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【アップサイクル話vol.4】みんなの想いをカタチにしたら、美味しくて持続可能な米粉パンができました

こんにちは!シェアシマ広報担当です。
このnoteでは、私たちのパーパスである ”大切な食資源を活かす”をテーマに、あらゆる人・コミュニティ・企業にインタビューをしています。

今回は、「おいしい」の素となる原材料、機械を幅広く取りそろえ、パン・お菓子づくりや開業サポートをされている株式会社丸冨士 代表取締役社長倉石さんと、当社代表・小池による対談です。丸冨士さんとは、未利用の食品原料を生地に練り込んだ米粉パン「アップサイクルフード 米粉ブレッド from 信州」を共同開しました。今回は、米粉パンの商品開発の背景や今後についてうかがいました。

【株式会社丸冨士 代表取締役社長 倉石匡啓氏】長野県長野市出身。株式会社丸冨士の3代目社長。和洋菓子・パン原材料の卸売をメインに、厨房設備機器の販売などを行う。2023年より、新規事業「生米粉のパン・スイーツラボ」を開設し、製菓製パン業界に新たな価値提供ができると考え、日々奮闘している。

古米に価値を!アップサイクルフード 米粉ブレッド from 信州を立ち上げたきっかけ

ーこのプロジェクトを立ち上げたきっかけを教えていただけますか?

小池:次のアップサイクル商品を企画中、シェアシマで商品の原料になりそうなものがいくつか集まってきたというのが大前提にありました。そんな中、倉石さんの方では、ちょうど米粉パンを作ろうと考えているという話を聞きました。米粉には収穫してから1年以上経った古米を使うということでした。お米って古くなると値段が下がってしまうのですよね。

倉石:そうですね。やはりお米は酸化していってしまうと同時に、価値も下がってきてしまいます。

小池:そうですよね。新米に比べて古米の方が安くなってしまい、農家さんの手取りも減ってしまいます。丸冨士さんでは、その古米に価値を出そうとされていて、その思いに当社とリンネルさんが共感ししました。食ロスに関して関心の高い3社が集まって、ともに商品開発に至ったという流れですね。

ー最初にこの話をした時にどういった印象を持たれましたか。

倉石:そうですね。私としてはお米っていうのは”ないがしろにされがちなアイテム”なのかなと考えていて、そこにスポットライトをあてたいという思いがずっとありました。それもあって、2023年より新規事業「生米粉のパン・スイーツラボ」を開設しました。シェアシマさんが取り組んでいる未利用原料にスポットライトをあてる取り組み『アップサイクル』のビジョンには、近いものを感じました。なので、一緒にやっていくという選択肢しかありませんでしたね。

ーお米は”ないがしろ”にされているのですか?

倉石:本当だともっと生産できるはずなのですが、海外との価格競争に負けて価格がつかないといった理由で、農家さんが作るのをやめてしまうのです。また、耕作放棄地が増えている現状もあります。これはお米の需要と供給にギャップがあるせいだと思います。なので逆に、消費者のニーズをきちんと把握して、お米を求められる方向性に持っていけば、生産も増えるのではないかと思っています。そんな考えのもと、お米をパンやスイーツなど、本来とは異なる形で商品作りしていこうと考えました。

お米×〇〇:初めてのアップサイクルへの試み

ー米粉と未利用の食品を使った商品開発において、苦労などはございましたか?

倉石:色々な素材を試してはいましたが、アップサイクルという括りの原料を使ったのは初めてでしたね。とりあえずお米をパンにしたというキャッチ―な感じから入り、他の素材と色々と掛け合わせていけば、それなりの商品は作れます。しかし、売れるようにするには、しっかりと受け入れられる高いクオリティーの商品を作って、プロモーションも考えていく必要があるというプレッシャーもありましたね。

そして、今回使った素材には日持ちするパウダーやピューレといった液体などが多くありましたが、それだけだとやっぱり味が出ないというのが大きな課題でした。そういった部分を、特徴ある素材と掛け合わせるという方法で発想の転換をしました。結果的に、美味しいと言っていただけるような商品を作ることが出来たので、良い成果が出たと感じています。また、今後の商品開発にも繋がりそうです。

小池:そうですね、率直に美味しかったですし、シェアシマで提供する原料の1つの出口としても非常に面白いですね。これからも成功事例として積み上げていきたい商品の1つです。今回丸冨士さんのケースを先行事例として、すこしでも企業様の売上に貢献するといったこと横展開していければと思います。それが我々の強みですので。

商品紹介~開発者コメント~

ー8種のフレーバーがあると聞きましたが、それぞれどんなストーリーがあるか教えていただけますか?
柿・くるみ

倉石:最近、東南アジアで凄く干し柿が売れています。しかし、その輸出が増えるに伴い干し柿を作る際に出てくる皮などの残渣も凄く増えています。そういった背景で、市田柿に注目していました。そんな中で、市田柿の残渣を使った商品を作るというのは、凄く社会的に意義があるなと感じていました。ただ柿だけでは糖度も低く特徴が出ないので、くるみを掛け合わせました。そうすることで、柿の柔らかい甘味とくるみの食感がアクセントとなって良い商品が出来上がりました。

ーケール・ベーコン

倉石:この商品には茨城県産・ケールの端材を活用させていただきました。この素材は、製パン・製菓系の素材としてはあまり見ないものなので一番難しいなと思った素材です。ケール独特の苦味などの特徴をどうやって打ち消していくのかという中で、かなり重い素材を掛け合わさないと難しそうだと考えていました。そんな中で、チーズなどの乳製品よりかはストレートにベーコンを掛け合わせてみた結果、ケールの苦味とベーコンの風味が絶妙に組み合わさって、美味しい商品が出来ました。

にんじん・シナモン

倉石:この商品には茨城県産・にんじんの端材を活用させていただきました。にんじんだけだと特徴が出なかったためににんじんパウダーの生地にアクセントとして強めにシナモンを加えました。キャロットケーキなどにもシナモンは入っていたりするので、そのイメージで掛け合わせてみました。優しいにんじんの風味とアクセントとしてシナモンの香りが広がり、独自の風味がある商品が出来ました。

いぶりがっこ・チーズ

倉石:いぶりがっこはかなり癖のある素材で製パン・製菓の中では全く見られない素材でしたが、塩気の強いいぶりがっこを刻んで練り込んだ生地にマイルドなチーズを合わせてみました。私自身、お客様の反応が一番想像できないアイテムではありましたが、一番人気な商品でした。いぶりがっこの塩気とチーズのマイルドさが絶妙に調和した商品が出来ました。

小池:この商品には、サイズの規格外になった物、一部虫食い部分をカットして、残りのハーフ部分が素材として使用されています。

さつまいも

倉石:この商品には、茨城県産・干し芋の皮の部分を活用させていただきました。さつまいも自体は慣れた素材なので、あまり違和感なく進められました。さつまいもパウダーの生地に甘く煮たさつまいもダイスを練り込みました。さつまいもの自然な甘さが広がり、さつまいもの風味が豊かに感じられる商品が出来ました。

レンコン

倉石:この商品には、茨城県産・規格外で廃棄するレンコンを活用させていただきました。レンコンは馴染みのない素材だったので、少し悩ましかったですね。形が残っていれば、シャキシャキ感など食感でアピールできる素材ではありますが、パウダーになると素朴な感じになります。今回は、レンコンパウダーを練り込むことで、レンコンの風味がほのかに香る商品が出来ました。

ーいちじく

倉石:カットしたいちじくを生地に練り込みました。 ほんのりフルーティーな風味があり、優しい甘さが感じられます。アップサイクルの柿皮エキス入りです。

アップサイクルフードを通して考える地域共創の未来

ー今後の展望やシェアシマとの共創の可能性についてうかがえますか?

倉石:私たちは今後、もっとお米にスポットライトを当てていこうと考えています。それを違う形で加工していく上で、色々な素材は欠かせないものとなってきますが、今回のような社会的に意義のあるものなどに果敢に挑戦して広めていきたいと考えています。県外にネットワークがあまりない中で、全国各地の色々な食材をシェアシマさんから紹介していただけるというのは、視野も広がって非常にありがたいです。

小池:そうですね。お互い長野ということもあり、弊社は全国から特に未利用原料であったり、特徴のあるものを集めることは出来るので、丸冨士さんに使っていただけるような提案もしていきたいです。また逆に、丸冨士さんで出来たもの・持っているものもシェアシマを通して全国に発信していきたいなとも考えています。地元だから出来ること、『地域共創』というのは1つのテーマですね。


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