Steve Lacy / Gemini Rights (2022)

休日と平日では、コーヒーの味が違う。

豆は同じ。ミルも同じ。水だって、マグカップだって、全部同じ。だけどやっぱり違う。
休日の朝はコク深く、平日はとにかく味が薄いのだ。

これはコーヒーを淹れる時の自分が違うのか、もしくは飲むときの自分が違うのか。
その謎は解明できていないけれど、休日の精神状態というのはそれだけ尊く、貴重なものに違いない。

そして、音楽もそう。休日と平日の朝では同じアルバムでも響きが違う。スピーカーでも変わったのかと思うほどに。
というか、そもそも休日と平日で聞く音楽が違うかもしれない。

平日の朝はパキッと行きたい。俺はやる気があるんだ!頭はハッキリしてるぜ!
そう言い聞かせるための音楽。

休日の朝は、違う。何も頑張らない。疲れることは一切しない。
そう今日は休日。そんな朝は、LAのアーティストがいいってわけ。

Steve Lacy / Gemini Rights (2022)
LAコンプトン出身の若き天才、Steve Lacy。
17歳でThe Internetのプロデューサーの一人として、グラミーにノミネート。Kendrick LamarやJ.Cole、SolangeなどのUS最前線のアーティストからラブコールを受け、カニエウェストはスティーブレイシーに対して、"自分に最もインスピレーションを与える存在"とまで言及する。

そして現在24歳の彼が7月に出した傑作"Gemini Rights"
2曲目の"Helmet"はこの世の至高。目を閉じて静かに両手を上げたくなる。
5曲目の"Bad Habbit"はレイドバック気味に、ソファにもたれて。ベッドにもう一度戻ったっていい。

さぁまだ朝は早いし、コーヒーを飲み干したら散歩にでも出かけよう。
平日じゃこうもいかないんだから。


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