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Aマッソ 第9回単独ライブ『与、坐さうず』@愛知県芸術劇場小ホール

生では初めて観るAマッソの単独ライブ。名古屋での単独は初めてとのことだが330席は満席。客層はオシャレな男女が多く、クールなカルチャーと化したお笑いを実感する。ぱっと見たらカネコアヤノのライブの客層とほぼ同じ。そしてそんな支持の厚さを裏付けるような内容の上質さは圧巻だった。



加納愛子の作り上げるネタはそのどれもが客側の様子を伺うことなく、ひたすらに己の面白いという感覚を研ぎ澄ませてある。媚びてないのだ。活動のフィールドも広がり、お茶の間の入り口に立ちつつある彼女たちだが単独ライブの場ではやはり自由に、その様々な鋭さを持った笑いを展開していく。


随所に強めの毒を含んだネタ(「考古学」「採用」)も、放送コードを無視したエグめのワードチョイスがやってくるネタ(「一思いに...」「芽生え」)も、かなりエッジーかつ下世話な味付けなのだがどこか気品が漂っている。それはやはり、台詞における語彙の豊かさと特別な言語感覚の数々ゆえだろう。


幕間VTRではKID FRESINOが楽曲を提供していたのだが、リリックの大半はこのライブの台詞から取られたもの。当代きっての言語感覚を持つラッパーが選び紡ぐほど、Aマッソのネタ台詞にはグルーヴが乗っている。個人的な2大ベスト台詞は「誰がそのチケットをもぐ?」と「私の風刺画を書け!」。

また、隅っこをつつ絶妙な機微を持つネタ(「大人の階段」)もあれば、最初から最後まで飛躍しっぱなしな漫才2本もあり、その角度のつけ方も多彩。ベストネタは「三畳半」を推したい。あるあるネタっぽく始まったと思いきや奇妙なゾーンにも突入していく嬉しい構成。歌ネタとしてもかなりの逸品!


このようにあれこれ語ってみたものの、生で観ると結局のところAマッソの素晴らしさは2人がワーワーやってる人間的魅力に集約されていく。語彙とボケとツッコミを担う加納と、愛嬌ある阿呆としての言動を全身でやり通す村上。抜群のステージパフォーマー同士の衝突が心地よくって堪らないのだ。

また女性コンビだからこそ面白く見せられる笑いも多くあったように思う。「採用」や「芽生え」は特に男性芸人ではその笑いの本質には辿り着けないはず。これまでは女性であることを無視した作風が魅力だったが、女性としての強みも活かしすべてを笑いに注いでいる。とにかくカッコいい。支持!


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