オナラことわざ辞典__4_

【オナワザ】#24 エヴァの解説

世の中には映画、アニメ、ドラマ、小説にいたるまで、様々な「作品」があります。
そして多くの人は何らかのものに熱中し「ファン」になります。彼らは個人的な趣向に基づいて、作品のグッズを集めたり、諳んじられるほどに覚えたり、おもいおもいの形で愛情を注ぎます。

しかし、そんな個人的な行為である「ファン」の習性の中で、ごく稀に他者へ危害を加えるものがあります。
それは「語る」と言う行為です。


作品を奥深く知れば知るほど、他の人には無いほど「知識」が溜まっていきますよね。
人は他人より秀でた部分があると、すぐにマウントを取ってしまう生き物ですが、この場合も同じです。自らの知識をひけらかそうと、作品について熱く語ってしまうのです

作品が持つこの厄介な作用を、私は「語(カタ)ルシス」と読んでいます。そして、この語ルシスが顕著な作品の1つが「新世紀ヱヴァンゲリヲン(以下、エヴァ)」です。


エヴァは元スタジオジブリのアニメーター出身である庵野秀明氏が監督と脚本を務めた作品で、1995年に放映されました。そこから20年以上が経ちますが未だに根強い人気を誇っており、2020年には新作の映画が公開されるそうです。

内容は、14歳の少年「碇シンジ」「エヴァンゲリオン」と呼ばれるガンダムにも似た(※)ロボットのような乗り物を操作して、謎の敵「使徒」と戦うお話です。
その中で謎の美少女「綾波レイ」との恋や、父との関係など複雑な人間模様が展開されるのですが、かなり哲学的な内容になっているそうです。そのためかなり難解な内容となっており、最終回はとんでもない終わり方をしたことで有名です。(もちろんここでは語りません)

※「ガンダムとの違い」と言うのもエヴァファンの最も厄介な語ルシスポイントなのでご注意ください


エヴァはこの「難解さ」ゆえに、多くの憶測や考察がされています。多くの記事が書かれ、解読本なんかも発売されているぐらいです。
そしてファンたちはこれらの情報を収集し、徐々に「語ルシスト」になっていくのです。

話し出した彼らは止まることを知りません。どんなに不快な顔をしていても、相槌がおろそかでも、嬉々として語り続けます。
彼らは「教えてやっている」と言うとても心地の良いマウンティングをとります。すると一種のトランス状態となり、目が血走り、呼吸が乱れ、ひどい場合には口からヨダレと胃液の混合物を垂れ流し続るのです。


ここで冷静に考えてみましょう。
彼らがやっていることがいかに愚かなことなのかを。

まず前提を整理します。
彼らが語ってしまう対象は「エヴァを観ていない人」「エヴァは観たけど考察までしてない人」の2パターンです。

1つずつ見ていきます。

1.エヴァを観ていない人の場合

エヴァを観ていない人の場合、最も重要な前提は「興味がないから観ていない」という部分です。
もちろん友人から「エヴァ観た?」と言われた時に、相手を傷つけないために「ううん、観たかったけどまだ観てない」と前置きすることはあるでしょう。つまり「社交辞令」なんです。

そもそも「観たかったけど観ていない作品」なんて誰でもたくさん持っています。誰もが「観たい」と思った作品をすべからく観るわけではないでしょう。
お金の問題も、時間の問題もあって、別に「観なくていいや」と判断することだって往々にしてあるのです。つまりは、そこまで興味がなかったから観ていないんです。


にも関わらずエヴァファンの多くは『観たかったけど』を鵜呑みにして、マシンガントークを決め込みます。そしてその多くはアメトーークで聞いたことや、解説記事、ウィキペディアに書いてあることそのままです。
その内容を伝えたいのであれば、よっぽどのトーク力がない限りURLの共有にとどめてほしいものです。そいつの口から聞くのと、有田やオリラジの中田から聞くのとでどちらが面白いかは明白でしょう。

もし好きになってほしいのであればURLでお願いします。
見れる時に見ますので。


2.エヴァは観たけど考察までしてない人の場合

このパターンもなかなかに愚かです。

エヴァファンはまず「エヴァ観た?」の段階で人類を「賢者」「愚者」に二分します。そして賢者に選ばれた「観た人」のなかで、争いを仕掛けていくのです。
食物連鎖で頂点に立ちつつも、同族で争い合う「人間」と同じですね。

彼らは次に「あのシーンどう思った?」と半ば強制的に実力テストを出題してきます。そこでの偏差値を持って、お互いの地位を明確にし、これからのトークにおけるポジショニングをするのです。

そして実力テストで良い成績を残せなかった人。つまり「解説や考察をしていない人」は残念ながら語ルシストの餌食となります


ですが、前述の通り解説においても「興味がないから読んでいない」のです。
特に「アニメを観ていない人」に比べて、こちらの人は観た上でハマっていない、ないしは解説までは興味がないと選択しているのです。つまり、観ていない人以上に解説を聞きたい可能性が低いということになります。

にも関わらず、語ルシストたちは少し話が通じることをいいことに、どんどん深いところまで知識をひけらかします。
もしかするとどうでもいい「そいつ自身の考察」まで聞かされる羽目になるかもしれません。

いいですか、観ている人はその作品の良し悪しを判断した人です。
ハマっていないことが推測される時点で、その話題を持ち出すことはハラスメントそのものということを覚えておきましょう。


要するに、素人がするエヴァの解説ほど無駄なものは無いということです。

自分は今何のために頷いているのか。
なぜここにいなければならないのか。

と禅問答のようなことを繰り返しながら、それでも聞き続けなければならない。

まさに「使徒」と戦わされる碇シンジそのものでしょう。


というわけで、本日のことわざはコチラです。

エヴァの解説

【意味】
取るに足らないこと。無意味なこと。

【例文】
え、その花壇何も植わってないよ。
3週間も毎朝水あげてたの?エヴァの解説だねそれは。


(まとめ画像)


サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。