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ルイス・キャロル、アーサー・ラッカム『不思議の国のアリス』1907年初版

ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』アーサー・ラッカム版1907年初版の全13枚のカラーイラストと一部のモノクロイラストを撮影したので公開する。

オックスフォード大学の数学講師チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンのもうひとつの顔は、作家ルイス・キャロルだった。本作は、ドジソンの職場の上司ヘンリー・リデルの娘アリス・リデルのために書かれたものだった。ある夏の日の午後、ボートの上でアリスに即興ファンタジーを聞かせていたドジソンは、彼女からこの話を本にして欲しいとねだられる。そうしてドジソンは、彼女のクリスマス・プレゼントとして本を贈るため、物語を綴り始めたのだった。それが、今日に知られる不朽の名作『不思議の国のアリス』の誕生のきっかけだった。

表紙
見返し

以下、全13枚のカラーイラストを掲載する 。

アリス
コーカスレース
狂ったお茶会
グリフィンとウミガメモドキ
女王の裁判
襲い掛かるトランプ兵

以下、一部のモノクロイラストを掲載する 。

巻頭の詩
巻頭の詩
チェシャ猫とアリス
グリフィン
ウミガメモドキ
裏表紙


1865年にルイス・キャロルにとって発表された本作は、瞬く間に注目を浴び、ベストセラーとなった。当初、キャロルは挿絵を自分で描こうと思っていたが、芸術家ラスキンに絵の才能がないと止められる。そこでキャロルは、既に名を馳せていた大物挿絵画家のジョン・テニエルに挿絵を依頼することを決心する。無名の作家ろ著名な画家。この異色の組み合わせが、後に世界中で語り継がれる名作を生むことになるとは、この時誰も想像しなかった。

1865年の発表から42年間は著作権が存在するため、出版の権利をマクミラン社が独占し、挿絵もテニエルのものだけに籠られていた。著作権切れとなった1907年を迎えると、あらゆる出版社がこぞってこの物語に別の挿絵画家をつけて出版することに着手した。アーサー・ラッカムによる本書も、そうした流れの中で誕生した。当時、ラッカムの挿絵は巨匠テニエルに唯一対抗できるものだった。テニエルの世界観から飛び出し、新たなアリス像を人々に与えたのが、ラッカムだった。


Shelk🦋

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