歌会とそこにおける選歌について

 学生短歌会に入って5年と少し経ちました。
 これまでホームの歌会はもちろん、他大学短歌会との合同歌会や有志の歌会にも参加してきました。自分より遥かに長い歌歴を持つ歌人や結社所属の歌人をゲストとして迎えた回もありましたし、所属も経験もバラバラな人間を集めて開いた会もありました。
 ここで主に述べるのは歌会とはどういうものか、選歌をするとはどういうことか、といったことです。(作歌態度についてはここでは触れません。そのうち気が向いたら書き留めるかもしれません。)
 最初は何も考えていなかったものの、さすがに5年も経つとそれなりの考えというものはできてきます。そしてそれは、直接見習ってきた先輩や縁のあった人々、そうした人々の間でおそらくある程度の共通認識として通っているものであろうと思います。その人々の姿を見て流儀を学んできたのですから。細部に違いはあるとしても、少なくとも歌会に臨む際の心構えぐらいは、ある程度は共有できているはずです。だからこそ歌会を楽しいと思ってここまで続けてこられたのだと信じています。
 これから書くのは、自分が5年間で培ってきた「当たり前」です。
 会によって目的意識が違うこともあるのは承知しています。研鑽や相互批評ではなく鑑賞を楽しむことを目的とした会というのもあるでしょうし、初心者を集めた会があることも知っています。これは多くの学生短歌会や結社の歌会(つまりなんらかの空気や目的を共有し、若手からベテランまでが集まり、それなりの継続性を持つ会)において不文律として受け継がれてきたと思われる歌会観、それを自分なりに受け取って言語化したものであるということを断っておきます。

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