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オンラインで演劇を観た⑧(男性ブランコのコントライブ/ロロ「ロマンティックコメディ」)

男性ブランコのコントライブ

男性ブランコのコントライブが2月から毎月開催されていて、そのたびに配信で見続けている。その創作スピードもさることながら毎度クオリティも非常に高い。アイデア一発で展開していくものが多く、いちいち目のつけどころが個性的なのだがその出力が男ブラ最大の魅力だろう。独特のリズムと語彙で言葉を紡ぐ平井まさあきと、それをたしなめ悟し、なるたけ理解しようとする浦井まさあきであるからこそ成立する、妙な温かみが溢れている。

今配信されている「エドガーラビット」の中では、歯磨き粉のコントにおけるオチの急転直下っぷりは最高で、ダイナミックなシュールさも持ち味だと思うが、それと双璧を成す程に不意に現れ出るセンチメントにも無性に惹かれる。今回でいえばやはり最後のコントだろう。創作をすること、それ自体をネタにする題材はこれまでの作品にもあったが、今回はより芯を食った、何かを抱えてそれを放つことの業のようなものを感じた。お笑いは面白い。



ロロ「ロマンティックコメディ」

半年ぶりの本公演。丘の上の本屋を舞台とした会話劇でステージを本が取り囲むセットだけでもなかなか見ごたえがある。話の筋書きとしては、この世を既に去った女性がひそかに遺していた本を読書会を通して紐解きながら、その作者に思いを馳せていくというもの。様々な関係性を通じ、思い返していく。そこにいない人物の輪郭が思い浮かべられていって、なんだか不思議な心地だった。その人は僕を知らないが、僕は知っているという状態が。

ただしかし、そこではたと思うのだ。この知ってしまった、と思っている状態の危うさについて。劇中でも語られる、全ての物語を作者と結びつけることへの違和感だ。「感傷は厄介」という言葉も出てくる。創作があまりにも正直であることを求められ、作者の人格までもが繋がってしまうことで起きる辛いことはこのご時世、散見される。そんなメッセージが静かに、優しいタッチだがしっかりと書きこまれている気がした。物語は、自由なものだ。






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