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DISCOを止めるな〜2019/02/09 the telephones@佐賀RAG・G

2000年代の後半くらいから2010年に差し掛かるくらいの時期に、これは見たことない感じだ!というような異質なバンドがたくさん出てきて新鮮な気持ちで音楽を楽しんでいた記憶がある。高校生だった当時は、BUMPやアジカンの流れにあるバンドに飽き始めていたので、andymori、ふくろうず、SEBASTIAN Xなどを愛聴していた。その中でも、the telephonesを聴いた時の衝撃は凄かった。どこから飛んできたのかというハイトーンボイス、シンセとバンドロックがぶつかり合うみたいなサウンド。どこをどう切り取っても異端だった。

その頃猛威を振るっていたバンドが軒並み2010年代後半に活動休止し出したのは残念でならなかったが、ジュウ年代ラストの2019年、メジャーデビュー10周年を機にthe telephonesが活動を1年間に限り本格的に再開した。その幕開けとして、初上陸地でのワンマンツアーが佐賀で開催されるということで、せっかくならばと足を運んだ。ワンマンの開催は活動休止前の日本武道館以来、3年9ヶ月ぶり。ツアーとしては4年ぶり、個人的にはZepp福岡でのイベント「F-X 2014」以来、5年ぶりのテレフォンズである。

僕は大学生活を佐賀で過ごしたのだけど、その間に全く行ったことなかった佐賀RAG・Gでの開催。「メジャーデビュー10周年、まだ行ったことのない都道府県に行くツアー(決)~初上陸!!!DISCOさが錦~」という勢い任せなタイトルは平常運転で実に良い。しかし、さすがに重要度の高いライブであることは間違いない。フジテレビ「Love Music」の密着と、スペースシャワーTVの取材カメラが入っていた。後日、オンエアされるとのこと。地方民としては、地方公演が全国に放送されるのって、なんかドキドキするのよ。

定刻を6分ほど過ぎて開演。「happiness,happiness,happiness」の出囃子、そうこのワクワク感!5年前をまざまざと思い出す。アフロのカツラとか、岡本伸明のスパンコール衣装、松本誠治の定まらない髪型(ダイスケはんみたいだった)、眼前に現れた久々のthe telephonesだ。定位置につき、1曲目は「D.A.N.C.E to the telephones!!!」。メジャーデビューアルバムのオープニングナンバーが、そのままメジャーデビュー10th Anniversaryの号砲と化した。久々に体感する彼らの生演奏に、会場中が瞬間で沸騰した。徐々にではなく、それはもう突然に。

何度もライブで聴いた「I Hate DISCOOOOOOO!!!」の重たいサウンド、そしてこちらも定番の「HABANERO」の伸縮自在なグルーヴに、彼らの衰えなさを思い知る。1度は休止を選んだ彼らだが、やはり1つの音楽に向き合ったバンドなのだ。その業深さのようなものが滲み出まくっている。一方で、休止前最後のアルバム『Bye Bye Hello』からライブ初披露の「Jesus」も鮮烈に響いていたし、このツアーに向けて、新たな気持ちで一つの塊になっているのだと伝わってくる。その最初の形を目撃することができた喜びでいっぱいだ。

A.B.C.DISCO」のキュート&ポップな高揚感、フロアライクな「It's Alright To Dance(Yes!!!Happy Monday!!!)」、そして石毛輝がハンドマイクで舞う雄大な「My Final Fantasy」まで、多種多様なダンスミュージックが展開されていく。彼らをイベントや対バンでしか観てこなかったが、ワンマンライブではこれ程まで豊かな音楽が溢れていたのか、と感服してしまう。大好きな「kiss me, love me, kiss me」を念願叶ってライブで聴けたのが嬉しかった。温かくセンチメンタルな一面が、中盤の大きなハイライトとなって輝いていたのが印象的だった。

猛攻のようなドラミングが唸る「Keep Your DISCO!!!」が口火を切った後半戦、ショートでファストなモッシュナンバー「AA UU OOO」の弾丸のような駆け抜け方に圧倒されていたら、メンバーが「これ忘れてた!」と演奏後に思わず口走るほどの初期曲「DaDaDa」でもう汗だくに。人生において2月史上1番の熱気。高速ナンバーでフェスの現場を勝ち上がった代表格のバンドの本領発揮であった。しかしその後に、長島涼平による図太いベースライン主体の「Yeah Yeah Yeah」や腰にクるリズムで揺らす「Don't Stop The Move,Keep On Dancing」を投下し、現行のシーンとの共鳴も確実に見せつけてくれた。

終盤。ストレンジでハード、だけどもとびきりキャッチーな代表曲「Monkey Discooooooo」の色褪せなさたるや!思えばこの曲のライブ映像をyou tubeで観てから彼らのライブのヤバさを知り、高校卒業してすぐ広島の「MUSIC CUBE12」に遠征したのだった(結果的に2012年は合計3回テレフォンズを観ている)。そんな思い出に浸っているうちに、会場は興奮の坩堝。そのカオスを至上の多幸感で包み込む「Love & Disco」が本編ラストナンバーだった。この曲は紛れもなく、2010年代を代表する大団円アンセムだろう。踊ればみんな泣きながら笑っちゃうような。

アンコールでは「2015年の頃と比べて楽しくバンドができていて嬉しい」という旨が石毛から語られた。それまで、MCとも呼べないような取り留めない雑談に終始していた(何なら前半は緊張しまくっていた)テレフォンズの面々から、最も聞きたかった言葉を聴けたような気がした。様々なストレスを抱え活動を止めた彼らが今「楽しい」気持ちで動けてるって、それって素晴らしいことでしょ!この日を締めくくった「Something Good」のエバーグリーンなメロディが胸を打つ。さいたまスーパーアリーナでの休止前最後のライブのラストソングとして歌われていたのを中継で観ていた。あの寂しさはこの曲にはもう無い。またこれから続いていく予感に満ち溢れていた。

正直言えば、このライブはちょっと懐かしい曲を楽しむ懐古的な催しみたいになるんじゃないか、と思っていたけどそんな予想は当然のように裏切られた。ハードコアバンドじゃないのにこれほど狂暴な盛り上がりをもたらし、ダンスミュージックでありながら徹底してロックバンドであることに意識的なサウンドアプローチ。活動休止後の数年、追随するものなど一切いない唯一無二の音楽性が、個性剥き出しで襲い掛かってくるみたいな、どえらい2時間だった。

今年、彼らがライブの最前線に帰還し、大暴れすることがどういう影響をもたらすだろうか、と考えた。シーンの移ろいは早く、バンドの在り方、フェスの在り方にも変遷はあり、そこにアジャストしていくのか、、、とか考えているけれど、正直どうだっていい気もする。これほどまで踊れて楽しいロックバンドが、ストレスなくライブをやれる状況がこのタイミングで整った、それこそがこの復活劇のアツアツポイントだろう。だから当分はそう、LIVEは続ける!DISCOは止めない!ってことでどうですか。新曲とか作る気になったら更にイイね。

2019/02/09 the telephones「メジャーデビュー10周年、まだ行ったことのない都道府県に行くツアー(決)~初上陸!!!DISCOさが錦~」@佐賀RAG・G セットリスト(正確な曲順・曲目ではないと思うのでここはコレやないかというご指摘をお願いします)
SE:happiness,happiness,happiness
1.D.A.N.C.E to the telephones!!!
2.I Hate DISCOOOOOOO!!!
3.HABANERO
4.Jesus
5.A.B.C.DISCO
6.It's Alright To Dance(Yes!!!Happy Monday!!!)
7.electric girl
8. Perfect World
9.My Final Fanstasy
10.kiss me, love me, kiss me
11.Keep Your DISCO!!!
12.AA UU OOO
13.DaDaDa
14.Yeah Yeah Yeah
15.Don't Stop The Move,Keep On Dancing
16.Monkey Discooooooo
17.Love&Disco
-encore-
18.Something Good 

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