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風刺画から見る中東情勢 #3

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今日の風刺画は、サウジアラビアのオカーズ新聞のサイトに掲載されていたものです。(参照元URL1

2019年8月17日にサウジアラビアはイエメンのフーシ派からドローン10機による攻撃を受けました。その攻撃は、サウジアラビアの天然ガスのパイプラインを狙ったものであり、それにより火災が発生しましたが、鎮火され、天然ガスの輸送には影響は無いようです。(参照元URL2

フーシ派はイランが支援しているイエメンのグループなので、サウジアラビアはこれを実質イランからの攻撃だと捉えています。

上の風刺画のパイプラインには「世界へのエネルギー供給」と書かれており(石油や天然ガスを世界に輸出するサウジアラビアの自負が伺えます)、またそのように書くことで、サウジVSフーシ派(イラン)ではなく世界VSフーシ派(イラン)の構造にしています。風刺画左のパイプのバルブのようなものも地球に見えなくもありません。

そしてその世界に対する攻撃を防いでいる大きな手(風刺画右上)は、サウジアラビアなのです。親指の付け根がサウジアラビアの国章である「椰子の木と新月刀」のマークが書かれているため、この手はサウジアラビアを示しているとわかります。

今回のこの事件だけでなく、イランによるものと思われる攻撃がホルムズ海峡付近でここ数ヶ月続いており、海峡を挟んだ両国の緊張感は高まっています。(それらの攻撃全てが本当にイランによるものかはわかりませんが。)

・2019年5月13日 フジャイラ沖でサウジアラビアの原油タンカー2隻、UAEの原油タンカー4隻に破壊工作がなされる。
・2019年6月13日 安倍首相イラン訪問中に、ホルムズ海峡付近で日本の原油タンカーが攻撃を受ける。
・2019年7月19日 イランがイギリス籍船を石油タンカーを拿捕。
・2019年8月5日 イランがイラク籍船を拿捕。

上記のようなイランによる行為、あるいはイランのものと思われる行為が続いています。(このように列挙するとただただイランが悪者みたいに思えてしまいますが、イランと湾岸諸国との関係や、アメリカの経済制裁やイギリスのイラン原油タンカー拿捕など、イランにも言い分があるわけです。ただアラビア語の風刺画を取り扱うと今後もイラン批判のものが多くなってしまう可能性があります。。)

このようにしばらくは、ホルムズ海峡周辺の緊張感は続くでしょう。

今回は事件の説明だけになってしまい、各国の関係性の本質的な部分にまで切り込むことなく終わってしまいましたが、また次回以降にお任せしましょう。

それでは、イラッリカーイ(さよなら)!


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