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私は売られてきた~読書記録175~

ニューヨーク在住の小説家で、ジャーナリストのパトリシア・マコーミックによる著書。


パトリシア・マコーミック

主人公の第一人称で、日記のような文体で書かれている。
これはフィクションであるが、実際に彼女が取材した話を元にしたものだという。

舞台はインド。
主人公は13歳になったばかりの少女。ネパールの山奥に、母と母親の再婚相手、弟と暮らしていたが、義父は働きもせず、飲んだくれ、かけ事ばかり。母親は「それでも男がいるだけでいい」と、仕事、家事全てを請け負う。
屋根のない家で、食べ物もろくに食べられない暮らし。
主人公がやがて食べることを楽しみに育てたキュウリさえも義父は売ってしまう。

そして、その義父は、とうとう、「家族の為」とか何とかうまいことを言って、主人公をインドにある売春宿に売ってしまうのだ。
インドとの国境を超える為の偽装も書かれている。

主人公は、街の金持ちの家で家政婦として働くのだと聞かされ、信じていた。だが、実際は外国での思いもよらなかった暮らしだった。

初体験では、そこを管理する女性に薬物を飲まされ、意識もうろうとした中でだった。
ここの雇い主は、ずる賢く、鞭をふるい、地元の警察に賄賂を贈り、捕まらないようにしていたのだ。

そんな中、救いの手があった。
アメリカ人の慈善団体による救いだ。客として紛れ込んだ男性にすがった主人公。
卑怯な雇い主は、正しい警察の介入により、逮捕され、物語は終わる。


ネパールはヒンドゥー教の国だ。つまり、貧富の差が激しい。当然、貧しい者が多い。
インドでも格差はある。

だから、自分の家族を平気で売春宿に売るなどあるのだろうか?

この書にも出てきたし、東京大学名誉教授の中村元先生はインドに行かれた時に、身体の一部分を切り取られた物乞いの人が現地にいる、と書かれていた。
つまり、そのような状態にわざとして、通る人から恵んでもらうのだ。
中村元先生は、お金をあげないように言われたらしいが。

色々と、考えさせられる話であった。





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