきたことにより、氷の冷蔵庫は廃棄されてしまう。同時に描かれる氷屋の寂しそうな表情がその後の氷屋業の衰退を予見している。

昭和20年代のサザエさんにも氷屋はたびたび登場していたらしい。現代人にとってはなじみがないが、当時の人々の暮らしにとって氷屋は一般的だったのだろう。


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