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展示窓1 「牛」

古美術品&古書の専門店・えびな書店の店員になった私。

毎日、所狭しに並ぶ古美術品と歴史を感じる古書に囲まれ、なんだか貸し切り美術館&図書館で働いているような気分。


注文があるたびに在庫品探し、というよりも宝探しのように店内の細い通路をすり抜け、ギュウギュウ詰めの棚を凝視。
毎回、お目当ての注文品が見つかったときは「あった~!」と、ルンルンと品を抱えて舞い戻り、
ときどき「何でないの・・・」と見つけ出すことができずに重い足取りで戻って、店主に助け船。
店主も手ぶらで戻ってくれば、無いものは無いんだからと開き直って「在庫切れ」と返事。

そんな職場環境で働いていると、「こんなものがあるんだ!」と自分の興味関心はあっちにこっちに。
コロナで外出自粛でも、平日の職場で美術鑑賞&本棚巡り。
目と精神の保養になっております。

えびな書店の入り口横のショーケース。
せっかくなので、週替わりのショーケースの展示品紹介でもしようかな、と思い立ったが吉日。

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新年はじめのショーケースは、木彫りの「牛」
作者の後藤貞行(1850‐1903 和歌山出身)は 馬の彫刻家と知られているらしく、木彫りは高村光雲(上野の西郷さんの作者)から学んだそうです。私は両人とも知りませんでした。
高村光雲は高村光太郎の父ちゃん。詩人・歌人の高村光太郎の有名なブロンズ像「手」は私でも知っています。血筋って、すごいね~。

パッと見、ブロンズ像のずっしりと重みのある黒牛。
よくよく見ると、木目調のつぶらな瞳の牛。
徐々に撫でたくなる牛に見えてきて、早くショーケースから出てこないかしらと、出勤のたびに展示替えの時を待っております。


Megu



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