#328 日本一のカルデラは阿蘇山ではない?

南北約25km、東西約18km、「世界最大級」として教科書で紹介される阿蘇山のカルデラ。

その知名度の高さから、日本一のカルデラがあるのは阿蘇山だと思っている人も多いのではないか。

実は、阿蘇山のカルデラは世界一でもなければ日本一でもない。

日本一のカルデラは、北海道にある屈斜路湖。
屈斜路カルデラは約26km×20kmで、阿蘇山より一回り大きい日本最大のカルデラ(カルデラ湖)となっている。

3番目に大きいのは、直径およそ20km、鹿児島湾北部の姶良カルデラと言われている。鹿児島県を中心に広がるシラス台地の形成する原因となった噴火によってできたカルデラだ。

世界最大のカルデラは、インドネシアのスマトラ島にあるトバカルデラ(トバ湖)と言われています。
長さ100km、幅約30kmの巨大なカルデラだ。

約7万4000年前に起きたと言われるトバカルデラをつくった超巨大噴火は、ここ200万年の中で最大規模の噴火で、当時の人類を絶滅寸前にまで追い込んだと言われている。

では、世界一でも日本一でもない阿蘇山が必ず教科書に載っているのはなぜなのか。
それは、阿蘇山のカルデラには大きな集落があり、人々が社会生活を営んでいるからである。

カルデラがあるということは、そこは火山の噴火のおそれがあるということ。
実際、阿蘇山のカルデラができた後にも噴火が起こり、カルデラの中央部には活火山である中岳がそびえている。

にもかかわらず、阿蘇カルデラ内には数万人が暮らしている。

外輪山に囲まれたカルデラ内部は、豊富な湧水にめぐまれている。
火山の噴出物によってできた地層を通って湧く水は透明度が高く、不純物も少ない。
その水を利用して人々は古来から集落をつくり、農業を営んでいた。

阿蘇山は世界最大級の大きさであり、数万人規模で人々が暮らしているという世界でも稀有のカルデラなのだ。

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【参考】


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