#270 条約の「採択」「批准」「発効」の違いは?


国どうしの約束事である「条約」を結ぶまでにはさまざまな過程があり、用語が登場する。核兵器禁止条約を例に考えてみよう。

平成29年(2017年)7月7日、「核兵器禁止条約」が国連加盟国の6割を超える122か国の賛成により採択され、多くの国が核兵器廃絶に向けて明確な決意を表明しました。同年12月には、条約採択への貢献などを理由に「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)がノーベル平和賞を受賞しています。
平成29年(2017年)9月20日から各国による署名が開始され、令和2年(2020年)10月24日に、批准した国が発効要件である50か国に達しました。条約は、批准から90日後となる令和3年(2021年)1月22日に発効を迎えました。(※太字は筆者による)

「核兵器禁止条約」の概要

核兵器禁止条約について説明した文だが、この中だけでも「採択」「署名」「批准」「発効」という用語が登場する。

・採択

国の代表者が集まって話し合い、条約の内容に合意すること。

・署名

条約の内容に対して賛成の意思表示をすること。この時点ではまだ署名した国に対して法的な拘束力はない。

・批准

条約の取り決めを守ることを国際的に宣言すること。日本の場合は、条約を批准するためには国会で条約が「承認」されることが必要となるため、内閣が勝手に条約を批准することはできない。
条約がすでに発効されている場合、批准した国は条約の内容に拘束される。

・発効

条約が効力を持つようになること。条約ごとに発効の条件が決まっており、例えば核兵器禁止条約の場合、50か国が批准した後90日後に発効するという条件だ。

・締結

他にも、条約を「締結」するという言葉もよく使われる。
所謂「条約を結ぶ」と同じ意味だが、署名や批准など、国として条約を認めて発効するまでの手続き全体を「締結」と表現する。
内閣の仕事に「条約を締結すること」とあるが、条約の署名や批准は内閣が行うことをさしている。

【目次】

【参考】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?